犬の種類には様々な特徴や性質、気をつけなければいけない事などがあり、犬を飼う上では犬種別に特徴を理解することが必要になります。今回は「ニューファンドランド」について、飼っている方もこれから飼いたいと思っている方もチェックしてみましょう。

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ニューファンドランドとは

テレビでは馴染みのあるセント・バーナードが山岳の救助犬と呼ばれるのに対し、ニューファンドランドは、海の救助犬として古くから人のために従事してきました。
ニューファンドランドの指の間には水かき状の膜があるため、泳ぐことが大の得意で、今でも水難救助犬として活躍している超大型犬です。

また、ナポレオンが船で追放された際、荒波にもまれて船から投げ出されたナポレオンを救ったのがニューファンドランドだったという話は有名です。

ニューファンドランド誕生の地「ニューファンドランド島」


ニューファンドランドのルーツは諸説ありますが、17世紀頃のカナダのニューファンドランド島で、カナダの土着犬や、漁船や貿易船でヨーロッパから持ち込まれたグレート・ピレニーズや、写真にもあるようなレトリバー系が基礎に作出されたと考えられています。

このように、ニューファンドランド誕生の地となるニューファンドランド島と言えば、世界的にも有名だった漁場の地。現在は昔のような漁場ではなくなってしまったようですが、かつて漁場として繁栄していた時代、多くの漁師とともに生活を共にしていたのがニューファンドランド犬だったのです。

また、ニューファンドランドは日本でも人気の高い大型犬「ラブラドール・レトリバー」の先祖としても知られる犬。ラブラドール・レトリバーは介助犬や盲導犬としても大活躍の犬種ですが、ニューファンドランドの従順な性格や、たくましい忍耐力を受け継いでいるとわかります。

ニューファンドランドのルーツ


ニューファンドランドは、得意の泳ぎを活かした水中回収犬として、猟師を手伝ったり、溺れた人を救助する仕事をしたり、また陸上でも重い荷物を乗せたソリを引っ張るなど、長い間人々の暮らしを支えていました。

18世紀頃、ニューファンドランドは優秀な使役犬として、ヨーロッパからの来訪者から感銘を受け、ヨーロッパやイギリスに持ち込まれるようになりました。その後、カナダでは一頭の犬しか飼育できないという飼育頭数が制限される法律ができたこと、また、ニューファンドランドが他国に輸出され続けたことで、一時は絶滅の危機にまで追い込まれていきました。

しかし、イギリスの繁殖者たちが積極的に繁殖を行ったことで、イギリスからアメリカやヨーロッパなどに輸出されたことで、ニューファンドランドの頭数は増えていきました。その後の第二次世界大戦後では、今度はイギリスでニューファンドランドの数が激減しましたが、アメリカのニューファンドランドが元に復活が図られ、絶滅の危機を乗り切りました。

ニューファンドランドの性格

とても穏やかで優しく、忍耐強い性格のニューファンドランドは、小さい子供がいても、吠えたり噛んだりすることなく、辛抱強く相手をしてくれます。

もちろん、他の犬種とも友好的に仲良くできます。

ただし、個体によっては体重60kgを超える大きい犬種なので、乳幼児がいる場合、誤って乗られたり踏まれたりすると、大きな事故に繋がりますので注意が必要です。

ニューファンドランドは、とてもマイペースな性格の持ち主です。賢い犬種ではありますが、何かを覚えることもマイペースにゆっくり覚えるので、しつけには少し根気が必要です。

なかなか覚えないからとガミガミ叱ると、ストレスで問題行動を起こすこともありますので、頭ごなしに叩いたり怒鳴ったりするのではなく、落ち着いた態度で叱ってください。また、依存心が強いところもありますので、ちゃんとできた時は、大袈裟なくらい褒めて自信が付くようにしてあげましょう。

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甘えん坊な一面もあるニューファンドランドの性格

ニューファンドランドは、体は大きいですが、飼い主さんや家族に対して、普段は寂しがり屋の甘えん坊です。しかし、とても忠誠心が強いところもあり、万が一、家族に危険が及ぶと判断した時は必死に家族を守ろうとする頼もしい犬種です。

前述のように、ニューファンドランドは救助犬としても活躍してきた犬種でもあり、溺れている人を助けるほどに、人間に対しても信頼を置く犬です。そんなニューファンドランドなので、家族に対してはさらなる信頼を寄せてくれるでしょう。

飼い主さんはペットとして飼っていても、ニューファンドランドは1歩外に出ると飼い主さんを守ろうとする意識が高まりがち。そんなニューファンドランドですが、大きな体に似合わずに甘えん坊な一面もありますので、家にいる間は十分にリラックスできるよう、思い切り甘えさせてあげても良いでしょう。

ニューファンドランドの被毛

ニューファンドランドは、カナダの極寒の天候や、氷のように冷たい海の中でも体温を守るため、脂を含んでよく水を弾く、柔らかく密集した「アンダーコート(下毛)」と、平らで硬く長い「オーバーコート(上毛)」の2種類の被毛を持ち合わせています。

そのため、ニューファンドランドの被毛は、冬は暖かく快適に過ごせますが、暑い夏にはとても弱いため、散歩の時間や天候には充分に配慮するようにし、「熱中症」にならないように気を付けましょう。

