根強いファンの多いドッグフードで知られる「ビル・ジャック」。アメリカの老舗フードメーカーのビル・ジャックですが、近年人気を集めているカナガンと比べると、その差はどのような内容となるのでしょうか。

今回は「カナガン チキン」と「ビル・ジャック」の成分値や品質内容を徹底比較してみたいと思います。

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カナガンについて


カナガンは動物性タンパク質の含有量にこだわりを持っているドッグフードメーカーの一つで、ドッグフード中の60%以上が動物性タンパク質である「チキン」で占めており、残り40%は植物成分の野菜や果物類が原材料に使用されています。

カナガンはこうした「生物学的に適性」な栄養素がベースの考えとなっていますので、上記のような割合の成分値となっています。

また、グレインフリーのドッグフードである点も特徴で、穀物アレルギーに対して配慮されていることや、消化のしにくい穀物類を排除しているというのもカナガンの特徴となっています。

犬が本来の犬らしい食事を摂ることができるのが、このカナガンの最大の特徴となっていますので、活発な成犬は特におすすめなドッグフードとなっています。

ビル・ジャックについて

ビル・ジャックは1947年創業のアメリカの老舗ドッグフードメーカー。ビル・ジャックを取り扱っている店も少なくなりましたが、根強いファンがいることは確かです。

ビル・ジャックのドッグフードの特徴となるのが、他のドッグフードでは見られない棒状のキブルの形状です。爪を立てればすぐに割れてしまうほどの絶妙な硬さは、まるでおやつのようです。

また、ビル・ジャックは非常にふやけやすいドッグフードですので、子犬や老犬にも与えやすく、また、消化の弱い犬にもおすすめのドッグフードでもあり、食いつきの良さでは他のフードよりも高い期待が持てるドッグフードでもあります。

ビル・ジャックとカナガンとでは違った栄養成分であるため、犬の栄養に関する考え方が違う方向であるということが言えます。

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カナガンとビル・ジャックの原材料を比較

では実際にカナガンとビル・ジャックの原材料を見てみましょう。

【カナガン チキン 原材料】
骨抜きチキン生肉26%、乾燥チキン25%、サツマイモ、エンドウ豆、ジャガイモ、エンドウタンパク、アルファルファ、鶏脂3.1%、乾燥全卵3.1%、チキングレイビー1.6%、サーモンオイル1.2%、ミネラル(硫酸第一鉄水和物、硫酸亜鉛一水和物、硫酸マンガン一水和物、硫酸銅(II)五水和物、無水ヨウ素酸カルシウム、亜セレン酸ナトリウム)、ビタミン(ビタミンA 16,250IU/kg、ビタミンD3 2,400IU/kg、ビタミンE 240IU/kg)、グルコサミン1000mg/kg、メチルスルフォニルメタン(MSM)1000mg/kg、リンゴ、ニンジン、ホウレンソウ、オオバコ、海藻、フラクトオリゴ糖、コンドロイチン700mg/kg、カモミール、セイヨウハッカ、マリーゴールド、クランベリー、アニスの実、コロハ

【ビル・ジャック セレクトアダルト 原材料】
新鮮な鶏肉、鶏の副産物(アルギニン源である新鮮な鶏肉の内臓のみ(鶏の肝臓を含む))、とうもろこしのミール、鶏の副産物のミール、オートミール、乾燥甜菜果肉、醸造用乾燥イースト、亜麻仁、DL-メチオニン、L-リジン、プロピオン酸ナトリウム、混合トコフェロール、食塩、ビタミンA酢酸塩、ビタミンD₃補強剤、ビタミンE補強剤、リボフラビン補強剤、ナイアシン、ビオチン、塩化コリン、葉酸、硝酸チアミン、塩酸ピリドキシン(ビタミンB₆)、アスコルビン酸、ビタミンB₁₂補強剤、パントテン酸D-カルシウム、酸化マンガン、イノシトール、BHA、硫化鉄、硫酸銅、酸化亜鉛、炭酸コバルト、ヨウ化カリウム、亜セレン酸ナトリウム、ローズマリー抽出物

冒頭でも触れたとおり、カナガンの原材料の60%以上は動物性タンパク源である「チキン」が使われています。一方のビル・ジャックですが、第1、第2主原料には動物性タンパク質が使用されていますが、第1主原料には「新鮮な鶏肉」、第2主原料には「鶏の副産物」、第4主原料には「鶏の副産物のミール」が採用されています。

ビル・ジャックの「副産物」や「ミール」ですが、安価なドッグフードでは少々危険な原材料である場合が多いです。ただし、ビル・ジャックに使われる副産物は鶏の内臓のみ。栄養化の低い足や羽根、鶏冠などは含まれていないと記載もあります。

また、ミールに関しても安全性の約束された「鶏肉のみ」のミールが採用されているという記載もありますので、安価なドッグフードでみられるような物ではないようです。

パッケージにも2.7kgのドッグフード中に、2.3kgの鶏肉が使われているという記載もあることから、ビル・ジャックのミート類や副産物は他のドッグフードと比較しないほうが良いかもしれませんね。

