人間も老いがくるように、犬にも必ず老いはやってきます。もし、成犬期の過ごし方によって、愛犬が老齢期を迎えた時の生活の仕方が変わってくるのなら・・・?今回は、愛犬が老齢期を迎える前に備えておきたい、成犬期の過ごし方について考えてみましょう。

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犬が老齢期を迎えると

犬も老齢期に入ると、少しずつ全身に様々な変化が現れてきます。全体的に毛が薄くなってきたり、毛の色艶が衰えてきます。それまで元気走り回っていたのに、動きが機敏でなくなったり、寝てることが多くなります。また、筋力が低下すると、足腰の力も弱くなるので、あまり歩きたがらなくなるといった様子も見られるでしょう。

その他にも、口臭が強くなってきたと思ったら歯周病を患っていたり、呼んでも反応がないと思えば、耳が聞こえづらくなっていたり、目が見えにくくなっているということもあります。さらには、年をとると免疫力が下がりますので、ウィルス感染症を発症する可能性も高くなります。

では、愛犬が老齢期に入った時、このような症状を少しでも軽減できたり、少しでも症状を遅らすことはできるのでしょうか。今回は、愛犬が老化を迎える前に、成犬期にどのように過ごしたら良いのか考えてみましょう。

丈夫な足腰を保つために

犬は年をとると、どうしても筋力の低下や関節炎などが原因で、歩いたり、走ったりということが難しくなることがあります。そのため、老化を迎える前に、若い時から適度に運動させて、肥満にさせないよう体重管理をしてあげることが大切です。

中型犬や大型犬の場合は、1回の散歩を30分~1時間を1日1~2回くらいしてあげると良いでしょう。もちろん小型犬も適度な運動は必要です。1回の散歩を20~30分を1日1~2回くらいしてあげましょう。歩くスピードを速くしたり、遅くしたり、階段をゆっくり登るのも、筋力の維持に役立ちます。ただし、関節や脊髄などに疾患がある子は、獣医さんの指示を仰ぐようにしてください。また、散歩が苦手な子は、室内でゲームを取り入れたりなどして、運動量を満たしてあげることが大事です。

また、肥満は「百害あって一利なし」です。肥満になると、足腰に負担がかかってしまい、さらに老化による筋力の衰えで、動けなくなってしまうことが多いようです。関節炎を発症しやすい大型犬は、特に注意が必要です。片手でヒョイッと抱っこができる小型犬に比べ、大型犬が歩けなくなると、飼い主さんの負担も大きくなります。愛犬の丈夫な足腰を保つために、肥満にさせないよう、気を付けましょう。

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誰でも触れるように

愛犬がこの先、介護が必要になった場合、食事や排泄、移動なども人の助けが必要となるでしょう。そんな時に、愛犬にとって触れられたら嫌なところがあると、愛犬にもストレスがかかったり、介護する際に、暴れられたり、囓られたりなどしてケガをすることもあります。これは、飼い主さんだけの問題ではなく、動物病院で診察したり、入院する時、ペットホテルに預ける時など、飼い主さん以外のお世話してくれる人たちにも迷惑をかけてしまいます。

そのため、愛犬が若いうちから、飼いさんやその他の人たちが、愛犬の体のどこの部分を触っても怒ったり、威嚇したりしないようにしておく必要があります。脳に疾患があったり、腫瘍などがあって体に痛みがある場合は別ですが、そうでない場合は、若い時から沢山の人と触れ合う機会を作り、人に対して恐怖心や警戒心などを持たせないようにすると良いでしょう。

トイレは室内でもできるように

愛犬に室内で排泄をしないようにしつけをされている方も多いと思います。室内で排泄をしないので、部屋の中は排泄物の臭いもしないし、ペットシーツを買うことがないので経済的ですよね。

しかし、年をとって愛犬が動けなくなった時、トイレが近くにないと、愛犬の足腰の負担にもなりますし、飼い主さんも動けなくなった愛犬を抱えながら外へ出なければいけなくなります。また、愛犬が年をとって頻尿や軟便になった時、何回も排泄しに行くこともあるので、粗相してしまうこともあるでしょう。

室内でも排泄ができるようになれば、トイレを近くに置くことで、愛犬も飼い主さんの負担も軽減されるのではないでしょうか。実は、犬にもプライドがあって、トイレの失敗で精神的に落ち込んでしまうこともあるのです。愛犬をそんな気持ちにさせないよう、若いうちから室内でもトイレをできるようにしておくことを考えてみてください。

歯磨きの習慣を

犬が老化を迎えると「歯周病」や「歯根膿瘍」など、歯の病気を発症することが多くなります。これらの病気は、毎日の歯磨きで予防することができます。そのため、若いうちから口の周りを触られることに慣れさせ、毎日の歯磨きを習慣にしましょう。

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歯周病とは

歯周病とは、歯垢や歯石を放置したり、歯茎に傷が付くことによって、歯の表面で細菌や毒素を産生し、歯茎や骨までも炎症を起こしてしまう歯の病気です。
歯周病が悪化すると、鼻腔にまでも影響を及ぼし、歯根部の感染がより奥の方まで拡がった結果、鼻腔に穴を開けてしまい、呼吸器系の症状が現れます。物を噛むのを痛がったり、片方でばかり噛んでいた様子が見られた後に、くしゃみ・鼻水の症状が見られます。

更に歯周病が進行していくと、炎症は目の下部あたりにまで進み、目の下辺りの皮膚に穴が空いてしまい、そこから膿が出てくる「歯根膿瘍」と呼ばれる症状を発症します。これは、目の下(頬の部分)に膿が溜まっていき、破裂してしまうものです。特に奥歯の歯周病で引き起こされる場合が多いようです。

また、歯周病は骨までも蝕み、歯槽骨と呼ばれる下顎を支える土台の役割をしている骨までも影響を与え、これによって下顎の骨は徐々に弱っていき、骨折を伴う事態へと陥ります。
さらには、骨を溶かし、歯周病の原因菌が全身へと感染してしまうことで、肺炎や心臓病といった重大な病気を引き起こす場合もあるため、たかが歯周病と決して侮れない怖い病気なのです。

事前に予防することが肝心

混合ワクチンや狂犬病などの予防接種、フィラリア症やノミ・ダニの予防など、年を取って外に出なくなったからと途中で止めたりしないで、継続的に予防してあげることが大切です。また、メス犬を飼育している場合は、「子宮蓄膿症」などのメス特有の病気を発症することがありますので、子犬を産ませる予定がないのであれば、避妊手術をすることをお勧めします。

また、成犬期は1年に1回、老齢期に入ると半年に1回の健康診断を受けさせることが理想と言われています。
「うちの子は元気だから大丈夫!」
老化による犬の内臓機能の低下は、外から見ただけでは分からないものです。動物病院へ行って、血液検査や尿検査やエコーなどを含めた健康診断を定期的に受け、早期発見に努めることが大切です。

さいごに

犬の老化は、人間と同様、どうしても防ぐことはできません。しかし、成犬期の生活の送り方次第では、このような老化による症状を少しでも遅らすことができるのです。だからこそ、老齢期に入る前に、若い時からの健康的な生活習慣が大切になります。

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