猫に必要不可欠な栄養素の1つに「ビタミンC」と呼ばれるビタミンがあります。このビタミンCは、猫の目に必要な栄養素でもあり、皮膚や被毛、免疫力を高めるために必要な栄養素です。今回はこの「ビタミンC」について調べてみましょう。

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6大栄養素とビタミンの性質

数あるビタミンの中でも、特に名前の知られているビタミンが「ビタミンC」では無いでしょうか。このビタミンは、6大栄養素と呼ばれるもののひとつで、他には「タンパク質」「脂質」「ビタミン」「炭水化物」「ミネラル」「水」が挙げられます。6大栄養素は、生命を維持するために必要不可欠なもので、人でも猫でも同じ6大栄養素が必要となります。

その中のひとつの「ビタミン」は、猫の生命を維持するために必要な栄養素でもあり、猫の成長のためにも欠かせないものです。また、同じビタミンでも脂に溶ける性質を持つ「脂溶性ビタミン」と、水に溶けて尿と共に排出される「水溶性ビタミン」の2つに分類されます。

今回取り上げるビタミンC等に代表される「水溶性ビタミン」であれば、水分に溶けるために猫が大量に摂取しても、尿とともに排出されるので、ビタミン過剰となることはありません。しかし、ビタミンAなどの「脂溶性ビタミン」に関しては、尿と共に排出されることはなく脂に溶けるため、体内に蓄積される性質を持ち、ビタミンの過剰摂取となる場合もあります。

猫の体で生成されるビタミンC


人間の世界では、風邪の予防にビタミンCを摂取すると言われますね。人間は自分の体内でビタミンCを生成することができないため、ビタミンCを摂取するためには食べ物から摂取する必要があります。これが猫にとってはどうなのでしょうか。

猫は体内でビタミンCを作ることの出来ない人間と違い、自分の体内でビタミンCを合成する事ができます。しかしながら、普段の生活においてビタミンCを必要とするシーンは多く、体を丈夫にするために免疫力を高めるだけではなく、ストレスが加わることでもビタミンCはどんどんと消費してしまうのです。

このように、ただのんびりと生活をしているだけでも、実はビタミンCが消費されているため、体内で合成できるからと言って油断ができないのがビタミンCでもあります。

猫にビタミンCは必須ビタミンではない?

数値による明確な栄養に必要量を提示している「AAFCO」による栄養基準値でも、猫がビタミンCを生成できるという点からか、ビタミンCの栄養基準が示されてはいません。猫にとってビタミンCは必要ではあるものの、「必須ビタミン」としては認められていないという事になります。

しかし、猫の体調はもちろん、猫が高齢になっていくにつれて、猫の体ではビタミンCを生成する能力も低下していってしまうのも事実。愛猫の生活スタイルにもよりますが、猫が高齢化することや、成猫でもストレスがかかっている事を考えると、体で生成されるビタミンCだけでは不足してしまっている可能性もあるのです。

そのため、必須ビタミンではないとは言われるものの、全く無視することもできないため、効率よくビタミンCを摂取する必要があるのです。

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「AAFCO」とは?

「AAFCO」とは、「Association of American Feed Control Official」の略で「AAFCO(アフコ)」と呼ばれています。日本語名では「全米飼料検査官協会」という意味になります。

このAAFCOでは、ドッグフードやキャットフード等の「飼料」における成分値を基準化して、より安全で安心な成分値を公開している機関なのです。

キャットフードに適当に肉を入れれば良いというわけでなく、1日に必要な栄養素を賄えることができるフードを、より良質に作るための「指標」ともなるデータをAAFCOが公開し、メーカー等がその成分値を参考にして、ペットフードを研究・開発するのに役立てられています。

ビタミンCの役割とは


「アスコルビン酸」という呼称でも呼ばれるビタミンC。その効能・役割もビタミンの中では特に有名なのではないでしょうか。

ビタミンCは美肌効果を得られるビタミンとしても知られますが、肌のキメにも関係するコラーゲンを生成するために必要なビタミンです。そして、タンパク質の合成にも関わっており、筋肉や骨、皮膚、歯といった部分の強化にも大きく影響しています。

ビタミンCを摂取し、コラーゲンを作り出すことで、こうした病気に対しての予防や症状の緩和にも一役買うことでしょう。また、前述のように、ビタミンCは免疫力を高めて、ウイルス等からの感染症からも予防する効果もあります。

そのため、ストレスによって失われるビタミンCは、多くのストレスを受けることで免疫力を低下させる要因となってしまうのです。

ビタミンEを再生

ビタミンCの役割は、このように免疫力を高めてウイルスなどから体を守るという働きをしますが、実はこうしたウイルスなどから体を守っているのには「ビタミンE」の存在も欠かせません。

