犬の種類には様々な特徴や性質、気をつけなければいけない事などがあり、犬を飼う上では犬種別に特徴を理解することが必要になります。今回は犬種の一つ「スコティッシュ・テリア」についてチェックしてみましょう。
元はウエスティと一緒だったスコティッシュ・テリア
スコティッシュ・テリアは、キツネやアナグマ、カワウソなどの小害獣の猟をするために使用されていました。1800年代まで、スコットランドにいたテリアは、白やグレー、レッドなど様々なカラーがあり、スコットランド原産ということから、全てひとまとめに「スコッチ・テリア」と呼ばれていました。
しかし、1837年にスコッチ・テリアから、まず「ダンディ・ディモント・テリア」という名称で独立し、残りのテリアは「スカイ・テリア」と称されましたが、1881年にスカイ・テリアは、「スカイ・テリア」と「ハードヘアード・テリア」に分離されました。
さらにハードヘアード・テリアは、「スコティッシュ・テリア」「ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア」「ケアーン・テリア」に分けられたことで、今のスコティッシュ・テリアが誕生したと考えられています。
スコティッシュ・テリアとしてのルーツ
このようにして「スコティッシュ・テリア」と明確に分けられましたが、その後、第二次世界大戦後のアメリカでは、フランクリン・ルーズベルト大統領がペットとして飼育していた愛犬「ファラ」が、スコティッシュ・テリアであったことから、人気も急上昇してきます。
他にも、アイゼンハワー大統領やロナルド・レーガン大統領、近年ではジョージ・ブッシュ大統領がスコティッシュ・テリアをペットとして飼っていたこともあり、アメリカ国内でもスコティッシュ・テリアの人気は不動のものとなりました。
ウイスキーのボトルなどにも描かれるスコティッシュ・テリア。大統領だけではなく、一般市民にも愛される犬種であることがわかりますね。ちなみにルーズベルト大統領の愛犬ファラは、生涯主人と共に暮らし、亡くなった今でもルーズベルト大統領の墓の傍に埋葬されています。
スコティッシュ・テリアの性格
スコティッシュ・テリアの性格は、とても明るく活発であり、利口で好奇心旺盛な犬種なので、家族を楽しませてくれるでしょう。しかし、毛を引っ張ったり、叩いたり、乱暴で加減を知らない子供の扱いが苦手なため、まだ理解・判断ができないような小さな子供と接する際は十分に注意しましょう。
また、独立心が強い性格のため、頑固でワガママなところがあります。スコティッシュ・テリアは、別名「ダイハード(最後まで屈しない頑固者)」という愛称を付けられているだけに、服従訓練や躾に関しては、他の犬種よりも比較的時間がかかりますので、長い目で見て、根気良くトレーニングしましょう。
スコティッシュ・テリアは、家族や顔見知りの人以外にはあまり友好的ではありません。また、怖いもの知らずな所があり、いざという時が来たら、飼い主さんや家族を守ろうと勇敢に向かっていく性質を持ちます。飼い主さんに対してはとても忠実なので、期待に応えようと一生懸命になります。
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スコティッシュ・テリアの大きさ
スコティッシュ・テリアの大きさは、体重でおおよそ10kg前後ほど、体高が28cm前後程となっています。小型犬ではありますが、頭は大きく、手足も短いので、小型犬の中でも比較的ガッシリとした体をした犬種です。
実際に体も筋肉質な骨太体型で、丈夫そうな印象を受けると思いますが、その印象通り、負けん気の強い気質であるために、他の犬と喧嘩しようとする子も多く見られます。
力もそれなりに強く、こうした気性も兼ね備えているので、華奢な女性やお子様が連れている際には、しっかりと躾を行うか、十分に注意しながら歩くようにしましょう。引っ張る力も強いので、しっかりとリードを握り、安全に歩行できる練習を小さいうちから始めても良いかもしれませんね。
スコティッシュ・テリアの被毛の色
スコティッシュ・テリアは、雨風に強い剛毛の「オーバーコート(上毛)」と、柔らかく密生した「アンダーコート(下毛)」の二層構造からなる「ダブルコート」の被毛で、被毛のカラーは、「ブラック」「ウィートン」「ブリンドル」があります。
ウィートンやブリンドルはどんな色?と聞かれることも多いのですが、ブラックやホワイトと言ったお馴染みの色とは違い、犬の毛色で使われる色の単語ですので、あまり一般的に知られた色ではありません。
「ウィートン」とは、淡い小麦色のような毛色で、薄いベージュのような、クリーム色のようなカラーに近いかもしれませんね。また、「ブリンドル」に関しては地色に他の色が差し込んだ色で、まだら模様とも言えるかもしれません。こげ茶色の地色に、黒いまだら模様といった感じが、比較的多く見られるブリンドルです。
スコティッシュ・テリアの被毛
