犬に必要不可欠な栄養素の1つに「ビタミンD」と呼ばれるビタミンがあります。このビタミンDは、骨を形成するカルシウムやリンの吸収を高めるために無くてはならないビタミンのひとつ。今回はこの「ビタミンD」について調べてみましょう。

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生命を維持するために必要な「6大栄養素」

犬や人間に必要な5大栄養素には「タンパク質」「脂質」「ビタミン」「炭水化物」「ミネラル」の5つが挙げられますが、これらに加えて必要な栄養素「水」を入れることで、6大栄養素とも言われます。その中のひとつの「ビタミン」は、犬の生命を維持するために必要な栄養素でもあり、犬の成長のためにも欠かせないものです。また、同じビタミンでも、

・脂に溶ける性質を持つ「脂溶性ビタミン」
・水に溶けて尿と共に排出される「水溶性ビタミン」

の2つに分類されます。ビタミンC等に代表される「水溶性ビタミン」であれば、水分に溶けるために犬が大量に摂取しても、尿とともに排出されるので、ビタミン過剰となることはありません。
しかし、今回取り上げるビタミンDやビタミンAなどの「脂溶性ビタミン」に関しては、尿と共に排出されることはなく脂に溶けるため、体内に蓄積される性質を持ち、ビタミンの過剰摂取となる場合もあります。

ビタミンDの役割とは

「カルシフェロール」とも呼ばれるビタミンD。ビタミンDは、脂溶性ビタミンの一つでもあります。このビタミンDは、骨を形成する「カルシウム」や「リン」の吸収を促進するために欠かせないビタミンとなっています。

ビタミンDは、本来であれば犬が日光浴をすることで紫外線を浴び、体内でビタミンD(ビタミンD3)が合成されるのですが、体内で合成される量だけでは不足するために、食べ物からビタミンDを摂取する必要があります。

そして、脂溶性ビタミンであるビタミンDは、過剰摂取してしまうことでカルシウムが以上沈着してしまい、高カルシウム血症の要因となってしまいますので、摂取量には気をつける必要があります。

カルシウムとビタミンDの連携

食べ物から摂取されたビタミンDは、肝臓や腎臓で代謝されることによって活性化します。こうして活性化されたビタミンDは、カルシウムやリンの代謝を促進させ、カルシウムが骨に沈着させるサポートを行うようになります。

骨を形成するためには、カルシウムとリンのバランスが重要になりますが、このビタミンDのサポート無くしては、カルシウムを骨に沈着させることが困難になってしまうため、単にカルシウムを摂取すると良いわけではないのです。ビタミンDは、丈夫な骨を作るためにも欠かせないビタミンなのです。

また、ビタミンDは血液中のカルシウム濃度を調整する働きもしています。この働きにより、カルシウムが減少している時にも、カルシウムが尿へ排出されないように再吸収させ、血中のカルシウム濃度を一定に保とうとする働きをしているのです。

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ビタミンDの過剰摂取と欠乏

このようにカルシウムと密接な関係にあるビタミンDですが、前述の通り、ビタミンDの過剰摂取や欠乏は、カルシウムへと直接影響が及んでしまいます。

ビタミンDの過剰摂取は、特に子犬に対して注意をする必要があります。ビタミンDの過剰摂取が続くと、子犬は骨や関節、軟組織に異常が起きてしまい、骨石灰化を引き起こしてしまいます。また、血中のカルシウム濃度も異常に上昇してしまい、血管のみならず、肝臓や腎臓、脳などにもカルシウムが以上沈着してしまい、嘔吐や下痢といった症状に加え、場合によっては命を落としかねない事態になってしまいます。

また、ビタミンDが欠乏してしまうことでも骨軟化症や関節に異常が起き、カルシウムが骨に吸収されないために骨はもろくなり、骨折の原因となってしまいます。また、子犬のビタミンD欠乏に関しては、発育障害の要因ともなります。

では、具体的にどの程度のビタミンDが必要なのかを見てみましょう。

ビタミンDの摂取量

AAFCOの公開している、1日に必要な摂取量は「500〜5,000 IU/kg」とされています。魚や干ししいたけ、きくらげ、まいたけといった食材にビタミンDは含まれますが、きくらげを例にとると、白きくらげ含まれるビタミンDはおよそ 39600 IU/100g。もし摂取するのならば、少量で良いということがわかります。

また、近年のプレミアムフードの質も向上しているために、1日量の給餌量を正しく与えていれば、AAFCOの定める基準摂取量も十分に摂取することが出来るでしょう。過度に心配しすぎて、栄養の計算もせずにこうした食材をドッグフードに混ぜてしまうと、逆に過剰摂取につながりますので、しっかりと栄養管理は行うようにしましょう。

まとめ

ビタミンDの働きは、カルシウムの吸収に直結しているため、体を支えるためには必要不可欠な栄養素だということがわかりましたね。また、ビタミンDとカルシウムのバランスが良いと、ストレスの軽減や精神的にも安定された状態になります。

栄養の計算や知識としては必要になりますが、上手に栄養管理が行えるようになることで、愛犬の健康維持に大きく繋がることとなります。ビタミンDは適度に摂取し、愛犬はしっかりと日光浴をさせることが今回のまとめになります。

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