犬の種類には様々な特徴や性質、気をつけなければいけない事など、犬を飼う上では犬種別に特徴を理解することが必要になります。「ホワイト・スイス・シェパード・ドッグ」について、飼っている方もこれから飼いたいと思っている方もチェックしてみましょう。

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ホワイト・スイス・シェパード・ドッグとは

警察犬や軍用犬、麻薬探知犬や番犬など、あらゆる分野で活躍しているジャーマン・シェパードは有名ですが、ホワイト・スイス・シェパード・ドッグは日本ではあまり知られていないですよね?

ホワイト・スイス・シェパード・ドッグは、ジャーマン・シェパードからたまたま生まれた白い被毛の犬種が始まりですが、ジャーマン・シェパードより体格が若干大きくがっちりして、足腰もしっかりしているようです。

では、この犬種について解説していきましょう。

ホワイト・スイス・シェパード・ドッグのルーツ

1899年にドイツでは「ジャーマン・シェパード協会」が設立され、勇敢な性格で優れた運動神経や服従能力、高い知性を持つように改良されたものが「ジャーマン・シェパード」であり、この犬種の改良に関しては、犬の歴史上、他に類いを見ない程であると言われています。そんなジャーマン・シェパードからたまたま生まれた白い被毛の犬が、「ホワイト・シェパード」でした。

当時ではこうして生まれた白い犬は、遺伝子疾患を持っていると判断され、いくら両親の血統が良くても、白い被毛のシェパードの子犬が生まれた時は処分されていたのです。

しかし、被毛が白い以外、シェパードと何も変わらないのに処分されることに疑問を持ったアメリカとカナダのブリーダーが、この白い被毛のシェパードだけを集めて繁殖されたものが、「アメリカン・カナディアン・ホワイト・シェパード」でした。

白い被毛以外はジャーマン・シェパードと同じ特徴


この犬種は、1917年にアメリカの愛犬家団体「AKC」で公認となりましたが、その後のジャーマン・シェパードのブリーダーとの確執などで、絶滅の危機に陥ったり、1968年のアメリカのドッグショーでは失格の対象となってしまいました。白い被毛は遺伝的疾患があると考えられていたからです。

その後の1970年代、このアメリカン・カナディアン・ホワイト・シェパードはスイスに持ち込まれ、ジャーマン・シェパードに多い股関節の病気などの問題を改善し、ジャーマン・シェパードよりも温和で攻撃性がない性格に改良されたのが「ホワイト・スイス・シェパード・ドッグ」でした。

そして、ホワイト・シェパードの白い被毛も白変種となり、単に毛色が白いだけで、身体的にも遺伝的にも欠陥はなく、普通のシェパードと何も変わらないということが分かり、2000年になってようやく国際畜犬連盟「FCI」に、2004年には我が日本の「JKC」で公認されることとなりました。

しかし、ジャーマン・シェパードの原産国であるドイツでは、未だホワイト・スイス・シェパード・ドッグを公認していません。

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ホワイト・スイス・シェパード・ドッグの性格

ホワイト・スイス・シェパード・ドッグは、シェパード・ドッグをより温厚にした性格で、とても愛情深く、生涯どんな場面においても飼い主さんに対して忠実です。また、とても甘えん坊で寂しがり屋なところがありますので、幼少期から一人でも留守番ができるように慣れさせた方が良いでしょう。

また、非常に忠実で賢い犬種でありながら、ホワイト・スイス・シェパード・ドッグは盲導犬としては使われないことが多いようです。

これは、この犬種の高い忠誠心のせいで、幼少期にパピーウォーカーに育てて貰った後、飼い主さんと引き離される際に、分離不安に陥ることがあるためです。一度大事に育てて貰った恩は決して忘れないという、シェパードの性質なのでしょうね。

ホワイト・スイス・シェパード・ドッグのしつけについて

ホワイト・スイス・シェパード・ドッグはジャーマン・シェパードが祖先になりますので、訓練性が高く、物覚えも早いという特徴を受け継いでいます。さらに、ホワイト・スイス・シェパード・ドッグはジャーマン・シェパードよりも温厚で優しい性格に改良されましたので、しつけに関しては比較的に楽で家庭犬に向いています。

しかし、賢いがゆえ、上下関係をうやむやにしてしまうと、飼い主さんを支配しようとすることがありますので、幼少期からしっかりしたしつけは必要になるでしょう。

こうした性格からも、体が大きいながらも家庭犬として、室内犬としても飼育しやすい大型犬でもあるのです。まずはしっかりとしたしつけを入れる必要がありますが、「家庭犬」としてのしつけで十分にしつけることも出来るでしょう。

ホワイト・スイス・シェパード・ドッグは初心者でも飼育できる?


