昨今では治安も悪化しつつあり、国内海外問わず爆発物が関係する事件が多くなってきました。こうした爆発物を未然に発見する「爆発物探知犬」の存在が、現在は非常に注目をあつめるようになっています。今回はこの爆発物探知犬について解説していきます。

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「爆発物探知犬」が必要とされる昨今の情勢

パリの同時多発テロなど、テロ行為による被害が多発している昨今。海外だけにとどまらず、日本国内でもテロ行為に対する警戒をしていかなければならないような情勢にあります。そして、こうしたテロ行為は爆発物による攻撃が殆どで、街中に仕掛けられた時限爆弾などによる被害も少なくありません。

こうした情勢の中、注目されるのが「爆発物探知犬」の存在です。犬が人とともに働く仕事には様々なものがありますが、ご存知の通り、犬の嗅覚は人間よりも優れており、人間の数百倍〜もの嗅覚を持ち、刺激臭であれば人間の1億倍もの嗅覚で感知することができます。この優れた嗅覚を使い、的確に爆発物を探し出すのがこの爆発物探知犬です。

人間によるチェックや、機械を使った危険物のチェックでは見つけることのできない爆発物などを、この爆発物探知犬が捜索することで、卑劣なテロ行為を未然に防ぐことができ、多くの人の命を救ってくれています。ここ数年の情勢によって、この爆発物探知犬の必要性は高まってきており、国内海外問わず、テロ防止の一手として重要な存在となっているのです。

「地雷探知犬」と「爆発物探知犬」について

命をかけた犬の仕事には、同じく「爆発物」を発見するために訓練される「地雷探知犬」と「爆発物探知犬」が存在します。探すものは同じようであっても、この2つの仕事は似て非なるものです。2つの仕事に共通する「爆発物を発見する」ための訓練では、「爆発物マーカー」と呼ばれる物質を嗅ぎ分ける訓練が行われ、爆薬に混入している爆発物マーカーの臭いを頼りに爆薬を発見します。

この爆発物マーカーとは爆薬の製造時に、定められた物質を爆薬に混入させることを条約で定めたもので、混入させる事で探知機などによって探知しやすくするためのものです。探知機と同様、探知犬もこの爆発物マーカーの臭いを頼りに爆発物を発見しているのです。

そして、両者が大きく異なるのは、出動する仕事先です。爆発物探知犬は、車両や荷物など「特定の場所」からの捜索が基本となりますが、地雷探知犬が捜索する場所は戦闘エリアとなっていた(なっている)、極寒の地や灼熱の地など、「不特定多数の場所の地面」からの捜索が基本となります。

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爆発物探知犬は兼務?

爆発物探知犬は、本来の活動から爆発物探知犬として活動している例は少なく、その殆どが警察犬であったり麻薬探知犬であったりと、爆発物探知犬とは別の仕事をしている場合が多いです。日本国内における爆発物探知犬は、主に「警察」と「財務省」が配備しており、警察は警察犬が、財務省は税関の麻薬探知犬が爆発物探知犬の訓練を行っています。

このように、臨機応変に仕事を兼務している場合が多い爆発物探知犬ですが、海外等では実際の戦場に赴き、任務を行う爆発物探知犬も存在します。

勇敢な爆発物探知犬「ルカ」

6年間、アメリカ海兵隊の爆発物探知犬として活動していたジャーマンシェパードの「ルカ(Lucca)」。彼女は2012年3月、アフガニスタンでの任務中に、爆発物によって前脚を失う大怪我を負ってしまいました。しかし、ルカはそれまで約400回にのぼる任務をこなし、これまでに1人の犠牲者も出したことはありませんでした。

現在は爆発物探知犬の仕事を引退し、以前のパートナーであったクリス・ウィリンガム曹長に引き取られ、カルフォルニアで引退生活を楽しんでいるルカに、2016年4月、その名誉ある行動が讃えられ、メダルが贈られました。

このメダルは、動物愛護団体「PDSA(People’s Dispensary for Sick Animals)」から送られる「ディッキンメダル」というメダルで、軍事行動で活躍した様々な動物たちへ送られる、とても栄誉のあるメダルです。

多くの兵士の命や戦地の一般市民の命を守ってきたルカ。前脚を失ってしまう事となってしまいましたが、自らの能力と働きによって、たくさんの命を守ってくれました。

まとめ

犬は様々な仕事を通じて、私達の生活を助けてくれる存在ですが、こうして命をかけて仕事をしている犬たちも居るのです。特に、近年の治安悪化や、2020年の東京オリンピック等では、爆発物探知犬などの犬たちの存在は欠かせないものとなります。

まだまだ、その仕事や存在も知られていないものが多いですが、こうした犬たちを応援するためにも、活動に参加したり募金したりと、我々も何かしらのお礼と応援を行っていきたいですね。

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