犬の疲労回復や精神安定にも効果のある「ビタミンB1」。炭水化物を消化するためには必要不可欠なビタミンで、脳や神経系への栄養分を生み出すために欠かせないものです。今回はこのビタミンB1の必要性と働きについて解説していきます。

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生命を維持するために必要な「6大栄養素」

犬や人間に必要な5大栄養素には「タンパク質」「脂質」「ビタミン」「炭水化物」「ミネラル」の5つが挙げられますが、これらに加えて必要な栄養素「水」を入れることで、6大栄養素とも言われます。

その中のひとつの「ビタミン」は、犬の生命を維持するために必要な栄養素でもあり、犬の成長のためにも欠かせないものです。また、同じビタミンでも、

・脂に溶ける性質を持つ「脂溶性ビタミン」
・水に溶けて尿と共に排出される「水溶性ビタミン」

の2つに分類されます。今回取り上げるビタミンB1やビタミンC等に代表される「水溶性ビタミン」であれば、水分に溶けるために犬が大量に摂取しても、尿とともに排出されるので、ビタミン過剰となることはありません。
しかし、ビタミンAなどの「脂溶性ビタミン」に関しては、尿と共に排出されることはなく脂に溶けるため、体内に蓄積される性質を持ち、ビタミンの過剰摂取となる場合もあります。

「ビタミンB1」について

「ビタミンB1」は水溶性のビタミンで、「チアミン」とも呼ばれるビタミンの一種です。そして、この水溶性であるビタミンB1は、犬の体内に蓄えておくことのできない栄養素でもありますので、毎日ビタミンB1を摂取する必要があるのです。

ビタミンB1の働きには、犬の神経系統を正常に保つ働きがあるほか、炭水化物を消化するためにも必要な栄養素でもあります。ちなみに、消化された炭水化物は「糖質」に変わり、この糖質が神経系統への大事な栄養素となります。

「ビタミン」と聞くと、体のエネルギー源となるイメージもありますが、ビタミンB1自体は先ほども触れているように水溶性であるために、エネルギー源にはならず、こうして消化を助けたり、体を正常な状態に働かせるためのサポート的な役割を担っているのです。

ビタミンB1が不足することで起きる「ビタミンB1欠乏症」

前述のように、ビタミンB1自体はエネルギー源にはなりませんが、ビタミンB1が体に不足してしまうことで、どのような悪影響が起きるのでしょうか。

1つは、前項でふれたように炭水化物を消化し、糖質を生み出す働きをしているため、ビタミンB1が不足することによって、当然、炭水化物は消化されず、糖質も生み出されなくなってしまいます。

そのため、糖質を栄養としている神経組織は栄養不足となり、歩行障害や視力障害といった神経系の障害が起きはじめます。他にも、脚気、痙攣、疲労感、筋力の低下といった悪影響が起こり、やがては昏睡状態に陥り、命を落としてしまう結果となるのです。

このように、ビタミンB1は犬の体にとって非常に大切な栄養素でもあり、生命を維持するためには欠かせないものなのです。ビタミンB1が体に不足していれば、いくら炭水化物を摂取しようが、意味がないということになります。この状態を、「ビタミンB1欠乏症」もしくは「チアミン欠乏症」と呼びます。

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急性ビタミンB1欠乏症

犬や猫が「イカ」を食べると腰を抜かすという話しを聞いたことがあるでしょうか。この状態は「急性ビタミンB1欠乏症」の症状で、急激にビタミンB1が分解されてしまい、ビタミンB1を体内に摂取できなくなることで起きる症状です。

このビタミンB1を分解してしまうものが「チアミナーゼ」という酵素。そして、イカにはこのチアミナーゼが含まれているのです。そのため、犬や猫がイカを食べると、チアミナーゼがビタミンB1を分解、よって炭水化物が消化出来なくなり、歩行障害・腰を抜かすといった症状が現れるのです。

チアミナーゼはイカ以外の魚介類や甲殻類にも含まれているため、注意が必要です。とはいえ、このチアミナーゼの最大の弱点は「熱」。そのため、火を通すことでチアミナーゼは分解されるのです。

犬や猫に魚介類や甲殻類を与える際には、間違っても生で与えるようなことは避け、必ず火を通した状態で与えるようにしましょう。

まとめ

ビタミンB1を多く含む食品には「豚肉」や「鶏レバー」、「シャケ」「玄米」「大豆」「いんげん豆」等が挙げられます。炭水化物を取り入れる際には、上手にこれらの食材も取り入れるようにすると、より良い効果が期待できるでしょう。

注意しなければいけないのが、ビタミンB1も「熱に弱い」という事。これらの食材を利用する際には、ビタミンB1が分解されてしまわないよう、また、大豆などの食材はそのまま利用すると消化にも良くないので、しっかりと加工してから与える必要があります。

そして、ビタミンB1は精神安定や疲労を回復させるのに適したビタミンでもあるため、運動を行った後や愛犬の元気が無い時などにも、効果的にビタミンB1と炭水化物を取り入れることで、疲労回復・精神安定の効果を生み出し、体の回復を早めてくれるでしょう。

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