犬に必要不可欠な栄養素の1つに「ビタミンC」と呼ばれるビタミンがあります。このビタミンCは、犬の免疫力を向上させることや、抗がん予防にも期待が持てるビタミンのひとつです。今回はこの「ビタミンC」について調べてみましょう。
犬の体で生成されるビタミンC
人間の世界では、風邪の予防にビタミンCを摂取すると言われますね。人間は自分の体内でビタミンCを生成することができないため、ビタミンCを摂取するためには食べ物から摂取する必要があります。これが犬にとってはどうなのでしょうか。
犬は自分の体内でビタミンCを摂取する事はできます。しかしながら、普段の生活においてビタミンCを必要とするシーンはかなり多く、病気にならないよう体を丈夫にするための免疫力を高めることにも、ビタミンCは必要になってきます。
また、ビタミンCは犬にストレスが加わることでも消費してしまうため、あまり落ち着かない環境で飼育されていたり、ストレスが常に掛かるような生活をしていると、必然的にビタミンCは消費されていくのです。
必要量は定められていません
飼料の成分値を明確に数値化している機関で知られる「AAFCO」。このAAFCOによる栄養基準値でも犬がビタミンCを生成できるという点からか、ビタミンCの栄養基準が示されてはいません。
そのため、ビタミンCを含有しているドッグフードでも10mg程度、そのほとんどはビタミンCを含有していない物が多いようです。一方、犬の体で生成されるビタミンCは1日でも最大で60mgと言われています。
しかし、このようにビタミンCが生成される最大量も、犬の体調はもちろん、犬が高齢になっていくにつれて、生成能力も低下していってしまうのです。愛犬の生活スタイルにもよりますが、犬が高齢化することや、成犬でもストレスがかかっている事を考えると、体で生成されるビタミンCだけでは不足してしまっている可能性もあるのです。
「AAFCO」とは?
「AAFCO」とは、「Association of American Feed Control Official」の略で、一般的には「AAFCO(アフコ)」と呼ばれています。日本語名では「全米飼料検査官協会」という意味になります。このAAFCOでは、ドッグフードやキャットフード等の「飼料」における成分値を基準化して、より安全で安心な成分値を公開している機関なのです。
適当に肉を入れれば良いというわけでなく、1日に必要な栄養素を賄えることができるフードを、より良質に作るための「指標」ともなるデータをAAFCOが公開し、メーカー等がその成分値を参考にして、ペットフードを研究・開発するのに役立てられています。
ビタミンCの役割とは
「アスコルビン酸」という呼称でも呼ばれるビタミンC。その効能・役割もビタミンの中では特に有名なのではないでしょうか。
ビタミンCは美肌効果を得られるビタミンとしても知られますが、肌のキメにも関係するコラーゲンを生成するために必要なビタミンです。コラーゲンは肌のトラブルや被毛にも関係してくるものです。
そして、ビタミンCはタンパク質の合成にも関わっており、筋肉や骨、皮膚、歯といった部分の強化にも大きく影響しています。
ビタミンCを単体で大量に摂取しても、他のビタミンと共に摂取しなければ高い効果は得られませんが、ビタミンC自体にはこうした肌や毛艶にも関係する効果や、免疫力を高めるためにも必要不可欠なビタミンなのです。
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免疫力を高める効果
一部の小型犬や大型犬にも多く見られる「股関節形成不全」や「関節炎」といった症状に対しても、ビタミンCを摂取しコラーゲンを作り出すことで、こうした病気に対しての予防や症状の緩和にも一役買うことに繋がります。
また、前述のように、ビタミンCは免疫力を高めてウイルス等の感染症から予防する効果もあります。ウイルス感染は免疫力が高い時には症状が見られない場合も多いですが、免疫力の低下に伴って症状を表し始めます。
そのため、ウイルス感染を予防することが非常に大事な防衛線となりますので、免疫力の低下は避けたいところです。しかし、ストレスによって失われるビタミンCは、多くのストレスを受けることで免疫力を低下させる要因となってしまうのです。
抗がん作用にも期待
ビタミンCが注目されるのには、ビタミンCを摂取することで抗がん作用にも期待が出来るということです。具体的には、ビタミンCが発がん性物質の合成を抑制したり、発がん性物質が細胞へと侵入するのを防ぐという効果があるのです。
もともと免疫力を高める効果があるビタミンCなので、ガンに対してだけではなく、犬が病気にならないような丈夫な体を作るためにも、とても重要な栄養素であることがわかりますね。
水溶性ビタミンであるビタミンCは、わずか2〜3時間で排泄されてしまうビタミン。いくら体内で生成されるとは言え、過剰症もありませんので、ビタミンCを出来るだけ摂取させている方が安心だということがわかります。
ビタミンCの適切な摂取量は?
