猫の種類には様々な特徴や性質、気をつけなければいけない事などがあり、猫を飼う上では猫の種別に特徴を理解することが必要になります。今回は猫種の一つ「バーマン」について、飼っている方もこれから飼いたいと思っている方もチェックしてみましょう。
バーマンとは
バーマンといえば、「白い手袋」と「白いソックス」を履いた長毛種の猫として知られています。体重は、オスで4.2kg~7.0kg、メスで3.0kg~4.5kgくらいで、オスは普通の猫より大きめです。
フワフワの毛質で大きい体を持ちながら、大人しくて、とてつもなく甘えん坊な性格のバーマンはとても躾がしやすく、初めて飼育する人にも向いています。
バーマンのルーツ
バーマンのルーツは、ミャンマー(当時のビルマ)原産であり、古くから寺院で飼育されていました。バーマンに関して一つの伝説が残されています。ミャンマーの寺院に「シン」という名前の白猫がいました。そのシンを大事に育ててくれた僧侶が亡くなった時、その僧侶の遺体に飛び乗ったシンは、四肢より先以外の体を金色に、目をサファイア色に変えました。それはまさに「金の女神像」のようだと讃えられ、この時のシンがバーマンの祖先であると伝えられました。
さて、現実にはですが、20世紀始めの頃、イギリスや中国などが勢力を広げ、ミャンマーを支配下に置こうとしていました。当時、ミャンマーの寺院を襲撃から守ったイギリス人が、オスとメスの2頭の寺猫をフランスへ持ち込み、この時の寺猫がヨーロッパに渡った最初のバーマンであると言われています。
残念ながら、オスは輸送中に亡くなりましたが、メスのバーマンは妊娠しており、このメスと子猫がバーマンの繁殖の基礎となったのです。
バーマンの特徴を生かすための交配
その後の1919年頃、フランスではバーマンの作出計画が始まりました。そして、1926年にはフランスのキャットショーに出陳したという記録が残っています。しかし、その後に起きた第二次世界大戦の影響により、バーマンの数は2頭にまで激減してしまいます。
バーマンの血を残すため、バーマンと毛色などの特徴が似ている「シャム」や「ペルシャ」などと異種交配を重ることになり、なんとか絶滅の危機を免れることに成功します。1965年にはイギリスの愛猫協会「GCCF」、1967年にはアメリカの愛猫協会「CFA」に公認されています。
バーマンと特徴がやや似ている猫に「ヒマラヤン」が挙げられますが、ヒマラヤンに関してもペルシャとシャムの血を引く猫であり、バーマンとは歴史背景や原産国が違うながらも、その容姿的な特徴やどこか似た雰囲気を持ちます。
バーマンの性格
かつては寺院で育った歴史があるためか、バーマンは穏やかで優しい性格を持つ子が多いようです。また、とても愛情深く、辛抱強いところもあるため、多頭飼いや子供との付き合いも上手にできます。
甘えん坊で寂しがり屋な面を持つバーマンは、家族で最も信頼を寄せている人にはストーカーをすることがあり、部屋中どこへ行くにも付いてきます。
さらに、大好きな人の気を引くために、洗濯物をたたむのを手伝おうとしたり、新聞を読むのを邪魔したり、パソコンのキーボードの上に乗っかったりする「かまってちゃん」になることがあります。
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バーマンの体重はどのくらい?
バーマンの体重はおおよそ3kg〜7kgほど。ボディタイプは「ロング&サブスタンシャルタイプ」に分けられます。
見た目からも分かる通り、バーマンはなかなかガッシリとした体格で、体重もそれなりに重い猫の種類。家庭内で飼育するにあたり、小型猫とは違った配慮が必要になるでしょう。特に、キャットタワーのサイズには注意しましょう。
バーマンはある程度の年齢になると、活発に動くタイプではなくなるため、運動できるようにキャットタワーなどを置いてあげるようにしましょう。このキャットタワーを設置する場合の注意点としては、バーマンは体が大きくて重いため、安定感のある低いものを選ぶのが良いでしょう。その他、家具など、壊れそうな部分には注意するようにしましょう。
バーマンの被毛
バーマンは、絹のような触り心地の良い被毛を持ち、長さはセミロングで、ペルシャなどの長毛種の猫と比べると、毛量は少なめで毛玉になりづらいのですが、毛球症(毛繕いの際に、飲み込んだ自分の体毛が消化器官内に留まり、吐くことも排便することもできなくなる状態)や皮膚病の予防のためにも、週に2~3回くらいはブラッシングして抜け毛を取り除いてあげましょう。
バーマンの特徴といえば、四肢から先にある靴下のような被毛でしょう。前足は「ブローブ」後足は「レース」などと呼ばれています。このように、顔や手足、尻尾に斑が入ることを「ポイント」、四肢に手袋や靴下を履かせたような斑がある「ミテッド」、2色混合しているのが「サビ猫」とも呼ばれる「トーティ(トータスシェル)」となります。
バーマンの毛色
バーマンの被毛のカラーは、「シール(こげ茶)」「ブルー」「ライラック」「チョコレート」「レッド」「クリーム」などの「ポイント」、またこれらの「タビーポイント」などがあります。
また、バーマンの背中には淡いクリーム色の毛が生えており、この被毛をゴールデンミストと呼ばれます。毛玉の出来にくいバーマンの被毛ですが、美しい被毛を維持するにはブラッシングが効果的です。常に清潔で美しい被毛を維持できるよう、日頃からブラッシングを行う習慣があると良いですね。
バーマンの幼少期のボディは白に近い淡い色であり、成長するにつれ顔周りや尻尾、手足などに特徴的な斑模様が入るため、幼少期の時とイメージが変わるかもしれないですが、それもまたバーマンの成長を見るうえでの楽しみではないでしょうか。
バーマンと「ヒマラヤン」は似ている?
