猫の種類には様々な特徴や性質、気をつけなければいけない事などがあり、猫を飼う上では猫の種別に特徴を理解することが必要になります。今回は猫種の一つ「バーミーズ」について、飼っている方もこれから飼いたいと思っている方もチェックしてみましょう。

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バーミーズとは

「バーミーズ」の声って聞いたことありますか?
名前を呼ぶと、控え目に小さい声で甘えながら鳴くんです。バーミーズは声が小さいため、「慈悲深い猫」とも呼ばれています。あの声にどれだけの人が癒やされるのでしょう。

バーミーズは、日本ではそんなにメジャーな種類ではないのですが、アメリカのキャットショーでは、「ペルシャ」「シャム」に次いで出陳頭数が多い人気の高い種類になります。

バーミーズのルーツ

1930年にミャンマー(当時のビルマ)に滞在していたアメリカの精神科医であるトンプソン博士が、「ウォンマウ」という茶色いメス猫をアメリカへ持ち帰りした。博士はそのウォンマウとシールポイントのシャムを交配し、生まれてきた子とウォンマウをもう一度掛け合わせるという「戻し交配」をさせたのです。

この時に生まれたのが
①淡いボディカラーにダークブラウンのポイントを持ったシャムタイプ
②濃いダークブラウンのボディカラーに、更に濃い色のポイントを持ったトンキニーズタイプ
③ダークブラウン一色のバーミーズタイプ
の3タイプいて、この③のダークブラウンの子猫がバーミーズの基礎であると考えられています。

バーミーズは、1936年アメリカの猫登録団体「CFA」から公認されましたが、それからもシャムとの異種交配を繰り返したことで、バーミーズ独特の美しい被毛に問題が生じ、1947年に公認が取り消しとなりました。
その後、異種交配をやめ、バーミーズの慎重な交配が行われたことで、かつての美しい被毛を取り戻したバーミーズが誕生し、1956年に再公認となったのです。

茶色い毛色を持つバーミーズの作出


実は同じバーミーズでも2種類が存在しており、「アメリカンバーミーズ」と「ヨーロピアンバーミーズ」という2種がいます。というよりも、厳密に言うとこの2種は別の品種として認定されています。

その理由とは、アメリカで茶色い毛色を持つバーミーズが作出されたことがきっかけで、イギリスでも同じくバーミーズの人気が高まり、アメリカで作出されたバーミーズを輸入し、イギリスでもバーミーズの繁殖が開始された事から始まります

しかし、アメリカとイギリスとでは作出の考え方や方法も違っていたため、同じバーミーズでも、別々の特徴を持つバーミーズが作出されていくこととなります。

ちなみに、「バーミーズ」という名前の由来は、「バーミーズ葉巻」という葉巻に色がよく似ていることから付けられたようです。

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「アメリカンバーミーズ」と「ヨーロピアンバーミーズ」

1936年にCFAは一度、アメリカでバーミーズ(アメリカンバーミーズ)を新品種として登録したものの、その後は乱繁殖が目立つようになり、1947年に一度認定を取り消すことに。その後となる1952年には、イギリスの猫血統登録団体「GCCF」が「ヨーロピアンバーニーズ」を新品種として登録することとなります。

このように、アメリカとイギリスでそれぞれ作出が進んだバーミーズは、頭が丸みを帯び、ふっくらした頬が特徴の「アメリカンバーミーズ」と、頭が短いV字型で丸型の鼻を持ち、アメリカンバーミーズより体重が重い「ヨーロピアンバーミーズ」が特徴となって作出され、それぞれに登録されていきました。

現在では、アメリカンバーミーズは「CFA」と「TICA」が登録。
ヨーロピアンバーミーズは「CFA」と「TICA」「FIFe」「GCCF」の4団体が登録しています。

バーミーズとボンベイの違い

バーミーズに似た猫種に「ボンベイ」という猫がいます。

それもそのはず、ボンベイは「黒豹」のような猫を目指して作出された猫で、交配には「アメリカンショートヘア」と「バーミーズ」が使われたのです。始めの交配では理想とする黒豹のような子猫は生まれませんでしたが、6年間に渡って作出した結果、見事に黒豹のような猫を作出することに成功します。

1976年には「CFA」に登録されるまでになったボンベイですが、それまでには多くの苦労がありました。新品種として登録されるためには、純血種としてボンベイを生まれさせる必要があり、ボンベイの遺伝子を広げるためにはバーミーズの血統が不可欠でした。

しかし、バーミーズの繁殖者はボンベイの作出に関して良い顔をしておらず、多くの苦労の上に、ボンベイの血統が安定したのでした。今となっては世界的にも愛されているボンベイは、バーミーズとアメリカンショートヘアの特徴をそれぞれ持った、美しい姿の猫として知られています。

バーミーズの性格

陽気で明るい性格のバーミーズは、とても人懐っこく、好奇心旺盛で、来客があると我先にと寄って行くところがあります。

また、友好的で、環境適応力が高く、他のペットがいてもすぐ慣れるため、多頭飼いにも向いています。さらに、従順で賢いバーミーズは、物覚えが早いので躾もしやすく、声が小さいため、集合住宅にも向いています。バーミーズは、まさに良いとこ尽くしの理想的なペットと言えるでしょう。

