セント・バーナードを飼っている方もこれから飼いたいと思っている方もいると思いますが、セント・バーナードを飼う上でどのようなことに気をつけなければいけないのでしょうか?今回は「セント・バーナード」の特徴や性質についてチェックしてみましょう。

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セント・バーナードとは

セント・バーナードといえば、アニメ「アルプスの少女ハイジ」や「あらいぐまラスカル」、映画「ベートーベン」で登場していたのは有名です。

あまりよく飼われている犬種ではないのですが、こういったテレビ効果もあり、誰もが身近に感じられる犬種なのではないでしょうか。

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そして、あらゆる犬種の中でも最大級の大きさと言われるこの犬種は、スイスのアルプスの山中での遭難救助犬として活躍していた歴史もありますが、この大きな体に似合わず甘えん坊で心の優しい性格の持ち主です。

セント・バーナードのルーツ

セント・バーナードは、2世紀頃ローマ時代の軍用犬として使役されていた「モロシア犬」が改良されたものと考えられています。

17世紀中頃、セント・バーナードは、スイスとイタリアの国境にあるアルプス山脈の「サン・ベルナール僧院」で多頭飼育されていました。

この「サン・ベルナール僧院」では、スイスとイタリアの国境を越える旅行者たちの休憩所や宿泊施設として使用されていました。

そのため、セント・バーナードは、この僧院で番犬や荷物を牽引する作業犬として、とても役に立っていました。

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その後、セント・バーナードは、優れた臭覚で、悪天候の雪山における遭難者の捜索能力が認められ、次第に山岳救助犬として活躍するようになり、一説では、200年間の間に2000人もの遭難者を救助してきたとも言われています。

中でも、「バリー」という名前のセント・バーナードは、その生涯で40人もの命を救っていきました。

しかし、バリーは救助中にオオカミと間違って遭難者に射殺されるという、不慮の事故によって、その生涯を閉じました。

今現在でも、バリーの功績が讃えられ、スイスの都市ベルンで剥製として納められ、「バリー・フンド(バリー犬)」と呼ばれるようになりました。

19世紀初めには、この犬種は厳しい悪天候や病気、近親交配による遺伝的疾患により、絶滅の危機に陥りましたが、1830年に生き残った一部のセント・バーナードとニューファンドランドを掛け合わせ、初めて長毛のセント・バーナードが誕生しました。

当初、長毛種は保温効果もあり、寒い雪山での捜索に適していると思われましたが、実際は冷たい氷が被毛に絡みつき、身動きが取れなくなり、結果、長毛のセント・バーナードは山岳救助犬の仕事から遠のいていきました。

ちなみに、「セント・バーナード」という名前の由来は、1884年このサン・ベルナール僧院の「サン・ベルナール」の英語読みから名付けられています。

セント・バーナードは暑さに弱い

セント・バーナードは前述の通り、寒い地域で育ってきた犬種なので、寒さには強いという特徴を持ちますが、日本のような高温多湿の環境には、比較的不向きなところがあります。

セント・バーナードは運動量もそれなりに必要になると説明してきましたが、散歩する時間にも十分に注意するようにしましょう。特に、炎天下の中の散歩は避けるようにし、夕方以降のアスファルトが冷えてきた頃に散歩するなどの配慮が必要になります。

また、留守番させる際にも注意が必要です。セント・バーナードを飼育するにあたり、エアコンの用意は必須と言えるでしょう。暑い部屋での留守番には、エアコンなどを忘れずに入れておくようにしましょう。

真夏にダウンジャケットを着ているような暑さになるため、セント・バーナードの飼育には温度管理も非常に重要なポイントとなります。

セント・バーナードの性格

セント・バーナードの性格は、とても穏やかで優しく、忍耐強くてのんびりした性格です。

特に小さい子供がいる場合、多少手荒に扱うようなことがあっても、吠えたり噛んだりすることなく、辛抱強く相手をしてくれます。もちろん、他の犬種とも仲良くできます。

ただし、個体によっては体重100キロを超える大きい犬種なので、乳幼児がいる場合、誤って乗られたり踏まれたりすると、大きな事故に繋がりますので注意が必要です。

セント・バーナードは、こんな大きな体を持ちながら、実は繊細な心の持ち主です。ガミガミ叱ると、繊細な心が傷付き、ストレスで問題行動を起こすこともあります。

体が大きく、うまい具合に躾ができなくても、頭ごなしに叩いたり怒鳴ったりするのではなく、落ち着いた態度で叱ってください。その代わり、ちゃんとできた時は、大袈裟なくらい褒めてあげましょう。

セント・バーナードの躾についてのポイント


セント・バーナードは前述の通り、非常に温厚でおとなしいといった性格である一方、とても頑固な一面もあります。自分が嫌だと思うことはテコでも動きません。こんなに大きな体で、道の真ん中で岩のように動かなくなると、飼い主さんも困ってしまいますね。

そこで利用したいのがしつけ教室です。しつけ教室は問題児ばかりが集まる場所ではなく、こうして大型の犬をしっかりとコントロール出来るようにするという目的で利用する方も少なくありません。

ある程度成長してくると、なおさらに躾を入れるのが難しくなるので、幼少期のうちにトレーニングを行うなどの方法を取ることをおすすめします。セント・バーナードが持つこの頑固な性格と上手に付き合っていきましょう。

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セント・バーナードの運動量はどのくらい?

