猫に必要不可欠な栄養素の1つに「ビタミンB6」と呼ばれるビタミンがあります。このビタミンB6は、皮膚や被毛の健康や、細胞の生成を促すために必要な栄養素です。今回はこの「ビタミンB6」について調べてみましょう。

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ビタミンの性質と「ビタミンB6」


猫や人間に必要な5大栄養素には「タンパク質」「脂質」「ビタミン」「炭水化物」「ミネラル」の5つが挙げられますが、これらに加えて必要な栄養素「水」を入れることで、6大栄養素とも言われます。

その中のひとつの「ビタミン」は、猫の生命を維持するために必要な栄養素でもあり、猫の成長のためにも欠かせないものです。

ビタミンは、脂に溶ける性質を持つ「脂溶性ビタミン」と、水に溶けて尿と共に排出される「水溶性ビタミン」の、大きく分けて2つに性質に分類されます。

「水溶性ビタミン」であれば水分に溶けるため、仮に猫が大量に摂取しても尿とともに排出されるので、ビタミン過剰となることはありませんが、「脂溶性ビタミン」に関しては、脂に溶けて体内に蓄積される性質を持ち、ビタミンの過剰摂取となる場合もあるので、摂取量には注意が必要になります。

水溶性ビタミンであるビタミンB6

今回取り上げる「ビタミンB6」は、水溶性ビタミンのひとつです。ビタミンB6は「ピリドキシン」とも呼ばれる水溶性のビタミンで、主な働きとしては「タンパク質」や「脂質」の代謝を促進する働きをします。

アミノ酸となるタンパク質等を効率よく体に取り込むためには、このビタミンB6が欠かせないビタミンとなるのです。そのため、単にタンパク質ばかりを摂取してもビタミンB6が不足していれば、思うようにタンパク質を体内に吸収することが出来ないわけです。

ビタミンB6に限らず様々なビタミン・栄養素は、何かしらの栄養素と対になることで効果を上げたり、また、対となる栄養素がなければ思うような効果を発揮しないという場合がほとんどです。

ビタミンB6の働き

ビタミンB6の対となる栄養素が「ビタミンB2 」を始めとしたビタミンとなります。リボフラビンとも呼ばれる「ビタミンB2」は皮膚や被毛の健康維持、脂肪からエネルギーを生成するといった働きをします。

ここで一つの例を挙げると、たんぱく質はビタミンB6を必要とし、ビタミンB6はビタミンB2を必要とするといったように、それぞれが連鎖し、お互いを助け合うようにして成り立っています。

主に肉などに含まれるタンパク質は、猫にとって非常に大切な栄養素。ビタミンB6はこのタンパク質を「アミノ酸」へと作り変える働きをするので、前述の通り、このタンパク質を多く取り入れるには、ビタミンB6も多く取り入れる必要があります。

必須アミノ酸とは


肉食である猫が動物性タンパク源(肉)を必要とする理由には、タンパク質に含まれるアミノ酸に関係します。

アミノ酸は猫の体を維持するために必要となるものですが、中でも「必須アミノ酸」と呼ばれるアミノ酸は、猫の体で合成することが出来ないため、必ず食べ物から摂取しなければいけないアミノ酸であるため、必須アミノ酸と呼ばれています。

必須アミノ酸は、人間であれば「ヒスチジン」「イソロイシン」「リジン」「メチオニン」「スレオニン」「トリプトファン」「バリン」「フェニルアラニン」「ロイシン」の9種類、犬であれば「アルギニン」を加えた10種類となりますが、猫に関してはさらに「タウリン」を加えた11種類もの必須アミノ酸が必要となります。

猫にとって重要な「タウリン」

猫にとって必要となる必須アミノ酸の中でも特に知られるのが「タウリン」です。キャットフードにもタウリンを多く含む製品がありますが、このように食事から必須アミノ酸を摂取しなければ健康を維持することが出来ないのです。

必須アミノ酸が不足してくると皮膚や被毛、体調、筋肉、神経など、様々な部位に悪影響が見られ始めてきますが、ビタミンB6はこのアミノ酸を合成するために欠かせないビタミンですので、ビタミンB6の欠乏は健康を損なうことに直結してくるわけです。

