今やペットブームに伴い、愛犬用の洋服にもたくさんの種類があり、見た目が可愛いデザイン重視のものや、雨風をしのいだり、防寒対策がなされているような実用性に富んでいるものまで様々です。今回は犬の洋服について考えてみましょう。
犬に洋服は必要か
「犬に服を着せるなんて、飼い主さんの自己満足でしょ。」
実は、犬を飼う前は筆者自身もそう考えていました。
しかし、飼い主さんの自己満足だけで、これだけの飼い主さんたちが愛犬に洋服を着せるのでしょうか。実は、愛犬に洋服を着せるということは、「似合うから」「可愛いから」だけでなく、様々な利点もあるのです。
では、愛犬に洋服を着せることへのメリットとデメリットについて考えてみたいと思います。
汚れを防止することができる
雨の日や雪解けなどは、道路も泥濘んだりベチャベチャになるため、「こんな日くらいは散歩を休みたい!」と思う飼い主さんも多いと思いますが、なかなかそんな訳にもいきませんよね。
こんな時には、防水のレインコートが役に立ちます。特にミニチュア・ダックスやウェルシュ・コーギーなどのような胴長短足の子は、洋服を着せるだけで腹部の汚れを防ぐことができ、今は、前掛けにようなレインコートも販売されています。
また、山積みになった落ち葉を見ると、愛犬をつい走らせてしまいたくなると思いますが、落ち葉は細菌やカビの温床になっています。長毛のワンちゃんは、毛に落ち葉が絡まってしまうこともありますので、洋服を着せることによって防ぐこともできます。
抜け毛を防ぐことができる
今やペット可などのカフェのような公共施設では、愛犬の抜け毛対策は、周りへの配慮などから、最低限のマナーとなっています。飼い主さんからすると、犬の抜け毛は付きものと、さほど気にならないと方もいるとは思いますが、犬を飼っていない人からすると、不快に思う方もいるかもしれません。料理に毛が入ってしまえば、クレームにもなりかねないのです。
このように、愛犬も飼い主さんも一般のお客さんも、気持ちよく利用できるために、最低限のマナーとして、洋服を着せることで愛犬の毛が飛び散ることを防ぐことが大切です。
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防寒防暑対策
ヘアレスで毛がない犬種や老化により毛が薄くなった子、チワワのように暑い国が原産国の犬種、マルチーズなどのシングルコートの被毛を持つ犬種は、毛が密集していない分、寒さには弱いと言われています。そのため、冬の散歩などでは、フリースやダウン、厚手のジャケットを着せるなど、きちんと防寒対策をしてあげないと体調を崩すことがあります。
それに対して、シベリアン・ハスキーやサモエドのような寒い国が原産国の犬種は、暑さにとても弱いので、防暑対策として、水に濡らすことで、保水効果が長時間継続されるような工夫がされている洋服もあります。
「昔は洋服なんて着せなくても大丈夫だったんだから、今だって着せる必要ない!」と言う飼い主さんもいるかもしれませんが、今は室内で愛犬を飼育される方が増えたため、一年中温度管理された部屋にいることが多く、それに順応された愛犬の被毛は、夏と冬に生え替わる換毛期が曖昧になってしまい、温度調整が苦手になったと考えられています。
病気療養中のケアのため
愛犬の皮膚病の治療や、手術後などに、塗った薬や患部を舐めたり、引っ掻かないようにするために、洋服を着せることがあると思います。特に皮膚病や敏感肌の子は綿100%にするなど、十分に注意して愛犬の洋服を選んであげることが必要です。
洋服を着せるとストレスになる?
犬は本来裸で生まれ、裸で生活していた動物であるため、洋服を着せるという行為は自然なことではありません。洋服を着せられただけで、固まって動けなくなる子もいるでしょう。このように、愛犬に無理矢理洋服を着せることによって、愛犬にとってストレスになることもありますので、幼少期から洋服に慣れさせることをお勧めします。嫌がってしまう子には、無理強いをしないようにしましょう。
また、愛犬と散歩へ行く際に、洋服を着せることを習慣にすると、「洋服を着ると散歩へ行ける!」と考えるようになり、愛犬に洋服を見せただけで大喜びするようになるでしょう。
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毛玉になる
散歩やお出かけの時だけでなく、一日中一年中洋服を着せっぱなしにすると、長毛種の子であれば、簡単に毛玉を作ってしまいます。これは、洋服の生地と愛犬の被毛が、愛犬が動くことで擦れてしまい、毛玉ができやすくなるためです。それを放置していると皮膚病の原因になることもあり、通気性も悪いため、悪化することもあります。
洋服は着せっぱなしにせず、脱がした後はブラッシングをするなどのケアが必要になるでしょう。
体温調整は飼い主さんがしてあげましょう
洋服を着せられている間、愛犬は暑くなったからと自分で脱ぐことができません。そのため、真夏の暑い日に洋服を着せている時は、通気性が悪くなって、熱中症を引き起こしてしまうこともありますので、洋服を脱がせて体を冷やしてあげることが大切です。
また、真夏の暑い日に黒系の洋服を着せると、熱を吸収し、洋服の中で熱がこもってしまうことがありますので、黒系の洋服は避けましょう。
さいごに
愛犬の洋服を選ぶ時、フリルやレースが付いたようなデザイン重視のものに目が行ってしまうこともあるとは思いますが、愛犬にとって着やすい服を選んであげることが一番大切ではないでしょうか。また、愛犬に洋服を選んで着せてあげることで、飼い主さんと愛犬とのスキンシップにも繋がるでしょう。
しかし、愛犬に洋服を着せることによって、嫌がったり、固まったり、歩きづらいような様子があった場合、愛犬のストレスにもなりますので、無理に洋服を着せることはやめましょう。また、洋服に付いている装飾品を、愛犬が間違って飲み込んでしまったら大変です。このような洋服を着せる時は、飼い主さんの監視下で着せるようにしましょう。
犬に服を着せるということは、飼い主さんも賛否両論あると思います。愛犬にとって洋服は必要なのか必要ではないのか、飼い主さんは愛犬の体質や毛質、生活環境などを踏まえて判断してあげましょう。
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