犬には様々な感染症が存在し、飼育する上でウイルス等の感染に注意する必要があります。様々な感染症の存在を知ることで、予防の一手にもなりますので、ワクチン接種はもちろん、感染症についての知識を高めて、予防に努めるようにしましょう。

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感染症とは?

人にも、ウイルスによって風邪をひいたり、病気になってしまったりという事があるように、犬にもウイルス等による感染症が存在します。こうした感染症は、感染してから体内で潜伏していることもあり、すぐに症状を発症しないために、ウイルスを拡散してしまう恐れがあるものも存在します。

また、症状が発症してしまうと、感染症によっては命を落としかねないものも多く、いかに早期発見・早期治療を施せる事がポイントとなるものも多いです。また、感染症にはズーノーシスと呼ばれる、人や猫などにも感染してしまうウイルスも多く存在するのです。

こうした感染症に対抗するため、「混合ワクチン」や「狂犬病予防接種」といった対策が最も効果的ですが、こうした予防策を施し、さらに感染症についての知識を得ることで、危険な環境やウイルスが潜んでいる環境によりつかないようにするなど、様々な対策を講じることが可能となります。それでは実際に、主な感染症について解説してみましょう。

ズーノーシスの中でも最も危険な感染症である「狂犬病」

狂犬病は、数あるズーノーシスの中でも、最も恐ろしい病気として知られていますが、その死亡率と症状も悲惨なものがあります。致死率も99.9%、狂犬病の発症から死亡に至るまでは、長くて10日、そのほとんどは2日ほどと言われています。

狂犬病は、狂犬病に感染している動物に咬まれることで、ウイルスを含んだ唾液が体内へと侵入し、感染していきます。発症する症状も大きく分けて「狂躁型」と「麻痺型」に分けられますが、麻痺型である場合、非常に早い段階で麻痺症状となり、わずか数日で死に至る事になります。しかし、その多くは狂躁型で、狂躁期の凶暴になっている間に事故が起こり、感染が広まるという場合が多いようです。

このように、狂犬病は非常に恐ろしい病気であり、確実な予防接種が望まれます。狂犬病の予防接種を受けることによって、こうした脅威から犬を守ることができ、また自らの身を守ることにも繋がるのです。狂犬病の予防接種は、万が一の蔓延を防ぐためにも必要な予防策でもあり、飼い犬や飼い主の身を守るためにも、非常に大切な予防策となるのです。

高熱を発症する感染症「Q熱」

「Q熱」とは、「コクシエラ・バーネッティ」と呼ばれる細菌が原因となる病気・感染症で、ズーノーシスであることでも知られる病気です。致死率は低いですが、40℃近くの高熱が上がる他、インフルエンザにも似た症状を発症し、肺炎や肝炎といった病気を併発することもあります。犬が感染した場合には、そのほとんどは無症状ですが、妊娠中のメス犬が感染してしまうことで、流産や死産といった症状が見られます。

Q熱の原因となる細菌コクシエラ・バーネッティは、熱や乾燥、消毒、紫外線などの抵抗力に優れる細菌で、自然界においても感染域が広いという事が特徴です。また、感染力も強く、細菌1個だけでも感染力を発揮する、恐ろしい細菌です。
また、自然界においては「マダニ」がQ熱を保菌している場合も多く、散歩や外遊びなどでマダニに咬まれることでも、感染が認められます。

治療には約3週間〜1ヶ月の期間を要し、さらに症状が無くなってからも、3週間以上の投薬治療を行う必要があります。また、Q熱を発症した後、約5%の確率で慢性症状のQ熱へと移行することがわかっています。慢性症状の場合、半年以上も慢性的にQ熱の症状が続き、骨髄炎や心内膜炎といった重篤な症状を発症し、命の危険にもさらされる場合があります。

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しゃみや鼻水が初症状の「クリプトコッカス症」

愛犬がくしゃみや鼻水、特に粘着するような鼻水を垂らしていないでしょうか。こうした症状が見られる場合は、「クリプトコッカス」と呼ばれるカビが原因となって引き起こされる「クリプトコッカス症」に感染していることを疑ったほうが良いかもしれません。

このクリプトコッカスは、自然界においては「鳩」の糞中に多く存在している事でも知られ、また自然界の土の中や空気中にも存在しており、この飛散しているカビ=クリプトコッカスを吸い込んでしまうことで感染が成立します。吸い込んでからは、「気道」「肺」「皮膚」「眼」などに感染していき、症状が重篤化すると神経系へと感染を広げていきます。

「パルボウイルス感染症」とは

以上に挙げた感染症が、ズーノーシスで知られる感染症の一部です。しかし、ズーノーシスではないものの、まだまだ恐ろしい感染症も存在します。

中でも恐ろしい感染症が、主に子犬や老犬といった、免疫力の低下・低い状態の犬が犠牲になる場合が多い「パルボウイルス感染症」です。「パルボウイルス」と呼ばれるウイルスに感染することで発症する感染症で、下痢や嘔吐、血便などの症状に加え、脱水症状も引き起こし、ショック状態に陥ることで命を落としてしまう事も多い、恐ろしい病気です。

