犬の種類には様々な特徴や性質、気をつけなければいけない事などがあり、犬を飼う上では犬種別に特徴を理解することが必要になります。今回は「ヨークシャー・テリア」について、飼っている方もこれから飼いたいと思っている方もチェックしてみましょう。
ヨークシャー・テリアとは
ヨークシャー・テリアの被毛のカラーは、幼少期はブラック&タンですが、成犬になるとダーク・スチール・ブルー&タンから、ゴールドやシルバーなど、カラーが7回ほど変化することや、絹のような美しい被毛の持ち主であることから、「動く宝石」とも呼ばれています。
その気品ある美しさから、かつてはイギリスのビクトリア女王やオードリー・ヘップバーンまでも、この犬種の虜になったそうです。今も「ヨーキー」という愛称で親しまれ、世界的に愛されている犬種です。
イギリスのネズミ捕りだったヨークシャー・テリア
ヨークシャー・テリアの知的でエレガントな見た目からは想像つきにくいと思いますが、ヨークシャー・テリアのルーツは、19世紀の産業革命の頃、イギリスのヨークシャー地方の工業地帯で貧しい労働者たちの家屋を荒らすネズミを捕らえるために作られました。
マンチェスター・テリアやスカイ・テリア、マルチーズや絶滅したクライズデール・テリアなど、様々なテリアと掛け合わせて作出され、作出当時は、5~7kg程体重があり、今のヨークシャー・テリアよりも、かなり大きな体格であったと言われています。
貧しい労働者の中で作り出されたヨークシャー・テリアは、やがてその美しさからビクトリア朝後期の貴族や貴婦人たちの目に止まり、ネズミ捕りをする害虫駆除用の狩猟犬としてではなく、愛玩犬として大切に飼育されました。
ヨークシャー・テリアのルーツ
ネズミ捕りの犬から、愛玩犬として飼育され始めたその後のヨークシャー・テリアは小さく改良され、現在のヨークシャー・テリアの大きさになりました。また、ヨークシャー・テリアの特徴でもある、直毛の美しい被毛もこの頃に改良され、今のような毛質に変わっていきました。
1861年、イギリスで開催されたドッグショーで初めて登場したヨークシャー・テリアは、その後は瞬く間にその名が広まり、1882年にはイギリスのケネルクラブに登録、アメリカを始めとした諸外国でも飼育されるようになりました。
第二次世界大戦の影響では、一時的に激減してしまったヨークシャー・テリアですが、戦後は順調に数を増やし、今では世界中の愛犬家たちに愛される存在となりました。
ヨークシャー・テリアの性格
ヨークシャー・テリアの性格は、とても甘えん坊で寂しがり屋さんです。飼い主さんと片時も離れず、膝の上に乗ったり、抱っこされたり、ベッタリするという子が多いようです。
しかし、こんな性格と見た目の可愛さに根負けして、甘やかし過ぎるとワガママになってしまう子も多く、偏食気味になったり、無駄吠えが付きやすくなりますので、甘やかし過ぎには注意しましょう。
ヨークシャー・テリアは、本来テリアの気質を持つため、小さいながらもとても勇敢で、負けん気が強く、自分のテリトリーを必死で守ろうとするところがあるので、番犬にも向いています。
また、若い時はとても活発でエネルギッシュな性格のため、飼い主さんの足元を忙しなくちょこまか動き回ることが多いので、間違って踏んづけてしまわないように気を付けましょうね。
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ヨークシャー・テリアの被毛
ヨークシャー・テリアの被毛は、「シングルコート」といい、下毛がないのが特徴です。絹糸状の被毛は床に届くほど長く伸び、ドッグショーなどでは長い被毛を維持するのが一般的ですが、家庭で飼育される場合は、「パピーカット」や「サマーカット」など短めにカットされることが多いです。
また、ヨークシャー・テリアの被毛は、換毛期がなく、毛は抜けづらいのですが、毛玉になりやすいため、こまめにブラッシングをする必要があります。
この犬種のブラッシングに関しては、毎日欠かさないことが必要となりますので、ブラッシングを嫌うことがないよう、幼少期からスキンシップを取りながら、根気強く、優しく声を掛けながらブラッシングしてあげると良いでしょう。
ヨークシャー・テリアの被毛のカラーは、「ダーク・スチール・ブルー&タン」が認められています。
ヨークシャー・テリアは暑さに弱い
ヨークシャー・テリアのようなシングルコートの被毛を持つ犬種は、暑さや寒さにはあまり強くありません。そのため、室外飼育には不向きな犬種です。飼育は完全室内飼いにして、真夏日はエアコンを付けたり、冬でもヒーターを入れるなどの配慮が必要となるでしょう。
また、背の低い犬種は全ての天候の影響を受けやすいという特徴もあります。例えば、真夏は熱されたアスファルトの照り返しが直撃しますし、冬は寒い空気が下から常に伝わってしまいます。
