サルーキーと一緒に暮らすために、どんな特徴や性質であり、どのようなことに気をつけなければいけないのでしょうか?今回は「サルーキー」について、飼っている方もこれから飼いたいと思っている方もチェックしてみましょう。
サルーキとは
サルーキとは、スリムで優美な体型を持ちながら、並外れたスピードと耐久力を兼ね備えています。
時速70キロで走る「ガゼル」を狩る目的として作られたこの犬種の最高速度は、時速77キロとも言われており、群れで狩りをする俊敏な狩猟犬として使役されてきました。
また、サルーキは「サイトハウンド」という犬種のグループに属されていて、獲物を発見、追跡し、捕らえた獲物を飼い主のところへ運んだり、見張りを行うなど、優れた視覚と走力で獲物を追跡捕獲する能力を持つ犬種です。
サルーキが狩猟をしているときに見られる強い狩猟欲求、獲物を狩り立てる本能や集中力はとても素晴らしいものです。
サルーキのルーツ
サルーキのルーツは紀元前7000年も前に遡り、全犬種の中でも最も古い歴史を持つ犬と言われている犬種です。
サルーキは、遊牧民たちと数千年もの間、中東から北アフリカの広大な地域で、
- 鹿
- ガゼル
- キツネ
- 野ウサギ
などを狩猟する際の「狩猟犬」として使役されていました。
こうして広大な土地で長い間飼われてきたサルーキは、その地域によって様々な体格や毛色、毛質のサルーキが誕生してきたのです。
1840年に入るとサルーキはイギリスへと渡り、バリエーションに富んだこの犬種を包括し、イギリスの愛犬家団体「KC(ケネルクラブ)」で最初のサルーキのスタンダードが、1923年に公認されました。一方、アメリカの愛犬家団体「AKC(アメリカン・ケネル・クラブ)」で公認されたのが1929年とされています。
サルーキーとイスラム文化
イスラム教のコーランに「犬は不浄(汚れた)の動物」と記されていることから、イスラム教徒の間では今もなお、犬は不浄なものとしてタブー視されていますが、サルーキだけは例外とされ、他の犬種とは違った扱いを受けてきました。
サルーキは「犬」ではなく、アラーの神から使わされた特別な犬として信じられており、「神聖なる恵み」と言われて大切に扱われていたのです。
サルーキは狩猟犬として使途されてきましたが、サルーキが捕獲した動物に関しては、不浄なものでも食することができたようです。また、暑い日差しを避けるために、信者と同じ部屋で寝起きを共にすることも珍しくはない光景なのです。
現代のイスラム教においてもこの考え方は一般的なものであり、イスラム教徒にとって犬はタブーなものとしてしられますが、サルーキに関しては今もなお、大事に飼育されているのです。
エジプトでミイラとして発見されたサルーキ
サルーキが最古の犬と言われる所以には、古代エジプトの埋蔵物などから数々の証拠が発掘されている事が理由として挙げられます。
紀元前7000年ほどのイラクの古代遺跡からは、サルーキの特徴をしっかりと捉えた形をした、犬の彫刻が発見されていたり、紀元前2000年前のエジプトの古墳からは、ミイラにして大切に埋葬されたサルーキも発見されているのです。
御存知のとおり、ミイラとなって埋葬されるのはファラオを代表とした、位の高い人物です。エジプト王家で飼われていたサルーキも、同じ王族としてミイラとして埋葬されていたのです。こうした事実から、サルーキがこの時代からも、とても大切に崇められていたということがわかります。
サルーキの性格
サルーキの性格は、優しく穏やかで、とても大人しい犬種なので、子供や他の犬種にも優しく接します。
飼い主さんや家族に対しても、とても忠実なので、必要となれば、飼い主さんを守るような心の強さも持ち合わせています。
また、サルーキは内向的なところもあり、見知らぬ人には距離を置いて接したり、自分から感情をあらわに出すタイプではありません。
繊細な性格なので、決して手荒に接したり、力ずくで訓練しないようにしましょう。
サルーキと初めて接するときは、焦らずにゆっくりと、サルーキに合わせて少しずつ距離を縮めていった方が良いかもしれませんね。
そして、サルーキは利口で学習能力も高いのですが、単純で長時間繰り返すだけの訓練は苦手で飽きやすい性格です。
トレーニングは短時間で、バラエティに富んだ訓練を用いるのが良いでしょう。
飽きてきたかなと思ったら、「ボール投げ」や「追いかけっこ」などの「遊び」を取り入れてみると、躾のメリハリがあって、愛犬にも飼い主さんにとっても楽しいトレーニングになりますね。
サルーキの被毛
サルーキは、「スムース(直毛の短毛)」と「フェザード(羽のような軽やかな長毛)」の2種類の被毛を持ち合わせています。
スムースは体全体を覆い、耳、背中、足、しっぽはフェザードになっています。
この被毛は比較的、手入れも楽で、スムース部分を固く絞ったタオルで拭き、フェザード部分は毛玉にならないようブラッシングしてあげる程度の手入れで十分でしょう。
被毛のカラーは、
- 「ホワイト」
- 「クリーム」
- 「フォーン」
- 「ゴールド」
- 「レッド」
- 「トライカラー(ホワイト、ブラック、タンの3種類)」
- 「ブラック&タン」
