猫の種類には様々な特徴や性質、気をつけなければいけない事などがあり、猫を飼う上では猫の種別に特徴を理解することが必要になります。今回は猫種の一つ「ラガマフィン」について、飼っている方もこれから飼いたいと思っている方もチェックしてみましょう。
ラガマフィンとは
「ラガマフィン」という名前を聞いても、日本ではあまりメジャーではないので、知っている方は少ないかもしれませんね。
後述にもありますが、ラガマフィンは「ラグドール」と深く関係があるため、見た目と性格がそっくりな大型の長毛猫です。
フワフワの毛質で大きい体を持ちながら、大人しくて、とてつもなく甘えん坊な性格のラガマフィンはとても躾がしやすく、初めて飼育する人にも向いています。
「ラグドール」を独占したブリーダー
ラガマフィンの祖先は「ラグドール」ですが、ラガマフィンもラグドールも相違点が多いということから、今もラガマフィンを一つの種類として認めていない団体もいます。
そもそもラガマフィンは、人間のしがらみや確執、繁殖のビジネスなど、少し変わった経緯から作出されたと言われています。
1963年にカリフォルニア州のペルシャのブリーダーであるアン・ベイカーが白いペルシャとシールポイントのバーマンを掛け合わせ、その生まれた子とバーミーズを交配して「ラグドール」を作出しました。ベイカーは、「ラグドール」という品種名で商標登録をし、既存の猫血統登録団体には入らず、「IRCA(インターナショナル・ラグドール・キャット・アソシエーション)」という組織を自ら設立しました。
ベイカーは、「IRCA」の登録がなければ、繁殖する際にラグドールを使用することができないというビジネスを始めたのです。生まれたラグドールの子猫の代金を、このベイカーの団体に数パーセントを支払うという契約もありました。要は、アン・ベイカーは、繁殖も売買も「ラグドール」という名前も全て独占しようとしたのです。
ラガマフィンのルーツ
1994年になると、アン・ベイカーが敷いた厳しい規制に疑問を持ったグループが「IRCA」から独立し、ラグドールを基礎として新たに「ラグドール」を作出することとなりました。
この、ペルシャやヒマラヤンと掛け合わせて作出しようとした「ラグドール」こそが、後の「ラガマフィン」であると言われています。しかしこの時、ラグドールを無断で使用したことによって、裁判沙汰になったこともありました。
このように、複雑な問題を乗り越えて生まれたのが「ラガマフィン」なのです。
ちなみに、ラガマフィンとは「いたずらっ子」「ボロ服をまとった」という意味があり、ラガマフィンの愛好家団体の一人が、冗談半分で付けて仮登録したのですが、その後に名前の変更申請を出したのを却下されてしまったため、今もこの名前が定着しているとのことです。
ラガマフィンの性格
ラガマフィンは、ラグドールと似た性格を持つため、甘えん坊なところがあり、抱っこが大好きで、常に人に寄り添います。また、とても人懐っこく、優しい面も持ちますので、多頭飼いをすれば、他の動物とも仲良くすることができます。さらに、利口で物覚えが早いため、飼い主さんを手こずらせるようなことはないでしょう。まさに、良いこと尽くめの猫なのです。
また、ラガマフィンは、好奇心旺盛で遊び好きなところがあり、大人になっても「いたずら」することがあります。でも、これは寂しい思いをして、飼い主さんの気を引こうとしてする「いたずら」でもありますので、あまり叱らないでくださいね。
スポンサードリンク
ラガマフィンの被毛
シルクのような触り心地の良い被毛を持ち、長さはセミロングで、ペルシャなどの長毛種の猫と比べると、毛量は少なめで毛玉になりづらいのですが、毛球症(毛繕いの際に、飲み込んだ自分の体毛が消化器官内に留まり、吐くことも排便することもできなくなる状態)や皮膚病の予防のためにも、週に2~3回くらいはブラッシングして抜け毛を取り除いてあげましょう。
ラガマフィンの被毛のカラーは、ラグドールのような規定はなく、あらゆるカラーが認められており、「ポイント(顔や手足、尻尾などに濃い色が入り、他の部分は薄い色になること)」の入り方が完全でない場合でも、ポイントの上に「スポット(斑)」がある場合でも良いとされています。しかし、公認登録団体によっては、遺伝疾患に繋がるような白い部分の毛色が多い場合は認められないことがあります。
ラガマフィンの大きさ
ラガマフィンの大きさは、メスで4.5kg〜7kgほど。オスですと6.5kg〜9kgほどになります。ボディタイプはロング&サブスタンシャルタイプです。一方、ラグドールの大きさに関しては、ラガマフィンと同じ大きさで、ボディタイプも同じくロング&サブスタンシャルタイプとなっています。
ラガマフィンの遺伝子プールを広げるために、かつては「ペルシャ」や「バーミーズ」といった猫との異種交配が行われていましたが、現在においては一部、「ラグドール」との交配を認めているだけで、異種交配は行われなくなりました。
体重もボディタイプもラグドールと同じラガマフィンですが、ラガマフィンらしさを残す団体、ラグドールと交配を認める団体と、それぞれに考え方も違うようです。
