猫に必要不可欠な栄養素の1つに「ビタミンD」と呼ばれるビタミンがあります。このビタミンDは、骨を形成するカルシウムやリンの吸収を高めるために無くてはならないビタミンのひとつ。今回はこの「ビタミンD」について調べてみましょう。

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生命を維持するために必要な「6大栄養素」

猫や人間に必要な6大栄養素には「タンパク質」「脂質」「ビタミン」「炭水化物」「ミネラル」「水」が挙げられます。6大栄養素は、生命を維持するために必要不可欠なもので、人でも猫でも同じ栄養素が必要となります。その中のひとつの「ビタミン」は、猫の生命を維持するために必要な栄養素でもあり、猫の成長のためにも欠かせないものです。

ビタミンには、ビタミンC等に代表され、水に溶けて尿と共に排出される性質を持つ「水溶性ビタミン」と、ビタミンAなどに代表される、脂に溶ける性質を持つ「脂溶性ビタミン」の2つに分類されます。

「水溶性ビタミン」であれば、水分に溶けるために猫が大量に摂取しても、尿とともに排出されるので、ビタミン過剰となることはありませんが、「脂溶性ビタミン」に関しては、尿と共に排出されることはなく脂に溶けるため、体内に蓄積される性質を持ち、ビタミンの過剰摂取となる場合もありますので、摂取量には注意が必要になります。

ビタミンDの役割とは


「カルシフェロール」とも呼ばれるビタミンD。ビタミンDは、脂溶性ビタミンの一つでもあります。このビタミンDは、骨を形成する「カルシウム」や「リン」の吸収を促進するために欠かせないビタミンとなっています。

ビタミンDは、本来であれば猫が日光浴をすることで紫外線を浴び、ビタミンDが合成されるのですが、合成される量はわずかであるために、食べ物からビタミンDを摂取する必要があります。

そして、脂溶性ビタミンであるビタミンDは、過剰摂取してしまうことでカルシウムが以上沈着してしまい、高カルシウム血症の要因となってしまいますので、摂取量には気をつける必要があります。

毛づくろいでビタミンDを摂取?

先述でも触れましたが、猫は日光浴をすることでビタミンDを合成し、毛づくろいしてビタミンDを摂取できると言われています。

これは、猫が日光浴をして紫外線を浴びることで、猫の皮膚にある「7−デヒドロコレステロール」と呼ばれる物質がビタミンDへと変化、これを猫が毛づくろいして舐める事でビタミンDを摂取しているようです。

ただし、先述のとおりこうしたメカニズムを持ってはいるものの、これだけではビタミンDを補うことも難しいため、食事からビタミンDを摂取する必要があるのです。

日光を浴びて寝ている猫の様子はおなじみですが、猫が毛づくろいや日光を浴びる理由は、単にビタミンDを作り出しているだけではなく、他にも理由があるために行っているのです。

日光浴は猫にとって大事な行動

猫にとっての日光浴は、ビタミンDを作り出すためだけではなく、ダニやノミを寄せ付けないようにするためや、皮膚や被毛を紫外線で殺菌するという理由もあります。

これは猫がグルーミングを行なうことでも、皮膚や被毛の掃除が行われていますが、紫外線によって殺菌することで、常にきれいな体を維持するのに役立てていると考えられています。

本来、猫はシャンプーなどを好まない動物ですので、こうして日光浴を行なうことによって、天然のシャワーを浴びているような状態にするのでしょう。キレイ好きな猫にとって、日光浴は無くてはならないものなのかもしれません。

そして、猫も人間も日向ぼっこをしていると眠くなりますが、体の体温を暖めることで、ストレスの解消や、安眠の効果も得られているのです。

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日光浴は毛の生え変わりにも必要

このように、猫にとって日光浴がいかに大事かがわかりましたが、さらに猫の毛の生え変わりを促すためにも必要と考えられているのです。

御存知のとおり、夏と冬では太陽の日照時間も変わりますが、猫も年に2回の換毛期と呼ばれる、毛の生え変わる時期があります。猫の体はこの日光浴によって自然と日照時間に反応し、毛の生え変わりを促すという役割もあるようです。

換毛期もまた、猫の健康維持にも欠かせないもので、快適に生活を送るためには、それぞれ季節にあった被毛を用意する必要があります。夏の毛、冬の毛と、それぞれの季節を快適に過ごすためには換毛期は欠かせないものであり、体の体調管理を行なうためにも必要なもの。

猫にとっての日光浴は、ビタミンDを作り出す以上に、様々な役割を持っていることがわかります。

カルシウムとビタミンDの連携

食べ物から摂取されたビタミンDは、肝臓や腎臓で代謝されることによって活性化します。こうして活性化されたビタミンDは、カルシウムやリンの代謝を促進させ、カルシウムが骨に沈着させるサポートを行うようになります。