ビル・ジャックに含まれる酸化防止剤「BHA」


残念ながらビル・ジャックには酸化防止剤の「BHA(ブチルヒドロキシアニソール)」が配合されています。

BHAは近年の研究でも発がん性が認められる添加物の一つで、多くのドッグフードでもBHAや「BHT(ブチルヒドロキシトルエン)」などの添加物を含まないのが一般的となりつつあります。カナガンに関してはこうした人工添加物は一切含まず、自然由来であるビタミンEなどで酸化防止剤の役割を果たしています。

BHAに関しては摂取量による問題であるため、実際にはドッグフードに含まれる含有量では確率としてどうなのかといったところですが、マウスによる実験でも発がん性が認められたため、飼い主の気持ちとしてはあまり摂取させたくはないというのが実際のところではないでしょうか。

また、「亜セレン酸ナトリウム」に関しても摂取量によっては害があると考えられている成分で、ドッグフード中の0.00011%以下(AAFCOでは0.11ppm)

カナガンとビル・ジャックの成分を比較

次に、カナガンとビル・ジャックの成分値を比較してみましょう。

【カナガン チキン 成分値】
粗タンパク質:33%
脂質:17%
粗繊維:3.50%
水分:8.50%
オメガ6脂肪酸:2.80%
オメガ3脂肪酸:0.90%
カロリー(100gあたり)/約361.25kcal

【ビル・ジャック セレクトアダルト 成分値】
粗タンパク質:27%
脂質:18%
粗繊維:4%
水分:10%
オメガ6脂肪酸:2.50%
オメガ3脂肪酸:0.25%
カロリー(100gあたり)/402kcal

突出しているのが、ビル・ジャックのカロリーです。カナガンは361kcalとやや高い程度ですが、ビル・ジャックは成犬用ということもあり、かなり高カロリーなドッグフードとなっています。

そのため、肥満気味の成犬には不向きなドッグフードとなっていますが、ビル・ジャックのラインナップの中には肥満犬用のラインナップも揃いますので、セレクトアダルトは避けたほうが良いでしょう。

一方のカナガンもカロリーはやや高め。また、カナガンの場合はタンパク質も33%と高く、脂質も17%と高めなのですが、ビル・ジャックと違う点としては「オールステージ対応」のドッグフードであるという点です。

カナガンは高カロリー・高タンパクのドッグフード

日本で展開されているカナガンは、他のドッグフードメーカーのように年齢別にラインナップされているわけでもなく、また肥満犬用といったように用途別にラインナップされているわけではありませんので、給餌量を適性変えていく必要があります。

ビル・ジャックに関してはこれらのラインナップも揃っておりますので、あくまでも活発な成犬でのみの成分値となりますが、カナガンの成分値で老犬や肥満犬で当てはめると、かなり高タンパク・高脂質・高カロリーのドッグフードとなるため、あまりおすすめできるわけではありません。

また、高タンパクのドッグフードは成犬であれば問題はありませんが、消化する際にどうしても内臓の働きが活発でなければ腎臓などにも負担を掛けてしまいます。そのため、老犬や病気している犬も、カナガンは避けたほうが良いかと思います。

ただし、成犬という観点で見れば、豊富な栄養で十分過ぎる動物性タンパク質も摂取出来るので、子犬や成犬にとっては良いフードであると思います。

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プロ目線から見たフードの比較


カナガンはグレインフリーのドッグフードですが、ビル・ジャックに関してはとうもろこしやオートミールなどの穀物類が採用されています。ただし、ビル・ジャックに配合される穀物類は「単純炭水化物」に分解された穀物類です。

炭水化物にも種類があり、「単純炭水化物」は炭水化物の分子をバラバラにして消化吸収を良くしたものになり、代表的なものではブドウ糖などが挙げられます。
一般的な穀物類そのままの状態は「複合炭水化物」と呼ばれる状態の炭水化物で、アレルギーを引き起こしたり、消化に時間がかかってしまうのはこの複合炭水化物です。

単純炭水化物が他の単純炭水化物と結合していき、7つ以上の分子が集まることで複合炭水化物となりますが、ビル・ジャックに利用される穀物類は、この単純炭水化物で、消化吸収がよい穀物類となっています。

まとめ

ビル・ジャックの強みとなるのは嗜好性の強いドッグフードである点、消化のしやすい内容である点が挙げられます。一方のカナガンは高タンパクのドッグフードで、本来犬が必要としている栄養バランスをしっかりと摂取することができる内容となっています。

カナガンに関しても肉の含有量がかなり高いので、肉の味が好みな犬であれば高い嗜好性が期待できるでしょう。ただし、活発な成犬に限っての話で、老犬や病中の犬は避けたほうが良いかもしれません。

前述の通り、高タンパクの食事は腎臓にも高い負担がかかります。老犬にとっても負担のかかる食事になってしまいますので、それであればビル・ジャックのような消化もしやすく、高カロリーのフードを与えた方が安心かと思います。

反面、健康体の成犬であれば、カナガンはおすすめのドッグフードと言えます。特に皮膚や被毛にも良い影響が見られるでしょう。栄養素的には十分な内容ですので、犬の年齢や体調によっては良くも悪くもなるドッグフードである事が言えます。

とはいえ、ビル・ジャックはBHAや亜セレン酸ナトリウムを含んでいるため、とてもおすすめとも言えないのも事実。こうした点からみると、カナガンのほうが安全なフードであると考えられます。

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