バーマンの容姿に似ている猫に挙げられる上の写真にもある「ヒマラヤン」。見る方によっては似ているのかもしれませんが、バーマンはミャンマーを原産とする猫、ヒマラヤンはアメリカやイギリスを原産とする猫です。
バーマンの特徴としては、足先の毛色は入っていないのに対し、ヒマラヤンは足先の毛色まで色が入っているという点に加え、バーマンの体型は長くガッチリとした体格。一方、ヒマラヤンの体型はどちらかというとペルシャにも近く、コロンとした印象を受ける体型です。
ヒマラヤンの「ドールフェイス」にも似ているかもしれませんが、バーマンは鼻先もしっかりあり、鼻ぺちゃのヒマラヤンとは全く違った顔をしていますね。バーマンも種の危機が訪れたため、ヒマラヤンと同じくペルシャとシャムの血統が入りましたが、根本的には原産となるミャンマーのバーマン後が色濃く残っています。
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バーマンがかかりやすい病気
【肥大型心筋症】
心臓の筋肉が内側へ向かって厚くなり、心室が狭くなってしまうことで、全身に十分な血液を送ることができなくなる病気です。そのため、体はバランスを取るために心拍数や血圧を上げるようになります。
初期の症状は、すぐに疲れてしまったり、じっとしていることが増えたり、少しの運動でも息切れするなど、猫の老化と間違われることが多いため、なかなか初期の発見は難しいと言われています。そして進行すると、肺水腫や胸水を引き起こしたり、血管や心臓の中で血液が固まる血栓症になり、最悪の場合死に至る恐ろしい病気です。
【眼瞼内反症】
これは、眼瞼(まぶた)が内側に反り返った状態を言います。そのため、目の表面にマツゲが刺さり、眼球を傷付けることにより、角膜炎や結膜炎を引き起こしてしまいます。原因は先天的な場合と、後天的な要因は、ケンカなどにより外傷を負った場合とあります。
「まばたきの回数が増えていないか」「最近目ヤニや涙が多くないか」「目をしきりに擦っていないか」「目は充血していないか」など、日頃から目のチェックが必要です。
バーマンのブリーダー
バーマンは、ペットショップなどで見かける機会もほぼない猫種です。そのため、バーマンを迎え入れる際にはブリーダーからの直販と言うかたちになりますが、多くが個人ブリーダーとなるようなので、サイトなどを利用して探すこととなるでしょう。
価格に関してはおおよそ25万円〜といったところ。高い場合だと30万円ほどの価格になるでしょう。
ブリーダーからの直販の良い所は、親の毛色や顔を確認することが出来るという点でしょう。ペットショップではなかなか難しいので、将来の状態をイメージしつつ、親の毛色なども参考にしてみると良いのではないでしょうか。バーマンはまだまだ日本では希少種の猫ですので、探すのにもやや大変かもしれませんね。
バーマンと暮らすために
バーマンは成猫になると、どんと落ち着いてしまい、あまり積極的に運動するほうではないので、肥満には注意しなければいけません。しかし、人との触れ合いを好むため、「猫じゃらし」や「ボール」などで遊んであげると、喜んで参加したがるので、愛猫とのスキンシップも兼ねて、肥満予防のためにもたくさん遊んであげましょう。
バーマンは、犬のような猫です。普通の猫は家に付くと言いますが、バーマンは人が好きで好きでたまりません。トイレにもお風呂にも付いてこようとする甘えん坊さんです。しかし、飼い主さんが忙しいなどでスキンシップ不足に陥ってしまうと、ストレスに感じ、いたずらをすることもあるでしょう。体調を崩すこともあるかもしれません。
あまり過度なスキンシップは必要ありませんが、できる限り一緒にいる時間を作ってあげて、お家で一緒にゴロゴロしましょう。それだけでこの子たちは十分に幸せなのです。
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