また、極端になにかの栄養ばかりを摂取していても意味はなく、あくまでもバランスが重要です。何かを食べ過ぎる、摂取しすぎる、食べなさすぎる、摂取しなさすぎるといったように、極端な食生活は必ず体調を崩す要因となります。

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バランスの取れているキャットフード

上記のようにアミノ酸の合成に必要不可欠であるビタミンB6を単純に大量に摂取していても、ビタミンB2をバランスよく摂取しなければ、ビタミンB6が活性化することはありません。そればかりか、やがてはビタミンB6が欠乏してしまうことに繋がるのです。

そのため、ビタミンB6を効率よく摂取するためには、合わせてビタミンB2をバランスよく取り入れる必要があるということがわかります。

当然ながらビタミンのつながりはビタミンB6とビタミンB2だけではなく、もっと多くのビタミンや栄養素が複雑に連結し、それぞれが支え合うようにして成り立っています。

栄養バランスというものはそう単純なものではなく、非常に複雑なものですので、予め栄養バランスが保たれているキャットフードを与えるのが最も簡単なわけです。

ビタミンB6が不足すると?

ビタミンB6が不足してしまうと、食欲不振や貧血状態、皮膚炎といった症状が見られるようになります。また、猫が発育中である場合には発育不全も起こります。これは、神経伝達物質の生成にもビタミンB6が関わっているために、猫の知能に関わる悪影響が及ぶためです。

こうした症状が見られるようになり、ビタミンB6を多めに摂取していても改善が見られない場合には、マグネシウムや亜鉛の不足も関連している可能性があります。このほか、腎臓の障害なども見られる場合があるでしょう。

完全な肉食である猫にとっては肉から摂取されるタンパク質をしっかりとアミノ酸として摂取するためにも、ビタミンB6 は欠かせないビタミンのひとつなのです。食欲も低下して、愛猫の体が痩せてきており、皮膚炎が見受けられるようであれば、ビタミンB6 欠乏症を疑ってみてもよいかもしれません。

ビタミンB6を多く含む食材とは


ビタミンB6を多く含む食べ物には、下記のような食材が挙げられます。

・牛レバー(生) 0.27mg/30g
・鶏肉(生) 0.28mg/50g
・魚(いわし) 0.06mg/18g
・さつまいも 0.28mg/100g
・バナナ 0.4mg
・ごま 0.04mg/6g

AAFCOの基準値では1kgに対して、ビタミンB6の必要摂取量は4.0mg以上。とはいえ、ビタミンB6は腸内細菌の働きによって合成されるビタミンでもあるので、普段通りにキャットフードを食べていることで、自然と摂取はされています。

また、キャットフード自体にもビタミンB6は含まれるので、ビタミンB6欠乏という状態は余程でなければ起こらないかもしれません。とはいえ、猫の腸内環境が悪い状態にある場合や、妊娠などで必要以上にビタミンB6 を必要とする場合には、ビタミンB6 欠乏症も起こりうるのです。

過剰症の心配は?

ビタミンB6は水溶性ビタミンであるため、多く摂取していても尿と共に排泄され、余程のことではビタミンB6過剰症となる心配はありませんが、万が一過剰症になった場合には血管の拡張といった症状が見られ、運動障害や平衡感覚を失うといった症状が現れます。

この他にも、食欲不振になってしまうこともあります。ビタミンB6の過剰症においても、欠乏症においても食欲不振の症状が見られます。

食欲不振の症状が見られるのはビタミンB6欠乏症だけではありませんので、食欲が無いからと言って欠乏症を疑うのは間違いですが、食欲不振になるということは何かしらのトラブルが生じている証拠ですので、改めて健康状態や食事の管理を確認してみましょう。

まとめ

効率よくタンパク質を体内に取り込むためには、ビタミンB6の存在は欠かせません。また、ビタミンB6には脂質の代謝にも大きな働きをします。こうしたことから、ビタミンB6を摂取することで、脂肪の蓄積を抑える効果があるという事になります。

猫が健康な状態であれば、特に注意してビタミンB6を与えると言うよりは、食事の管理をきちんと行い、正常な腸内環境を維持させることがビタミンB6の欠乏を予防することに繋がりますので、まずは毎日の食生活を整えることから始めてみましょう。

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