犬の種類には様々な特徴や性質、気をつけなければいけない事などがあり、犬を飼う上では犬種別に特徴を理解することが必要になります。今回は「ビアデッド・コリー」について、飼っている方もこれから飼いたいと思っている方もチェックしてみましょう。

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ビアデッド・コリーとは

「ビアデッド・コリー」ってご存じですか?

オールド・イングリッシュ・シープ・ドッグの姿によく似ており、サイズは一回り小さくしたような体を持ちますが、実際は、ビアデッド・コリーの方が早くに作出されているようです。

ビアデッド・コリーの名前の由来は、「bearded(顎ヒゲを持つ)」にちなんでるように、ふわふわした豊富な顎ヒゲや眉毛が生えているのが特徴です。

ビアデッド・コリーのルーツ

ビアデッド・コリーのルーツは、1514年にポーランドの貿易商人によって、イギリスのスコットランドに持ち込まれた「ポーリッシュ・ローランド・シープドッグ」と、スコットランドの土着犬と掛け合わせて生まれたのが、この犬種の始まりだと考えられています。

ビアデッド・コリーは、牧羊犬や家畜の移送として使用されていました。この犬種は、スコットランドの岩山や荒れ地の多い地形、また、厳しい天候条件でも適応できる体質を持っていたため、スコットランドの人々にとって、この犬種は無くてはならない優秀な使役犬として、とても重宝されていたのです。

ビアデッド・コリーの絶滅を救ったジーニーとバリー

ビアデッド・コリーは、世界大戦によって絶滅の危機に陥りますが、1940年代に、ウィルソン夫人によってその危機は乗り切ることとなりました。この夫人が自分の農場で使用するために、シェットランド・シープ・ドッグを注文したのですが、手違いによって譲渡された犬種が、メスのビアデッド・コリーの子犬だったのです。夫人は、このビアデッド・コリーを「ジーニー」と名付けて、愛情深く可愛がりました。

やがて、夫人はこの犬種の賢さや明るさに惹かれていきますが、ビアデッド・コリーが絶滅の危機にあることを知り、自ら繁殖を行うことにしました。しかし、絶滅寸前にあるビアデッド・コリーを見つけることは簡単ではありませんでした。

それからしばらくした後、イギリス南部にビアデッド・コリーのオスの「バリー」がいることが分かったのです。ここで夫人の繁殖が始まったことで、絶滅の危機から脱することとなりました。今現存するビアデッド・コリーのほとんどが、このジーニーとバリーの子孫であると言われています。

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ビアデッド・コリーの性格


ビアデッド・コリーは、室内で愛玩犬として育てることよりも、飼い主さんと外へ出て、思う存分走りたい欲求が強い犬種です。雨が降ろうが雪が降ろうが、そんなことはお構いなしです。これだけの並外れた持久力を持ち、活発な犬種を扱うため、飼い主さんもそれなりの体力が必要となるでしょう。

とても明るく、友好的な性格のビアデッド・コリーは、飼い主さんや家族に対しても愛情深く、常に家族と一緒に何かをすることを喜びます。もちろん、子供と遊ぶことも大好きですが、子供より少し騒々しいところもありますので、小さい乳幼児がいる家では、ぶつかってケガなどしないように注意が必要です。また、牧羊犬の資質からか、子供たちを群れと見なして、まとめてしまうこともあるようです。

ビアデッド・コリーの被毛

ビアデッド・コリーは、硬くて粗い「オーバーコート(上毛)」と、密生した柔らかい「アンダーコート(下毛)」の2種類からなる「ダブルコート」という被毛に覆われています。

ビアデッド・コリーの被毛は、暑さに弱く、寒さに強いという特徴があります。特に、日本のような高温多湿の気候は、湿気と熱気がこもり、熱中症と皮膚病の原因になります。

ビアデッド・コリーの被毛のカラーは、「スレート・グレー」「様々な色合いのグレー」「赤みがかったフォーン」「ブラック」「ブルー」「ブラウン」「サンディ」「などがあります。

ビアデッド・コリーの子犬の頃のカラーは、全身がこれらの色の単色で覆われていますので、子犬の頃と成犬になってからのイメージは全然違うかもしれません。成長するにしたがって、白い斑点が増えてビアデッド・コリーらしいカラーになるででょう。

ビアデッド・コリーのトリミング

ビアデッド・コリーの被毛は、換毛期があり、春から夏の季節の変わり目には大量の毛が抜けるため、こまめにブラッシングをかけることで、熱中症と皮膚病の予防にも繋がるでしょう。

こうしたケアの他にも、定期的にトリミングに出す必要もあります。逆に、ブラッシングやトリミングなど、こまめに被毛のケアを行えないようであれば、ビアデッド・コリーを飼育することは難しいでしょう。

ビアデッド・コリーを飼育している方の多くは、目に毛がかからないように頭の上で毛を結んでいたりしますね。このように、毎日ビアデッド・コリーの被毛のケア・お手入れを行うことも、ビアデッド・コリーを飼うひとつの楽しみと思える方が、ビアデッド・コリーを飼育するのに向いているのかもしれません。