ラガマフィンとラグドールの違い
「ラガマフィン」と「ラグドール」は同じように作出されてきた猫種ですが、実際のところかなり似ているのも事実。それもそのはずではありますが、具体的にはどのような部分が違うのかを見てみましょう。
まず、根本的な事になりますが、「ラグドール」の目の色はブルーのみ。一方、「ラガマフィン」の目の色に関しては、様々なカラーが認められます。ブルーの目の色をした「ラガマフィン」も存在しますが、基本的には「ラグドール」は目の色が青いということです。
次に被毛のカラーです。「ラガマフィン」の毛色に関しては、前述の通りあらゆる毛色が認められます。一方、「ラグドール」の毛色は、基本的には白い被毛がベースとなります。その上に、ポイントやトーティ、バイカラーといった毛色となります。
ラガマフィンがかかりやすい病気
【肥大型心筋症】
心臓の筋肉が内側へ向かって厚くなり、心室が狭くなってしまうことで、全身に十分な血液を送ることができなくなる病気です。そのため、体はバランスを取るために心拍数や血圧を上げるようになります。
初期の症状は、すぐに疲れてしまったり、じっとしていることが増えたり、少しの運動でも息切れするなど、猫の老化と間違われることが多いため、なかなか初期の発見は難しいと言われています。病状が進行すると、肺水腫や胸水を引き起こしたり、血管や心臓の中で血液が固まる血栓症になり、最悪の場合死に至る恐ろしい病気です。
【尿結石】
尿管、膀胱、尿道の中に砂や石のような結石ができる病気で、この結石に刺激されることによって、膀胱や尿道を傷付けたり、尿道に詰まることでおしっこが出なくなります。特にオスは、尿道が細長くカーブしており、先端も細くなっているため、尿道に結石ができやすいと言われています。
「トイレの回数が増える」「少量のおしっこしか出ない」「おしっこをする時に痛がる」「おしっこがキラキラ光って見える」などの症状がある場合は要注意です。また、おしっこが2日以上出ない場合は緊急を要します。
尿結石は、ストレスや肥満、食事の変化などが大きな要因と考えられており、また、猫は元々水をあまり飲まないこともあるために「結石」を作りやすいと言われているため、日頃から愛猫の健康管理や尿チェックは欠かさず行いましょう。
スポンサードリンク
ラガマフィンの寿命はどのくらい?
ラガマフィンの寿命は、おおよそ13年前後ほど。気を付けたい病気については前述のとおりですが、根本的な健康維持が出来ていなければ、ラガマフィンの寿命も十分に全うすることが難しくなるでしょう。
そのためには食事の管理や運動の管理、ストレスのない生活を心がけることです。特に猫の場合、シニアになってくると病気も増えがち。食事の管理に関しては、猫に多い尿路疾患などを意識した食事やキャットフードを与えるようにしましょう。
また、ラガマフィンは大型種の猫ですが、自宅内でも遊ぶことの出来るスペースは確保するようにしましょう。キャットタワーの選び方に関しても、ラガマフィンは大型種ですので、天井に固定するタイプの大きめのキャットタワーを選ぶようにしましょう。
ラガマフィンの値段はいくらくらい?
ラグドールの作出の過程で誕生した「ラガマフィン」。日本でも圧倒的に「ラグドール」の方が有名な猫種ですが、ラガマフィンに関しては日本での知名度もまだまだこれからといったところ。
そのため、ラガマフィンをペットショップで見かける機会は少ないかもしれませんね。一方、ラグドールに関しては人気の猫種ですので、かなり高い確率でペットショップでも見かける機会があるでしょう。ラガマフィンに関しては、ペットショップというよりかは、ブリーダーから迎え入れるのが早いかもしれません。
ラガマフィンの値段に関してですが、おおよそ30万前後ほど。高い個体ですと40万円を越える個体も居るようです。この点に関しても、ラグドールのほうが圧倒的に価格も安く取引されています。希少種とまではいきませんが、まだまだ日本では珍しい品種のラガマフィンですので、価格も高騰しています。
ラガマフィンと暮らすために
ラガマフィンは成猫になると、どんと落ち着いてしまい、あまり積極的に運動するほうではないので、肥満には注意しなければいけません。しかし、人との触れ合いを好むため、「猫じゃらし」や「ボール」などで遊んであげると、喜んで参加したがるので、愛猫とのスキンシップも兼ねて、肥満予防のためにもたくさん遊んであげましょう。
また、運動できるようにキャットタワーなどを置いてあげるのも良いでしょう。キャットタワーを設置する場合は、体が大きくて重いため、安定感のある低いものを選びましょう。
猫といえば、自由気ままなワガママで、こっちが近づくと逃げて行ってしまう・・・こんな猫の印象をガラリと変えてしまうラガマフィン。
ラガマフィンは、ラグドールの抱っこ好きで穏やかな性格と、大人になっても子供のままの無邪気さを併せ持っており、その名の通り「いたずらっ子」なところもあります。こんな可愛らしい目で見つめられると、どんないたずらでも許してしまいそうですね。
スポンサーリンク