ニューファンドランドの被毛のカラーは、「ブラック」「ブラウン」「ランドシーア(ブラックとホワイトの2色)」があります。「ランドシーア」とは、白黒のニューファンドランドを好んで描いていた画家の名前である「ランドシーア」からちなんで付けられたと言われています。

ニューファンドランドがかかりやすい病気

【股関節形成不全】
股関節形成不全とは、股関節が正常に形成されなかったり、変形されることで、歩き方に支障をきたす大型犬に多く発症する骨の病気です。
肥満体型は股関節形成不全を引き起こすきっかけとなってしまいますので、子犬の頃から肥満にならないように、食事の管理は徹底するようにしましょう。

【胃捻転】
胃捻転とは、胃の内容物が発酵し、発生したガスで胃がパンパンになり、その胃が捻転してしまう病気で、大型犬に多く見られ、致死率も高い病気です。ついさっきまで元気にしていると思ったら、急にぐったりとするなど、早急に処置をしないと、最悪の場合死に至る病気です。
予防としては、食事の後しばらくは安静にさせることや、水のがぶ飲みは避けること、早食いさせないことなど、十分に気を付けてあげましょう。

【拡張型心筋症】
拡張型心筋症とは、心臓が肥大し、心室内腔が拡張することにより、心臓のポンプ機能が低下していく心臓の病気です。初期の段階ではほとんど症状が見られず、病気が進行すると肺水腫を引き起こし、咳や呼吸困難になったり、不整脈を引き起こした場合は、ふらついたり、元気がなくなってボーっとしたり、失神するような症状があり、最悪の場合には突然死することがあります。

「拡張型心筋症」は、初期段階ではほとんど症状が見られないため、症状に気付いてから病院へ連れて行っても、手遅れという場合が多い恐ろしい病気のため、ニューファンドランドを飼育されてる飼い主さんは、年に一度の定期検診を受けることをお勧めします。この他にも、「大動脈弁狭窄」「心房中隔欠損症」「僧帽弁閉鎖不全症」などの心臓の病気には注意が必要です。

ニューファンドランドは散歩も大事


ニューファンドランドは、あまり激しい運動は必要ないですが、1日1時間を2回程度の散歩を、ゆっくり行うのが良いでしょう。また、体が大きく、股関節形成不全など骨の病気を発症することもあるため、足腰の負担が少ない水泳を取り入れても良いかもしれませんね。

老齢期になると、体が重たいために、しっかりとした足腰がなければ大きな体を支えることができなくなってしまいます。こうした状態を回避するためにも、幼少期からは丈夫な足腰を鍛えるためにも、適度な運動や散歩を欠かすことが出来ません。

こういった意味でも、プールでの水泳は特にオススメな運動です。海に関しては泳ぎに慣れてから、かつ安全な水域で泳がせるようにしましょう。ニューファンドランドは泳ぎが得意だからと言って、全てのニューファンドランドが得意なわけではありません。訓練を積んでいるニューファンドランドとは違いますので、いきなり海から泳がせたりしないようにしましょう。

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ニューファンドランドの暑さ対策

ニューファンドランドは、寒い地域の犬種なので、寒さには強いですが、高温多湿の環境には、比較的不向きなところがあります。炎天下の中の散歩は避け、暑い部屋での留守番にはエアコンなどを入れておきましょう。

また、エアコンの設定温度にも注意しておきましょう。外気温が高いからと言って、長時間、エアコンが効きすぎた部屋にいると、温度調節がおかしくなり、体調不良の原因にもなりかねません。あくまでもエアコンをつける際には、適温を維持するように設定しましょう。

ニューファンドランドは散歩の時間も多めに取る必要がありますので、水を持って散歩に出かけたり、散歩途中に一休みできる場所や日陰がある場所なども把握しておくようにしましょう。

ニューファンドランドと暮らすために

ニューファンドランドは、体重60kgを超える「超大型犬種」です。急な発病や老衰などで自力で動けなくなった時、病院へ運ぶことはとても大変なので、往診してくれる獣医師さんがいる病院を探しておくと良いでしょう。また、この大きな体を治療できるような設備や搬送車があるのかということも選択肢に入れましょう。

ちょっとした移動の際にも、やはり車は必要になってきますので、ニューファンドランドが無理なく運べるようなサイズの車を、飼い主さんも所有しておく必要はあるかもしれません。

体の大きな犬を飼うと、それだけ身の回りの物を揃えたり、コストがかかってしまうといった問題も出てきますが、できるだけスムーズな飼育ができるよう、しっかりとした道具や車を揃えておくのは大事になります。

さいごに

ニューファンドランドの飼育は、大変なことが多いと思います。気を付けなければならない病気も多く、そのためにこの犬種の保険料は高めだとも言われています。また、散歩や運動やしつけに取られる時間も多いでしょう。量の多いヨダレや時間のかかるシャンプーも覚悟の上です。

しかし、ニューファンドランドは、寿命が7~8年と言われており、小型犬と比べても半分しかありません。この短い時間の中で、飼い主さんに喜んでもらうため、献身的に一生懸命生きるニューファンドランドという犬種を愛情いっぱいで育ててみたくなりますよね。

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