前述の通り、ホワイト・スイス・シェパード・ドッグは非常に頭もよく、かつ家庭犬用に改良されて飼育のしやすくなった犬種です。中身だけを見ると初心者の方でも飼育ができる感じがしますが、そこはやはり大型犬種ですので、初心者の方が飼育するにはなかなか大変かもしれません。

全く飼育できないわけではありませんが、しつけ教室や、毎日1時間〜2時間の散歩時間を取れる環境かどうかも問題となります。大型犬種は小型犬のような運動量というわけにはいきませんので、確実に運動ができる時間を取れることが大前提と言えるでしょう。

また、しつけに関しても頭がいいだけあり、「リーダー」としての様子が見られなければ、少々なめられてしまう可能性も十分にあります。ホワイト・スイス・シェパード・ドッグをしつけ教室に入れることも重要ですが、飼い主さん自信もしつけ教室に通い、大型犬の飼育方法について学ぶのがベストと言えるでしょう。

ホワイト・スイス・シェパード・ドッグの被毛

ホワイト・スイス・シェパード・ドッグは、「ダブルコート」の被毛を持ち、硬く短い毛の「オーバーコート(上毛)」と柔らかく密生した「アンダーコート(下毛)」の2種類の被毛で覆われています。
また、被毛の長さは「ミディアム」と「ロング」の2つのタイプがいます。

被毛の手入れは比較的簡単で、汚れた時は、固く絞ったタオルで拭く程度で良いでしょう。
また、年に2回の換毛期があり、その間は沢山の毛が抜けるため、犬アレルギーの人がいる家での飼育はあまりお勧めできません。
定期的なブラッシングをすることが望ましいですが、換毛期を迎えた時には、よりこまめにブラッシングをするようにし、常に清潔な体を維持させるようにしましょう。

また、ホワイト・スイス・シェパード・ドッグの被毛のカラーに関しては、「ホワイト」のみです。

ホワイト・スイス・シェパード・ドッグがかかりやすい病気

【胃捻転】
胃捻転とは、胃の内容物が発酵し、発生したガスで胃がパンパンになり、その胃が捻転してしまう病気で、大型犬に多く見られ、致死率も高い病気です。ついさっきまで元気にしていると思ったら、急にぐったりとするなど、早急に処置をしないと、最悪の場合死に至る病気です。
予防としては、食後しばらくは安静にさせることや、水のがぶ飲みは避けること、早食いさせない事など、十分に気を付けてあげましょう。

【骨肉腫】
骨肉腫は、命の危険が極めて高いガンの一種で、大型犬に発症しやすいと言われています。このガンは足に発症することが多く、足に激しい痛みが生じて、足を引きずったり、患部の骨が腫れるなどの症状があります。

また、骨肉腫はとても進行が早く、転移しやすいので、発見した時点で、90%以上の確率で肺に転移していると言われています。足を引きずったり、いつもと歩く感じが違うと感じたら、すぐ病院へ連れて行きましょう。

ホワイト・スイス・シェパード・ドッグの値段は幾らくらい?

ホワイト・スイス・シェパード・ドッグはペットショップなどでも見かける機会の少ない犬種の一つ。日本国内においても、飼育頭数は2016年の時点で115頭と少なめ。さらには大型犬種ですので、ペットショップで販売される機会も少ない犬種です。

そのため、ホワイト・スイス・シェパード・ドッグを迎え入れる際には、一般的にはブリーダーからの直販という形になるでしょう。しかし、ブリーダーから迎え入れるメリットも多く、こうして飼育頭数の少ない犬種を迎え入れる際には、相談相手にもなってくれるなど、多くのメリットもあります。

ホワイト・スイス・シェパード・ドッグの相場価格としては、おおよそ30万円前後ほど。同じく、ジャーマン・シェパードになると20万円〜といった価格になりますので、ジャーマン・シェパードと比較すると若干高くなるという感じです。

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ホワイト・スイス・シェパード・ドッグは室内飼いができる?

ホワイト・スイス・シェパード・ドッグは、愛情深く、友好的で子供好きのため、穏やかで従順な家庭犬にもなるでしょう。また、シェパード・ドッグと同様、どんな厳しい訓練にも耐えうる性質を持ち合わせていますが、愛情を持って信頼関係を築いた上で接することが大前提です。

体も大きくて力も強いホワイト・スイス・シェパード・ドッグは、成犬になると成人男性でも敵わなくなりますので、必ず愛犬とアイコンタクトを取りながらトレーニングし、飼い主さんに「従う」ということを理解させる訓練をしましょう。

「室内飼いに向いている」というよりかは、「室内飼いも可能」といったところでしょうか。毎日、しっかりとコミュニケーションがとれ、しっかりと運動ができる環境であれば、ストレスも溜まることなく、室内飼いも可能な犬種といえます。

ホワイト・スイス・シェパード・ドッグと暮らすために


ホワイト・スイス・シェパード・ドッグは、かなりの運動量を必要とするため、運動不足や愛情不足によるストレスから、破壊行動に出ることもありますので、日頃から愛犬とスキンシップを取り、ゲームをしながらの運動を取り入れるのも良いでしょう。

また、飼い主さんと愛犬の健康維持のため、ジョギングに付き合ってもらうのも良いかもしれませんね。愛犬とコミュニケーションも取れて、楽しみながら運動ができるので一石二鳥になるでしょう。

運動量は多いかもしれませんが、これは大型犬を飼っていれば当たり前のこと。こうした飼育環境が保てないようであれば、ホワイト・スイス・シェパード・ドッグを飼育することは難しいでしょう。

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