ビアデッド・コリーがかかりやすい病気

【股関節形成不全】
股関節形成不全とは、股関節が正常に形成されなかったり、変形されることで、歩き方に支障をきたす骨の病気です。
肥満体型は、股関節形成不全を引き起こすきっかけとなってしまいますので、子犬の頃から肥満にならないように、食事の管理は徹底するようにしましょう。

【アトピー性皮膚炎】
アトピー性皮膚炎とは、アレルギーの原因であるアレルゲンが、何らかの要因で体内に入ることで、皮膚のバリア機能を低下させ、皮膚炎を引き起こす病気です。

アトピー性皮膚炎は一度発症すると完治が難しく、一生付き合わなければならない事がほとんどですが、早期発見ができれば、食事や投薬、生活環境を改善することで症状を緩和できることもあります。全身痒がっていないか、足の指をずっと舐めていないかなど、日頃から観察してあげることが大切です。

ビアデッド・コリーと目の病気

ビアデッド・コリーは目に関係する病気にも注意が必要です。その一つが進行性網膜萎縮と呼ばれる病気です。

進行性網膜萎縮とは、網膜が萎縮して正常に働かなくなる遺伝性による目の病気です。まず、視力が低下して夜に目が見えなくなり、そのうち日中も見えなくなり、最終的には失明します。
日頃から、愛犬が何かにつまずいている様子はないか、大好きだった散歩を嫌がっていないかなど、少しの変化にも注意して観察しましょう。

このほか、「角膜ジストロフィー」や「白内障」等の目の病気にも注意が必要です。

日頃から目やには多くないか、涙は多すぎないか、目をこすったり気にしている様子はないか等、日常生活の中でも注意深く観察するようにしましょう。

ビアデッド・コリーと「オールド・イングリッシュ・シープドッグ」

冒頭でも触れましたが、ビアデッドコリーと似ている犬種に「オールド・イングリッシュ・シープドッグ」という犬種が挙げられます。

オールド・イングリッシュ・シープドッグは、ビアデッド・コリーよりも新しい犬種とされていますが、正確な記録は残されていないため、オールド・イングリッシュ・シープドッグの起源についてはわからない部分が多いのです。

比較となるのは大きさですが、ビアデッド・コリーの体高が53cm〜56cmなのに対し、オールド・イングリッシュ・シープドッグの体高は61cm前後。体重に関してはオールド・イングリッシュ・シープドッグが30kg前後なのに対し、ビアデッド・コリーは25kgほどと、オールド・イングリッシュ・シープドッグよりもやや小さいサイズとなっています。

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ビアデッド・コリーの寿命はどのくらい?


ビアデッド・コリーの寿命はおおよそ12年〜15年。若い頃から活動的な生活を送っていれば、健康な体を維持して長生きしてくれることでしょう。その反面、活動的ではない生活を送っていれば、ストレスや運動不足がたたることでしょう。

寿命とは関係ありませんが、ビアデッド・コリーを含むコリー犬種は「イベルメクチン中毒」を持つことで有名です。イベルメクチンとは、犬が毎年摂取するフィラリア注射に使用される成分。この成分に中毒反応が現れる場合があるのです。場合によっては死に至る事もあるものです。

動物病院でも周知の事なので問題は無いと思いますが、フィラリア注射を打つ際には獣医師としっかりと相談の上、予防接種を受けるようにしましょう。

ビアデッド・コリーのブリーダーは?

ビアデッド・コリーは比較的、珍しい犬種となりますので、ペットショップ等で見かける機会はほぼ無いと言って良いでしょう。そのため、ビアデッド・コリーを迎え入れる際にはブリーダーからの直販という形が一般的と言えそうです。

ブリーダーから迎え入れる際のメリットは、しっかりと相談が出来るという点です。ビアデッド・コリーは珍しい犬種ですので、ビアデッド・コリーに関しての悩みを持っていても、なかなか相談できる相手も居ないのがネックな所。ブリーダーから迎え入れられれば、ビアデッド・コリーについてより詳しい相談相手が出来ることでしょう。

ビアデッド・コリーの相場としてはおおよそ25万円ほど。高い個体でも30万円を越えるのは稀でしょう。

ビアデッド・コリーと暮らすために

ビアデッド・コリーは、とても賢い犬種です。運動欲求の他にも、知力欲求も満たしてあげないと、ストレスから問題行動を引き起こすこともあるため、普段の近所の散歩やドッグランで走らせるだけでは、肉体的な運動欲求を満たすことができても、知的欲求は満たされません。

そのため、広い敷地内で飼い主さんも一緒になってフリスビーで遊んだり、アジリティのようなドッグスポーツをするなど、身体も脳も刺激になるような運動を取り入れましょう。

また、賢いゆえ、訓練やしつけなどの吸収は早いのですが、反面、いたずらなどの悪いこともすぐ覚えてしまいます。幼少期から「良いこと」と「悪いこと」をしっかり教える必要があるでしょう。

また、悪いことをしたからと、乱暴に扱ったり、威圧的な態度で接すると、神経質になったり、攻撃的な犬になることもありますので、良く出来た時はきちんと褒めて、出来なかった時はピシッと叱るようなメリハリのある訓練が必要です。

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