およびこれらのカラーのコンビネーションという、様々なカラーのサルーキがいますが、ブリンドルは好ましくないとされています。
サルーキとボルゾイの違い
サルーキとよく似た犬種といえば「ボルゾイ」が挙げられます。容姿事態は良く似ていると思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、意外と相違点は多いこの2犬種。
まず、中東原産と考えられているサルーキに対し、ボルゾイはロシア原産の犬種であること。そのため、被毛にも違いがあり、暑い場所に適応するためのシングルコートであるサルーキに対して、ボルゾイは寒い冬を耐え抜くためのダブルコートの被毛を持ちます。
また、大きさに関してはサルーキの体高が57cm〜71cm程なのに対し、ボルゾイは66cm〜71cmほどと比較的ボルゾイのほうが大きいです。しかし、体重に関してはボルゾイが26kg〜48kg程なのに対して、サルーキは30kgほどと、ボルゾイのほうがかなりガッチリとした体型をしていることがわかります。
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サルーキがかかりやすい病気
サルーキはとても丈夫な犬種で、ほとんど遺伝的疾患もありませんが、「アトピー性皮膚炎」と「甲状腺機能低下症」という皮膚炎になりやすいとされています。
「アトピー性皮膚炎」は、
- ハウスダスト
- 花粉
- ノミやカビ
- 食べ物などのアレルゲン
が体に入ってきてアレルギー反応を起こしてしまう皮膚炎で、完治は難しい病気です。
「甲状腺機能低下症」は、甲状腺ホルモンが少なくなり、体やしっぽなどが脱毛になる病気で、一生続く病気です。
また、サルーキは体が細いため、麻酔薬には大変敏感なので、動物病院で麻酔を使用する際は、獣医師さんとよく相談してから行いましょう。
サルーキのエリザベスカラー
サルーキと言えばスリムな体型で、首も長くて細いというのが特徴的な犬種です。しかし、サルーキの飼い主を悩ませる体型でもあるのです。中でも悩ませる一つが、カラーやエリザベスカラーです。
通常の体型をした犬種ですと、手術や怪我をしてしまったときにはエリザベスカラーを使用して、傷口を舐めないようにガードするのが一般的ですが、その多くが一般的な犬の首の太さで作られているため、サルーキなど首の細い犬には合わずに、首とサイズが合っていないエリザベスカラーを選択するほかなくなります。
しかし、すぐに脱げてしまったり、あまりにも大きさが合っていないために生活に支障をきたしすぎる場合が多いのですが、近年では術後服といった商品も販売されているので、愛犬の性格や体型によっても、術後服を選択してみるのもよいかもsれません。
サルーキのブリーダーは?
サルーキはメジャーな犬種ではないものの、そこまで見かけなくもない犬種です。ペットショップでも販売されている事もありますが、非常に稀なパターンであるかもしれません。そのため、サルーキを迎え入れる際には、ブリーダーからの直販で考えたほうが早いかもしれません。
日本国内のサルーキのブリーダーに関しても、探すのは難しくはないでしょう。しかし、サルーキの代表的な毛色とも言えるグリズルなど、お目当ての毛色を探すのは少々大変かもしれません。
価格に関しては15万円〜30万円といったところです。毛色が希少色であったりすることでも販売価格は変わってきますので、まずはお目当てのサルーキの毛色をしっかりと決めて探してみたほうが良いかもしれません。
サルーキを飼いたい!【特徴や性格、飼い方は?】のまとめ
サルーキは狩猟本能を持ち合わせているので、外へ出て獲物と見なした物を見つけると、一目散に走り出す性質を持っているため、必ず幼少期から「呼んだら戻る」という訓練をしましょう。
ここで言う獲物とは、鳥や小動物だけではなく、「ボール」や「おもちゃ」もそれに当たります。
日常生活のそこらにあるものに向かって走り出し、車やバイクといった物も見えなくなるのでとても危険です。
アメリカでは、交通事故で命を落とす犬種として知られてるようです。
そして、サルーキは、かなりの運動量が必要な犬種です。毎日の長時間散歩の他にも、ドッグランなど自由運動を組み合わせると尚良いでしょう。
また、この犬種は、身体能力もあり、ジャンプ力もあるので、軽々とフェンスを飛び越えてしまいます。ドッグランに行く際は、背の高いフェンスがあるところを選びましょう。
たくさん運動をして家へ帰ってきた時には、体を休めるベッドにも気を使ってあげましょう。
サルーキは体脂肪が少ない犬種なので、硬い床で寝ると、皮膚が硬くなるので、柔らかいベッドを用意してあげましょう。
こんなに狩猟本能が優れたサルーキですが、実は室内ではとても穏やかで優しい犬種です。子供と仲良く遊ぶ姿は、見ている方も安心して、気持ちもホッコリしてしまいます。
沢山の運動量を要する犬種なので、狭い日本ではあまり見かけませんが、この犬種の欲求を満たしてあげられるなら、飼育してみたい犬種になるのではないでしょうか。
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