感染する原因は、パルボウイルスに感染した犬の排泄物を口にしてしまう経口感染によって引き起こされるためで、また、こうした排泄物に付着してしまったクッションやタオルなどを、未感染の犬が口にしてしまうことでも感染が成立します。

パルボウイルスに感染しないためにも、混合ワクチンの接種は欠かせないものであり、最悪の事態に備える為に必要不可欠なものです。パルボウイルスに感染しないようにするのではなく、しっかりと予防することが重要です。

致死率の高い感染症「ジステンパーウイルス」

ジステンパーウイルスは、「狂犬病」などと並んで致死率の高い病気でも知られ、致死率は50%〜90%ほどとも言われております。犬のみならず、猫やフェレットにも感染することもあり、犬と一緒にこれらの動物を飼育している場合には、特に注意が必要になります。

ジステンパーウイルスに感染すると、食欲の減退や元気の減退、発熱、咳、下痢、嘔吐といった症状が、感染後約1週間程度で現れはじめます。こうした症状が重篤化していくと、やがては神経系へと進行し、麻痺、痙攣、てんかんの症状も現れはじめ、更には2次感染を引き起こし、肺炎などの病気も併発し、状態によっては死に至る場合もあるでしょう。

ジステンパーウイルス感染症は、唾液や排泄物、目やに、鼻水などを未感染犬が口にしてしまうことで、感染が成立します。また、感染犬の咳やくしゃみなどでも、周辺にジステンパーウイルスが飛散してしまい、これらを吸い込んでしまった場合においても感染が成立してしまいます。

併発することで猛威を奮う「コロナウイルス」

成犬が感染した場合には、ほぼ症状が現れない「犬コロナウイルス感染症」。しかし、抵抗力の弱い子犬などが犬コロナウイルス感染症を発症すると、下痢や嘔吐、食欲の減退といった症状の他にも、粘膜便や血便といった症状も見られるようになります。
また、コロナウイルス感染症を発症している時に、腸炎やパルボウイルス等の病気に感染してしまうと、症状はより重症化していき、やがて命を落とす結果となってしまいます。

主に経口感染によって感染が成立しますが、コロナウイルス感染症を発症した場合には、二次感染を防ぐために抗生物質などを投与し、下痢などの症状を緩和させるための対症療法が行われます。コロナウイルス感染症を予防するためには、ワクチンの接種が一番効果的といえるでしょう。

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ケンネルコフとは

「伝染性気管支炎」とも呼ばれるケンネルコフは、子犬が発症することが多い病気で、成犬に比べて免疫力の低い子犬が「犬アデノウイルス」や「犬パラインフルエンザ」「マイコプラズマ」「犬ヘルペスウイルス」といったウイルスに複合感染してしまうことで「ケンネルコフ」を引き起こしてしまいます。

咳などの症状に加え、運動などで興奮した際や気温の変化が激しくなった際にも、状態は悪化し、食欲の減退や粘膜を伴う鼻水を出すようになります。こうした症状が更に悪化していくことで、肺炎を引き起こしてしまいます。

肺炎を引き起こすと、元気も減退し、嘔吐症状や呼吸困難といった症状も見られはじめます。また、ケンネルコフが重症化し肺炎を引き起こすことで、さらに免疫力も下がっているために、他の病気にもかかりやすくなっているため、放おっておくと命の危険にも関わる事態にもなるでしょう。

ウイルスによる感染症を予防する「混合ワクチン」

様々な恐ろしい感染症が存在しますが、こうした感染症を予防するためにも、混合ワクチンの接種が大事なのです。

「混合ワクチン」とは、犬の様々な伝染病を未然に予防するため、伝染病に対しての「免疫」をつけるための注射です。1つの伝染病に対して、1種類のワクチンでしか有効ではありませんので、数ある伝染病に対して一度の予防接種で済ませるため、複数のワクチンを組み合わせて混合ワクチンと呼ばれています。

ワクチン接種のタイミングは、子犬の産まれたタイミングによって変わりますが、通常であれば生後2ヶ月〜4ヶ月の間に3回のワクチン接種をします。こうして、子犬が伝染病に感染しないように免疫力を与え続ける役割をしているのが、混合ワクチンなのです。

免疫力の低い時期の感染症を防ぐためにも、子犬の混合ワクチンは、まさに生命線となるものですので、必ず接種するようにしてください。また、成犬に関しても油断してはいけません。万が一感染した場合にも、ウイルスを拡散させない目的もありますので、毎年の予防接種は非常に大事なものなのです。

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