バーミーズは、甘えん坊なところもありますが、自立心も持ち合わせていますので、留守番も上手にできるでしょう。しかし、同時に寂しがり屋で我慢強いところもあるため、あまり留守番が多いと、我慢をしてストレスを溜めることもあります。留守がちの家庭では、多頭飼いをして、留守番仲間を作ってあげるのも良いかもしれませんね。

バーミーズの大きさについて

前述の通り、バーミーズにはアメリカンタイプとヨーロピアンタイプの2種類が存在しますが、ヨーロピアンバーミーズの方がややがっしりとして体重が重いなど、若干の違いがあります。

アメリカンバーミーズの体重はおおよそ3kg〜6kgほど。ボディタイプはコビータイプとなっています。同じコビータイプの猫には猫には「ヒマラヤン」や「マンクス」「エキゾチック」等が挙げられます。

ヨーロピアンバーミーズの体重はおおよそ3kg〜7kgほど。ボディタイプはセミフォーリンタイプで、同じセミフォーリンタイプの猫には「エジプシャンマウ」や「トンキニーズ」「アメリカンカール」と言った猫が挙げられます。

同じバーミーズとは言え、このように明らかな違いがあるのも、バーミーズ特有と言えるでしょう。

バーミーズの被毛


バーミーズは、サテンのような感触で、撫でていると心が落ち着くような肌触りの被毛を持ちます。

また、バーミーズはきれい好きで、ほとんど被毛の手入れは必要ないとされていますが、週に1度くらい、ラバーブラシ(ゴムでできたブラシ)でマッサージしてあげると、より光沢が出て美しい被毛を維持できます。

バーミーズの被毛のカラーは、「セーブル」「セピア(薄い茶色と濃い茶色のコントラストがはっきりしてない状態の色)」「ブラウン」、その他に「シャンパン(ゴールドがかった毛色)」「プラチナ(光沢のあるシルバー)」「ブルー」「フロスト(ライラックとも呼ばれ、グレーに近い色)」などがあります。

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バーミーズがかかりやすい病気

【慢性腎不全】
バーミーズは、他の猫より2倍以上の確立で腎不全になりやすく、「家族性腎症(家系が腎臓の代謝障害を持つ猫)」と言われ、生まれた時の腎臓は正常でも、加齢になると腎臓の機能がだんだんと悪化することが多いのです。

症状は、多飲多尿、食欲の低下などから始まり、進行すると、嘔吐や貧血、毛艶が悪くなる、体重が減るというような症状に陥り、最悪の場合は、尿毒症を引き起こして命を落とすこともあります。日頃から愛猫をよく観察すること、また、年に1回の健康診断を受けることをお勧めします。

【尿結石】
尿管、膀胱、尿道の中に砂や石のような結石ができる病気で、この結石に刺激されることによって、膀胱や尿道を傷付けたり、尿道に詰まることでおしっこが出なくなります。特にオスは、尿道が細長くカーブしており、先端も細くなっているため、尿道に結石ができやすいと言われています。

「トイレの回数が増える」「少量のおしっこしか出ない」「おしっこをする時に痛がる」「おしっこがキラキラ光って見える」などの症状がある場合は要注意です。また、おしっこが2日以上出ない場合は緊急を要します。

尿結石は、ストレスや肥満、食事の変化などが大きな要因と考えられており、また、猫は元々水をあまり飲まないこともあるために「結石」を作りやすいと言われているため、日頃から愛猫の健康管理や尿チェックは欠かさず行いましょう。

バーミーズの値段について

バーミーズはペットショップでも見かける機会が少ない猫種ですので、バーミーズを迎え入れる際にはブリーダーからの直販という形になるでしょう。ただし、バーミーズのブリーダーに関しても多くはありません。インターネットで調べると出ては来ますが、選択肢が多いわけではありません。

バーミーズの価格に関しては、調べた時点での相場でおおよそ30万円〜といったところ。希少種ではありますので、これくらいの価格にはなりそうです。

なお、バーミーズの子猫は薄い色をしていますが、年齢を重ねていくとバーミーズらしい、美しい濃さに被毛が変わっていきます。本当に濃くなるのかなと不安に感じるかもしれませんが、成猫になり、美しい姿に変わっていく様子を楽しみましょう。

バーミーズと暮らすために


バーミーズは、遊び好きであり、大型種類ではないものの運動量がやや多いため、上下運動ができるようなキャットタワーなどを置いてあげると良いでしょう。また、飼い主さんや家族と遊ぶことが大好きなので、スキンシップも兼ねて、「猫じゃらし」や「ボール」などで遊んであげるととても喜びます。

バーミーズの筋肉質の体型を維持するためにも、高タンパク、高カロリーのフードを選び、よく運動させることが必要となります。しかし、運動不足や老化になり、高タンパク、高カロリーの食事をそのまま摂っていると肥満になることもありますので、愛猫に合った食事の管理が大切です。

また、バーミーズは、体調の善し悪しが被毛のコンディションに現れやすくなると言われてますので、こまめに注意して見てあげることが愛猫の健康管理にも繋がります。

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