水溶性であるビタミンCは過剰摂取の心配もありませんが、どの程度与えたら良いのかわからないという飼い主さんも多いことでしょう。
前述の通り、ビタミンCの必要量は定められてはいませんのである程度の量であれば許容範囲内といったところですが、目安となる摂取量としては小型犬で500mgほど、大型犬になると約3,000mg程度が摂取量の目安となります。
数値も大きな開きがありますが、犬によっても体重やビタミンCを合成する能力に個体差が当然ありますので、こうした摂取量の目安も一概に正解とは言えないものとなります。
また、犬の年齢や妊娠中によっても摂取量の目安は変わってきます。ただし、基本的にはドッグフードなどにもビタミンCが含まれている場合は多いので、あまり神経質に摂取量を気にする必要はないでしょう。
ビタミンCを多く含む食べ物
ビタミンCを多く含む食べ物には、
・ブロッコリー
・かぼちゃ
・ピーマン
・さつまいも
・いちご
・みかん
・柿
といった食べ物が挙げられます。果物は犬も喜んで食べるので、おやつ代わりとしても与えやすいですね。
とはいえ、果物ではちょっと値段が張るな・・という場合には、ブロッコリーやかぼちゃをオススメします。ブロッコリーやかぼちゃは蒸してあげることによって、その食材の甘味もUPするので、犬も喜んで食べてくれることでしょう。
ビタミンCは熱に弱いイメージもありますが、190℃程度までであればビタミンCが分解されることは無いようです。それよりもビタミンCが弱いのは酸素に触れること。酸素に触れることでビタミンCがどんどん抜けていってしまいますので、保存に関しては十分に気を使いましょう。
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ビタミンCに欠乏症はある?
犬は体内でビタミンCを合成できるので、基本的にはビタミンC欠乏症とよばれるような状態になることはありません。ただし、それも病気や犬の状態によっては状況も異なりますので、100%欠乏症にならないとは言えないところではあります。
しかし、犬に関しては欠乏症の心配をするよりもビタミンC不足になることを心配したほうが良いかもしれませんね。犬にとってビタミンCはこれまでにも説明したとおり、免疫力を維持するのに欠かせないものです。
免疫力が低下しているということは、病気を引き起こす可能性が非常に高くなるだけでなく、体も弱くなってしまうために怪我を起こす可能性も高くなるということです。基本的にはドッグフードに含まれる程度のビタミンC量でも十分ですが、状況によっては野菜やサプリメントからビタミンCを摂取したほうが良い場合もあるでしょう。
ビタミンCのサプリメントは必要?
犬にビタミンCのサプリメントは必要かと問われれば、前述の通り状況によりけりといったところです。特に、ビタミンCは抗癌作用が期待できるものですので、癌を患っている犬であれば、ビタミンCのサプリメントは必須と言えるでしょう。
犬用のビタミンCのサプリメントは色々な種類があります。ただし、犬用の「総合ビタミン」といった商品は、念の為内容を確認するようにしましょう。一般的には犬にビタミンCは「不必要」と考えられている部分がありますので、総合的なビタミンで考えると、ビタミンCが含まれていないサプリメントもあります。
犬用のビタミンCのサプリメントを求める場合には、しっかりと「ビタミンC」が含有されているサプリメントかどうかを確認するようにしましょう。
まとめ
自ら生成出来るとは言え、犬の体を守ってくれるビタミンCが非常に重要な栄養素であることがお分かりいただけたでしょうか。また、ガン予防に関しても触れましたが、近年、犬にもガンが増えている要因に、このビタミンCの不足が関係していると考える方も少なくはありません。
丈夫な体を作り、ガンもしっかり予防していくためには、ビタミンCが非常に大事な要素と言えます。過剰症を心配する必要もありませんので、できるだけ多くのビタミンCを摂取させてあげたいですね。
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