骨を形成するためには、カルシウムとリンのバランスが重要になりますが、このビタミンDのサポート無くしては、カルシウムを骨に沈着させることが困難になってしまうため、単にカルシウムを摂取すると良いわけではないのです。ビタミンDは、丈夫な骨を作るためにも欠かせないビタミンなのです。

また、ビタミンDは血液中のカルシウム濃度を調整する働きもしています。この働きにより、カルシウムが減少している時にも、カルシウムが尿へ排出されないように再吸収させ、血中のカルシウム濃度を一定に保とうとする働きをしているのです。

ビタミンDの過剰摂取と欠乏

このようにカルシウムと密接な関係にあるビタミンDですが、前述の通り、ビタミンDの過剰摂取や欠乏は、骨を作り出すカルシウムやリンへと直接影響が及んでしまいます。

ビタミンDの過剰摂取は、特に子猫に対して注意をする必要があります。ビタミンDの過剰摂取が続くと、子猫は骨や関節、軟組織に異常が起きてしまい、骨石灰化を引き起こしてしまいます。

また、血中のカルシウム濃度も異常に上昇してしまい、血管のみならず、肝臓や腎臓、脳などにもカルシウムが以上沈着してしまい、嘔吐や下痢といった症状に加え、場合によっては命を落としかねない事態になってしまいます。

ビタミンDの欠乏に関しても骨に悪影響が出始めてしまうため、ビタミンDは多くても、少なくてもいけないビタミンとなっているのです。

ビタミンDの不足が招く事態とは


脂溶性ビタミンのビタミンDが過剰になってしまうと、骨や肝臓などに悪影響が及ぶことがわかりましたが、一方でビタミンDが欠乏してしまうことでも、骨軟化症や関節に異常が起き、カルシウムが骨に吸収されないために骨はもろくなり、骨折の原因となってしまいます。

また、子猫のビタミンD欠乏に関しては、発育障害の要因ともなるため、成長期の子猫にとってのビタミンDや栄養バランスは非常に重要なものとなっています。

この他にも、ビタミンDが欠乏してくると、カルシウムとリンのバランスを取ることができなくなってしまい、結果として尿路結石ができやすい状態になるのです。このようにして、一つのビタミンのバランスが崩れると、それにともなって他のビタミンのバランスも崩れ始めてしまうのです。

では、具体的にどの程度のビタミンDが必要なのかを見てみましょう。

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ビタミンDの摂取量

Three cats at their food bowls

AAFCOの公開している、1日に必要な摂取量は「500〜10,000 IU/kg」とされています。魚や干ししいたけ、きくらげ、まいたけといった食材にビタミンDは含まれますが、きくらげを例にとると、白きくらげ含まれるビタミンDはおよそ 39,600 IU/100g。もし摂取するのならば、少量で良いということがわかります。

また、近年のプレミアムフードの質も向上しているために、1日量の給餌量を正しく与えていれば、AAFCOの定める基準摂取量も十分に摂取することが出来るでしょう。

過度に心配しすぎて、栄養の計算もせずにこうした食材をキャットフードに混ぜてしまうと、逆に過剰摂取につながりますので、しっかりと栄養管理は行うようにしましょう。

サプリメントはバランスの取れたビタミンを取り入れられる

先述のとおり、多くのキャットフードにもビタミンDは含まれており、飼い主さんが神経質にならずとも、キャットフードの量を適切に与えてさえいれば、ビタミンD欠乏になることも、なかなか無いといえるでしょう。

そのため、ある程度のビタミンDは蓄えられているわけですが、上記に挙げたような食材を安易にトッピングしても、今度は過剰症の心配もでてきてしまいます。

このように、ビタミンDが偏った量にならないよう、ビタミンの摂取にはバランスに気をつける必要がありますが、なかなか食材だけでビタミンのバランスを計算するのは難しいのです。

ビタミンDを摂取する必要があれば、やはりサプリメントなど、バランスを計算したものを摂取したほうが安心かもしれません。

まとめ

ビタミンDの働きは、カルシウムの吸収に直結しているため、体を支えるためには必要不可欠な栄養素だということがわかりましたね。また、ビタミンDとカルシウムのバランスが良いと、ストレスの軽減や精神的にも安定された状態になります。

栄養の計算や知識としては必要になりますが、上手に栄養管理が行えるようになることで、愛猫の健康維持に大きく繋がることとなります。ちょっとややこしい部分も多いですが、愛する愛猫のためにも、しっかりと覚えるようにしましょう。

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