セント・バーナードに必要な運動量ですが、超大型犬ですので1日2回の散歩で、それぞれ1時間程度の散歩が理想的といえます。

走り回ったりと言った運動ではないものの、やはり体も大きいために、それだけ多くの運動量はどうしても必要となってきます。元々、山岳救助などにも活躍していたこともあり、ある程度の運動欲求を満たして上げる必要はあります。

逆に、これくらいの時間を費やすことが出来なければ、セント・バーナードを飼うことは出来ないでしょう。適した運動をこなせなければ、ストレスも溜まってしまいますし、運動不足から様々な病気を引き起こしてしまう可能性もあります。

セント・バーナードを飼育する際には、こうした時間もしっかりと確保するようにし、運動不足にならないような健康的な生活を送らせるようにしましょう。

セント・バーナードの被毛

セント・バーナードの被毛は、「スムースコート(短毛)」と「ラフコート(長毛)」の2種類のタイプがいます。スムースコートは短い毛が硬く密集していて、ラフコートは直毛または、ウェーブかかった長い毛で覆われています。

セント・バーナードの被毛のカラーは、「ホワイト」の地色に様々な大きさの「赤みのあるブラウン」の斑点があり、背中や脇腹にも「赤みのあるブラウン」の「ブランケット(犬の背中にちょうど毛布をかけたような様子)」が見られます。

この「ブランケット」は、途中で途切れても、途切れていなくても、どちらでも良いとされています。

また、

  • 「赤みのあるブラウン」
  • 「ブリンドル」
  • 「茶色がかったイエロー」

も認められています。

セント・バーナードの子犬はどの位のサイズ?


セント・バーナードは、サイズが大きければ大きいほど好まれる傾向にありますが、子犬だとどの位のサイズなのでしょう。

成犬になると100kg程にもなる場合があるセント・バーナード。生後2ヶ月ほどで、すでに5kg前後の重さになり、生後半年を迎える頃には35kg前後ほどに成長します。

セント・バーナードは、生後2ヶ月ですでに小型犬の成犬時の体重に、生後半年には大型犬の成犬時ほどの体重になる、超大型犬なのです。生後半年というとまだまだ遊びたいざかりで、やんちゃな時期でもあります。このサイズの子供が暴れまわるわけですから、飼育する際にはある程度の覚悟は必要となります。

前述の通り、赤ちゃんや幼児がいる場合には注意も必要ですし、壊されたくないようなものは、しっかりと壊されないような場所に避難させるのが望ましいでしょう。

セント・バーナードがかかりやすい病気

セント・バーナードがかかりやすい病気とされているのが、大型犬に多い「股関節形成不全」です。

この股関節形成不全は、股関節が正常に形成されなかったり、変形されることで、歩き方に支障をきたす病気です。

肥満体型は、股関節形成不全を引き起こすきっかけとなってしまいますので、子犬の頃から肥満にならないように、食事の管理は徹底するようにしましょう。

また、セント・バーナードの耳は垂れ耳で、立ち耳の犬種に比べ通気性が良くないため、耳の中が蒸れたり、カビや雑菌などが繁殖しやすく、「外耳炎」などの原因となります。

暑い夏や湿気が多い季節は特に気を付けて、こまめな耳掃除が必要です。

そして、セント・バーナードは「眼瞼内反症」と「眼瞼外反症」など眼科的疾患も多いようです。日頃から目ヤニや涙が出ていないかなど、目のチェックは欠かさずしましょう。

【眼瞼内反症】
下瞼が内側に反り返ってしまう状態のことで、要は逆さまつ毛のことです。軽度の場合は、下まつ毛を抜くことで治まります。重度の場合は瞼の整形手術を行います。

【眼瞼外反症】
下瞼が外側にめくれあがった状態のことで、角膜炎や結膜炎、ドライアイを引き起こします。重度の場合は瞼の整形手術を行います。

大型犬に多い「胃捻転」

「胃捻転」とは、胃の内容物が発酵し、発生したガスで胃がパンパンになり、その胃が捻転してしまう病気で、大型犬に多く見られ、致死率も高い病気です。

ついさっきまで元気にしていると思ったら、急にぐったりとするなど、早急に処置をしないと、最悪の場合死に至る病気です。

予防としては、食事の後しばらくは安静にさせることや、水のがぶ飲みは避けること、早食いさせない事など、十分に気を付けてあげましょう。

セント・バーナードのブリーダー

セント・バーナードを実際に飼いたいと思っても、ペットショップなどにセント・バーナードが販売される機会はほぼありません。そのため、セント・バーナードを探そうと思った時にはブリーダーを探すこととなります。

直接、犬舎に行って顔を確認したいという場合であれば、全国でも関東に集中してブリーダがいるので、関東エリアに探しに行くことがベストとなります。また、ブリーダーが出張してくれる地域に関しては全国に対応しているようなので、珍しい犬種ではありますが、探す事もそう難しくは無さそうです。

価格に関してはおおよそ25万円前後、高い子で40万円ほどといったところ。ペットショップなどに並ぶ機会もありませんので、ディスカウントされることもないでしょう。

セント・バーナードのルーツの性格や飼い方はコレ!【寒さに強い、超大型犬?】のまとめ

セント・バーナードは、最も体が大きい「超大型犬種」です。

急な発病や老衰などで自力で動けなくなった時、病院へ運ぶことはとても大変なので、往診してくれる獣医師さんがいる病院を探しておきましょう。

また、この大きな体を治療できるような設備や搬送車があるのかということも選択肢に入れましょう。

セント・バーナードの飼育は、大変なことが多いと思います。気を付けなければならない病気も多く、そのためにこの犬種の保険料は高めだとも言われています。

また、散歩や運動や躾けに取られる時間も多いでしょう。量の多いヨダレや時間のかかるシャンプーも覚悟の上です

しかし、セント・バーナードは、他の犬種と比べても寿命が短いと言われており、短い時間しか一緒にいられません。

この短い時間の中で、飼い主さんに喜んでもらうため、献身的に一生懸命生きるセント・バーナードという犬種を愛情いっぱいで育ててあげましょう。

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