犬の種類には様々な特徴や性質、気をつけなければいけない事などがあり、犬を飼う上では犬種別に特徴を理解することが必要になります。今回は犬種の一つ「ブル・テリア」について、飼っている方もこれから飼いたいと思っている方もチェックしてみましょう。

スポンサーリンク

ブル・テリアとは

つぶらな瞳にのっぺりとした面長の顔。そんなおとぼけ顔とがっちりとした体がアンバランスで可愛い「ブル・テリア」は元々闘犬として作られた犬種です。ブル・テリアは、防衛本能が優れていて「白い騎士」とも呼ばれていたようです。

こんなブル・テリアですが、闘犬としての資質を持ちますので、飼育するには、それなりの知識が必要となるでしょう。
それでは、ブル・テリアの性格や飼育する上で、気を付けたい病気や暮らし方を解説していきましょう。

闘犬としてのブル・テリア

ブル・テリアは、イギリスで開催されていた貴族や大衆の娯楽、「ブル・ベイティング(牛いじめ)」や「ベア・ベイティング(熊いじめ)」が盛んだった18世紀の中頃、「究極の闘犬」を作るため、「ブルドッグ」と「オールド・イングリッシュ・テリア」を掛け合わせて作出され、「ブル&テリア」と名付けられました。

「ブル・ベイティング」や「ベア・ベイティング」とは、杭に繋がれた牛や熊に対して数頭の犬を放ち、興奮した牛や熊の鼻に囓りつくというゲームです。牛や熊を倒した犬の持ち主には、高額な賞金が支払われました。また、「ブル・ベイティング」や「ベア・ベイティング」は娯楽としてだけでなく、普通に畜殺される牛や熊よりも、このようなゲームで殺される方が、肉の味が良いという理由で人気もあったようです。

そして、1835年に動物愛護の観点から、ようやくこの非人道的なゲームが禁止され、人々の関心は犬と犬を闘わせる「ドッグ・ファイティング(闘犬)」へと移っていきました。ブル&テリアも例外ではなく、この頃に「スパニッシュ・ポインター」を交配させたことで、大型で強靱かつ俊敏なブル&テリアが誕生し、闘犬として活躍しました。また、ブル&テリアは闘犬として強いだけでなく、反撃はするが自ら相手をけしかけることはしない「フェアプレーの精神」を持つ犬として脚光を浴びるようになりました。

白い騎士と呼ばれるブル・テリア

闘犬が廃止されるようになり、ブル&テリアは闘争本能を抑えて家庭犬として改良されるようになりました。1860年頃にはジェイムス・ヒンクスがブル&テリアに「ホワイト・イングリッシュ・テリア」と「ダルメシアン」を掛け合わせて作出したのが、ホワイト種の「ブル・テリア」でした。このブル・テリアは、かつての闘争本能ではなく、防衛本能を持ち合わせた「白い騎士」と呼ばれ、瞬く間に人気が広がっていきました。

その後、1900年頃に「スタッフォードシャー・ブル・テリア」を掛け合わせたことで、被毛の毛色のパターンを増やし、1936年にアメリカの愛犬家団体「AKC」に登録され、1991年にはブル・テリアよりも一回り小さい「ミニチュア・ブルテリア」が誕生しました。

ブル・テリアの性格

ブル・テリアは、飼い主さんや家族に対しては愛情深くて忠実で、家族に喜んでもらうために、張り切って何でもしようとします。基本的に陽気で活発なので、子供とも仲良く遊ぶことができますが、他の犬や猫や小動物に対しては攻撃的になることがありますので、多頭飼いには向いていないかもしれません。

ブルドッグ譲りの強靱な顎を持っているブル・テリアは、、一度噛み付いたら離さないところがあり、幼少期の歯の生え替わりでの時期では、他の犬種とは比べものにならない程強い力で噛み、深いケガを負うこともありますので注意が必要です。囓り癖は付けない方が身のためですよ。

ブル・テリアの被毛

ブル・テリアは、「アンダーコート(下毛)」を持たず、「オーバーコート(上毛)」だけからなる「シングルコート」の被毛を持った犬種です。
被毛の手入れは、年中毛が抜けるので、毎日ブラッシングして抜け毛を取り除いてあげましょう。
また、アンダーコートを持たないため、保温性に欠け、比較的寒さに弱い傾向があるので、寒い地域で飼育する際は、冬場にはヒーターなど暖房器具を用意してあげるのが良いでしょう。

ブル・テリアの被毛のカラーは、「ホワイト」、「ホワイト」の地で頭に「レッド」または「ブリンドル」の斑点が入っているもの、「ブリンドル」や「レッド」の被毛のカラーに、胸や四肢、尻尾の先に「ホワイト」が入るものもいます。

スポンサードリンク

ブル・テリアがかかりやすい病気

ブル・テリアは、被毛のカラーを「白」に固執していたため、白の被毛を作るには、近親交配を行うことが多々あったようです。そのため、どうしても白い被毛を持つホワイト種のブル・テリアは、カラーのあるブル・テリアに比べて、遺伝的に疾患を持って生まれてしまうことが多いと考えられています。

その中でも目立つのが「聴覚障害」です。聴覚障害の多いダルメシアンの血が入っているせいでもありますが、音が聞こえないせいで音に対しての反応が薄かったり、後ろから触られてびっくりするような様子が見られたら、病院で検査を受けることをお勧めします。ホワイト種を飼育する場合は、あらかじめ最初に耳がちゃんと聞こえるか、病院で聴覚検査や血液検査などしてから飼育した方が良いでしょう。

【僧帽弁閉鎖不全症】
「僧帽弁」とは、心臓の中にあり、血液の逆流を防ぐ働きをする弁のことで、「僧帽弁閉鎖不全症」とは、この弁の機能が低下することにより、心臓に流れている血液が逆流してしまう病気のことです。
運動時や興奮時に咳が出たり、疲れたり、運動をしたがらないなどの症状があり、病気が悪化すると、左心不全による肺水腫を引き起こし、呼吸困難になることもあります。

【アトピー性皮膚炎】
「アトピー性皮膚炎」とは、アレルギーの原因であるアレルゲンが、何らかの要因で体内に入ることで、皮膚のバリア機能を低下させ、皮膚炎を引き起こす病気です。
アトピー性皮膚炎は一度発症すると完治が難しく、一生付き合わなければならない事がほとんどです。

ブル・テリアと暮らすために

ブル・テリアは、多めの運動量が必要になりますので、1日2回、30~1時間くらいの長めの散歩の他にも、ドッグランなど足場の良いところでの自由運動をしたり、ゲームをして遊ぶなど、頭や体を刺激するような運動を取り入れると良いでょう。この犬種は、運動欲求を満たしてあげないと、ストレスが溜まって、吠える、噛む、物を壊すなど、犬特有の問題行動を引き起こすことがあります。また、囓る力は並大抵の破壊力ではありませんので、噛み癖を付けないよう注意しましょう。

家庭犬としての改良が進められ、闘争本能は少なくなってきましたが、やはり闘犬としての資質を持つブル・テリアがいるのも事実です。基本的に自分からケンカをしに行くことはありませんが、挑発されたり、追い詰められたりすると闘争心に火が付いてしまうこともありますので、幼少期から信頼関係を築いた上での服従訓練は必須になります。初めて犬を飼育する人には、少し難しい犬種になるかもしれませんね。

スポンサーリンク