猫に必要不可欠な栄養素の1つに「ビタミンB12」と呼ばれるビタミンがあります。このビタミンB12は、皮膚や被毛の健康や、細胞の生成を促すために必要な栄養素です。今回はこの「ビタミンB12」について調べてみましょう。

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ビタミンB12とは?

猫や人間に必要な5大栄養素には「タンパク質」「脂質」「ビタミン」「炭水化物」「ミネラル」の5つが挙げられますが、これらに加えて必要な栄養素「水」を入れることで、6大栄養素とも言われます。その内、「ビタミン」は、猫の生命を維持するために必要な栄養素でもあり、猫の成長のためにも欠かせないものです。
また、同じビタミンでも、脂に溶ける性質を持つ「脂溶性ビタミン」と、水に溶けて尿と共に排出される「水溶性ビタミン」の2つに分類されます。その中の一つ、水溶性ビタミンのひとつに挙げられる「ビタミンB12」。
ビタミンB12はビタミンB群の一種でもありますが、「コバラミン」と呼ばれる場合もあります。また、ビタミンの中でも、唯一ビタミンB12だけがミネラルを含んでおります。

ビタミンB12と葉酸のコンビ


このビタミンB12は、他のビタミンB群と共に血液中のヘモグロビンの合成を助け、貧血を防ぐ働きを持ちますが、ビタミンB12だけを維持しても、他のビタミンとのバランスが取られていなければ、貧血などの症状を引き起こしてしまいます。
貧血の要因にはこのビタミンB12の不足が密接に関係していますが、他にも「葉酸(ビタミンB9)」が不足していることも関係しています。
そして、この葉酸はビタミンB9が持つ補酵素で、ビタミンB12とビタミンB9が力を合わせることで、赤血球を作り出すことから「造血ビタミン」とも呼ばれています。
そのため、貧血を起こしている時にはビタミンB12だけを摂取するのではなく、葉酸も合わせて摂取する必要があるのです。ビタミンB12とビタミンB9は対の関係にあるということですね。

葉酸の働きとは

葉酸は、遺伝子で知られるDNAを合成するのにも欠かせないビタミンの一つです。人間でも、妊娠する前・妊娠した際にも摂取したほうが良いとされる葉酸ですが、これは猫にとっても同じで、健康なDNAを生成するのに欠かせないビタミンであるため、葉酸を摂取するのが大事になるのです。
葉酸が不足してしまうと、成長が遅れてしまったり、正常に細胞を生成することができなくなるといった状態になってしまいます。場合によっては先天性異常を引き起こしてしまう場合もあるため、妊娠と葉酸の関係もこうした理由からとなっています。
また、前述の通り、葉酸が不足してしまうと貧血を引き起こす原因にもなったり、動脈硬化を抑制させる働きがあるなど、猫の体には欠かせないビタミンの一つとなります。

ビタミンB12が不足してしまうと?

前述の通り、猫がビタミンB12が不足してしまうと、貧血を起こしやすくなり、脳や神経に障害を与えるほか、全身がだるくなったり疲労感が強く、抑うつ状態になります。
この他、ビタミンB12が不足してしまうと発育にも悪影響を与えてしまったり、食欲不振や胃腸炎、栄養が低下してしまうために脱毛や蕁麻疹などの症状も発症する場合があります。
ビタミンB12が不足といっても、あくまでもビタミンB12とビタミンB9のバランスが取れていなければ貧血の要因となってしまうため、どちらかが不足したり、過多になっても意味がありません。では、どのようにしてビタミンB12を維持していけばよいのでしょうか。

ビタミンB12の必要量は?

猫に最適なビタミンB12の摂取量・必要量はどの程度となるのでしょうか。
「AAFCO(米国飼料検査官協会)」によるキャットフードの養分基準値では、ビタミンB12は最低でもキャットフード100gあたり2.0μg、葉酸に関しては80μgという数値になっています。といってもピンとは来ないですが、これらのビタミンに関してはキャットフードにしっかりと含まれているはずですので、そこまで必要量について心配する必要は無いでしょう。
ビタミンB12が不足してしまうと、前述の通り皮膚や被毛の毛艶にも影響が出てきたり、食欲不振といった様子も見られるようになるため、日頃からしっかりと愛猫の様子を確認しておくようにしましょう。

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ビタミンB12や葉酸を含む「レバー」


ビタミンB12は野菜などにはほとんど含まれていないので、ビタミンB12を摂取するには肉や魚、卵などを食べる必要がありますが、中でも群を抜いてビタミンB12が多いのがレバーなのです。
一方、ビタミンB12の仲間となるビタミンB9の葉酸ですが、葉酸はほうれん草やブロッコリーなどの緑黄色野菜に含まれます。しかし、葉酸もまた、レバーに含まれるビタミンとなっています。
ビタミンB12と葉酸のコンビについては前述のとおりですが、レバーを食べることで効率よく2つのビタミンを摂取することが出来るため、貧血にはレバーと言われる由縁にはこういった理由からきているのです。
なお、猫は日頃の食事から魚を食べる事が多いので、極端な場合でなければレバーを摂取せずとも、ビタミンB12は十分に摂取できているはずです。

まとめ

水溶性ビタミンであるビタミンB12は一定量を越えると尿とともに排泄されていくので、過度に過剰症を心配する必要はありません。また、ビタミンB12は腸内細菌によって合成されるビタミンでもあり、必要量もわずかではあるので、欠乏症に関しても心配する必要はありません。
しかし、あくまでもこれは通常の食生活を送っている場合に限られますので、不規則な食生活を送っている場合や、病気を発症している場合には状況が変わるでしょう。
愛猫が食欲不振になっていたり、貧血のような動作を起こしたり、元気が無い場合、毎日の食事の管理はできているかを、まずは確認してみるようにしましょう。偏った食生活を続けているようであれば、ビタミンB12の不足も考えられるかもしれません。
食事は生命の維持に大切ということはわかってはいますが、いかに毎日の食生活と、食事のバランスが大事なのかということがわかりますね。しっかりとした食生活を送れるよう、飼い主さんが管理してあげて下さいね。

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