そのため、真夏の散歩は日中の時間は避け、特に炎天下であった日は地面の温度を確認してから外出するようにしましょう。朝方や夕方など、地面が冷えた時間帯に外出するといった対策もおすすめです。
ヨークシャー・テリアがかかりやすい病気
ヨークシャー・テリアは、「膝蓋骨脱臼」という病気に気を付けなければいけません。この病気は、後ろ足の膝蓋骨(膝のお皿)が正常な場所から、内側か外側にずれてしまう(脱臼する)状態になる病気です。
最初のうちは気付かない場合も多く、放置していると、どんどん悪化していきます。愛犬が散歩中スキップしたり、足を上げて歩くような素振りを見せた場合は危険信号です。
膝蓋骨脱臼を予防するためには、まず膝に負担をかけないことです。フローリングなどの硬く滑る床には、カーペットやラグを敷きましょう。
そして、ヨークシャー・テリアがかかりやすい病気とされているのが、「進行性網膜萎縮」であり、網膜が萎縮して正常に働かなくなる遺伝性による目の病気です。まず、視力が低下して夜に目が見えなくなり、そのうち日中も見えなくなり、最終的には失明します。
日頃から、愛犬が何かにつまずいている様子はないか、大好きだった散歩を嫌がっていないかなど、少しの変化にも注意して観察しましょう。
ヨークシャー・テリアが特に気をつけたい「気管虚脱」
上記に挙げた病気も、ヨークシャー・テリアで好発すると言われる病気ですが、これらの病気以外にも、ヨークシャー・テリアに好発すると言われる病気が「気管虚脱」という病気です。
気管虚脱は、呼吸にともなって気管が扁平するため、呼吸がしづらくなり、興奮時や運動中、散歩時の首輪による頚部の圧迫で、「ガーガー」とガチョウの鳴き声のような乾いた咳をします。重症の場合には、呼吸困難で死亡することもある怖い病気でも知られます。
気管虚脱は、肥満により悪化することもありますので、体重管理に気を付けることや、散歩時の首輪は胴輪に変え、首に負担をかけない等の工夫が必要になります。日頃の様子や散歩中など、変わった様子がないかを常に意識しておくようにしましょう。
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ヨークシャー・テリアの寿命
ヨークシャー・テリアの寿命は、おおよそ13歳〜16歳ほど。ヨークシャー・テリアの寿命を全うさせるためには、幼少期からの適切な運動量と、しっかりとした栄養管理が大事になってきます。
極端な運動量は必要はありませんが、散歩などの運動は足腰を鍛えるだけでなく、内臓の機能も活発にさせます。さらに、ストレスの解消も兼ねられるので、毎日の散歩は大事なものとなるでしょう。
また、前述のようにヨークシャー・テリアには好発する病気が幾つか存在します。年に一回ほどの健康診断もおすすめですが、なによりも飼い主さんが早期に発見できる事が大事になります。そのためには、日頃からのスキンシップが重要です。日頃からスキンシップをはかって、愛犬のちょっとした変化にも気がつくことが出来るようにしましょう。
ヨークシャー・テリアの値段は幾らくらい?
ヨークシャー・テリアは日本でも人気犬種の一つですので、ペットショップでも容易に出会えることが出来るでしょう。そこで気になるのが、ヨークシャー・テリアの値段についてです。
ヨークシャー・テリアの相場は、おおよそ20万円ほど。高い個体ですと、50万円を越える場合も出てくるでしょう。ヨークシャー・テリアの価格に関しては、月齢による価格差もありますが、血統によって価格が高騰することもしばしば。
こうして価格の高い個体は、主にショーなどに出陳する事を想定している方や、交配を考えている方が意識する部分ではあります。ペットとして飼育する分には何ら関係はありませんが、被毛や性格など、ある程度は遺伝する部分もありますが、価格が安いからと言って性格に難があるわけではありません。
ヨークシャー・テリアと暮らすために
ヨークシャー・テリアは、甘えん坊で、見た目も華奢なので、ついつい守ってあげたくなってしまうのは分かりますが、過保護に扱うのはとても危険です。
いつでも飼い主さんが守ってくれると思って、他の人や犬に対して気が大きくなり、吠えたり、威嚇することがあります。・・・かと言って、飼育怠慢を勧めているわけではありません。何かあればすぐ抱き上げるのではなく、見守る愛もあるということです。
せっかく可愛い愛犬が、「すぐ吠えて可愛くない」「うるさい」なんて言われたら悲しいですよね。どこに連れて行っても可愛がられる子でいて欲しいですね。
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