キャットフードの酸化防止剤等にも利用されるビタミンE(トコフェロール)は、強い抗酸化作用を持つビタミンで、免疫力を向上させるためにも不可欠なビタミン。ビタミンE無くしては、体の抗酸化作用が低下してしまうため、免疫力の低下も懸念されます。

そして、ビタミンCの大事な役割が、このビタミンEを再生可能にするという相乗効果があるところです。ビタミンEは、ビタミンCと一緒になることで、さらにその効果を高めることができるため、ビタミンCとビタミンEを一緒に摂取することが理粗相的なのです。

抗がん作用にも期待

ビタミンCが注目されるのには、ビタミンCを摂取することで抗がん作用にも期待が出来るということです。具体的には、ビタミンCが発がん性物質の合成を抑制したり、発がん性物質が細胞へと侵入するのを防ぐという効果があるのです。

もともと免疫力を高める効果があるビタミンCなので、ガンに対してだけではなく、猫白血病ウイルス感染症や猫エイズといった病気に対しても予防効果が期待されています。病気にならないような丈夫な体を作るためにも、とても重要な栄養素であることがわかりますね。

しかし、水溶性ビタミンであるビタミンCは、わずか2〜3時間で排泄されてしまうビタミン。いくら体内で生成されるとは言え、過剰症の心配もありませんので、ビタミンCを出来るだけ摂取させている方が安心だということがわかります。

高がん治療としてのビタミンC注射も

近年では猫のがん治療にもビタミンCが利用されていると説明してきましたが、ここで使われるビタミンCと言うのは「高濃度ビタミンC」。この高濃度ビタミンC注射は、点滴療法という形で猫に投与することで、がん細胞を選択的に叩く事ができ、さらに抗がん剤のような副作用の心配もないため、注目を集める治療法となってきています。

また、現状では高濃度ビタミンC点滴療法はメインの治療法とはなっておらず、メインの治療を行いつつも、併用して高濃度ビタミンC点滴療法を行えるため、安全性という面においても信頼が置ける治療法となっています。

ビタミンCにはまだまだ未知なる力を感じますが、こうした治療法がしっかりと確立していけば、猫の癌による悪影響も確実に減っていくことでしょう。

膀胱炎にも効果あり?

猫にとってビタミンCを摂取することは、膀胱炎の症状を緩和させるという効果も持ちます。膀胱炎や尿路結石と言った病気は猫にも多く見られる病気ですが、ストレスが要因になったり、不潔な環境が原因で膀胱炎を引き起こす場合もあります。

こうした病気を予防することは難しいですが、ビタミンCが持つ力によって、膀胱内の細菌やウイルスを感染から防ぐという効果も期待できます。また、膀胱炎を引き起こす要因には原因がわからないものもありますが、ストレスが要因となっている場合には、より多くのストレスが体にかかっているため、猫の体はビタミンCが不足する状況になっています。

猫は自分でビタミンCを合成できますが、こうした状況ではビタミンCの合成が追いつかないため、食事やサプリメントからビタミンCを摂取するのが望ましいのです。

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ビタミンCを多く含む食べ物


ビタミンCを多く含む食べ物には、

・ブロッコリー
・かぼちゃ
・ピーマン
・さつまいも
・いちご
・みかん
・柿

といった食べ物が挙げられます。猫にとっては好き嫌いが分かれるところなので、これらの食材を上手に与えることは難しいですが、こうした食材で与えることができないようであれば、サプリメント等で摂取させるようにしましょう。

猫用のビタミンCサプリ

猫にビタミンCは必要ないと考えられているため、人間用のようにビタミンCのサプリメントがたくさんあるわけではありません。また、猫はグルメな動物でも知られているため、ビタミンCのような酸っぱい食べ物も苦手な猫が多いようです。

しかし、これまで説明してきたように、猫にビタミンCが全く必要ないとは言えない場合もありますので、サプリメントで上手に摂取させてあげるのが望ましいでしょう。

市販では「アスコルベイト+」や現代製薬の「猫用 ザ・ビタミン」といった製品も販売されています。いざという時に食べてくれなければ意味がありませんので、事前練習も兼ねて、日頃の食事に混ぜてみるなど、愛猫がしっかりと食べてくれるサプリメントを探してみるのも一つのポイントとなります。

まとめ

自ら生成出来るとは言え、猫の体を守ってくれるビタミンCが非常に重要な栄養素であることがお分かりいただけたでしょうか。

また、ガン予防に関しても触れましたが、丈夫な体を作り、ガンもしっかり予防していくためにも、ビタミンCが非常に大事な要素と言えます。過剰症を心配する必要もありませんので、できるだけ多くのビタミンCを摂取させてあげたいですね。

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