一般的に飼育されてるスコティッシュ・テリアのトリミングは、クリッピング(バリカンで毛を刈られること)されていることが多く、毛質が柔らかい子が多いです。
中には、ストリッピングといい、スコティッシュ・テリア本来の硬い毛や色を保つためや、毛量を増やすために、頭や背中毛を完全に抜くトリミング方法もあります。これは、オーバーコートを抜くことで毛質が良くなり、アンダーコートを抜くことで通気性も良くなり、皮膚にも良いとされています。
しかし、皮膚も赤くなり、見た目も痛々しく、トリミング費用も高額になるため、日本ではあまりストリッピングするスコティッシュ・テリアは見かけないかもしれませんが、ドッグショーに出陳する際はストリッピングをする場合が多いようです。
スコティッシュ・テリアがかかりやすい病気
【フォン・ビルブランド病】
フォン・ビルブランド病とは、フォン・ビルブランド因子の遺伝的欠損症で、血小板の出血機能に異常をきたしてしまう病気です。簡単に言うと、出血が止まらなくなる病気です。
身体をケガした時に過度に出血してしまったり、子犬の歯の生え替わりでなかなか血が止まらないということがあれば、すぐ病院で診察してもらいましょう。
【頭蓋骨下顎骨骨症】
1歳未満の子犬に発症することが多く、子犬の骨の成長期に、下顎骨と頭蓋骨に疼痛を起こす、骨の増殖による病気です。成長が止まると進行も止まり、症状も治まりますが、成長期に自分で餌が食べられなかったり、痛みが抑えられない場合、安楽死などの処置を取られることがある、怖い病気です。
スコティッシュ・テリアは腫瘍系の病気にも注意
スコティッシュ・テリアは、膀胱におけるガンの発症率が、ほかの犬種に比べて20倍にもなると言われています。
膀胱でのガンの中で最も一般的なものは、「移行上皮ガン」と言われ、膀胱三角という場所で発症します。膀胱のガンになると、排尿困難のような症状が見られ、我慢してもらしてしまうこともあります。
もし、トイレを失敗することが続くようなことがあっても、むやみに怒ったりせずに病院で診察してもらう必要があります。また、膀胱の癌以外にも、胃がんや悪性リンパ腫、肥満細胞腫、血管肉腫など、スコティッシュ・テリアは悪性腫瘍が発症しやすい犬種ですので、万が一気になるようなことがあれば、迷わずにすぐに検査を受けてみても良いかもしれません。
スコティッシュ・テリアのブリーダー
スコティッシュ・テリアは、ペットショップなどでは余り見かける機会もないため、スコティッシュ・テリアを迎え入れる際にはブリーダーからの直販が中心となるでしょう。
価格に関しては平均で22万円ほどとなっていますが、場合によっては更に高値で取引される場合もあります。スコティッシュ・テリアのブリーダーに関しては、日本国内でも少なく、大阪と奈良の2県に存在するのみとなっています。個人ブリーダーに関しては情報も少ないため調べられませんが、トラブルなどの心配もあるため、しっかりと安心のおけるブリーダーから譲り受けるようにしましょう。
子犬を探す時にはどうしても、子犬だけに目が行ってしまいがちですが、後々大事になってくるのは相談ができる相手がいることです。ブリーダーさんの相性も大事な要素ですので、しっかりと話をしてブリーダーを判断するようにしましょう。
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スコティッシュ・テリアと暮らすために
スコティッシュ・テリアは、小型犬と言えども、運動量はそこそこ必要になります。毎日の散歩の他にも、ドッグランへ連れて行くなどの自由運動も取り入れると良いでしょう。元々は狩猟犬として、獲物を追っかける本能を持ち合わせていますので、「ボール遊び」や「追いかけっこ」など、家族で楽しめるような遊びを一緒にするのがお勧めです。
スコティッシュ・テリアは、見知らぬ動物などに対して攻撃的になることがあります。特に去勢をしていないオス同士を会わせると、ケンカになることもあるので気を付けましょう。また、狩猟犬の素質から、小動物を執拗に追っかけることがあるので、ウサギやフェレットなどの小動物との多頭飼いは避けた方が良いかもしれません。
また、独立心や自尊心が強いせいか、トレーニング中に頭ごなしに叱ったり、無理強いしたりすると、愛犬の失意のきっかけとなり、思うようにトレーニングできなくなります。ちゃんと出来たときは思いっきり褒め、ダメな時はちゃんと叱るなど、躾にメリハリをつけた「飴と鞭」作戦でトレーニングをすると効果的かもしれませんよ。
スコティッシュ・テリアは、飼いやすい犬種かと言われれば、そうじゃないかもしれません。しかし、スコティッシュ・テリアは、生涯主人を一人と決める「ワンパーソンドッグ」として知られており、信頼できる飼い主さんがいたら、生涯忠誠心を持って尽くします。かつてのルーズベルト大統領も、スコティッシュ・テリアのそんな性格を愛したからこそ、自分の墓近くに愛犬を埋葬したのでしょうか。
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