マルチーズを飼う上で、特徴を理解することが必要になります。犬の種類には様々な特徴や性質、気をつけなければいけない事などがあり、今回は犬種の一つ「マルチーズ」について、飼っている方もこれから飼いたいと思っている方もチェックしてみましょう。
マルチーズのルーツ
マルチーズのルーツは、紀元前1500年頃にフェニキア人が、貿易の中継地点であったマルタ島へ持ち込まれた犬であると言われています。その頃、この犬種は、船員のペットとして貿易船で飼育されており、船員が行くところへ共に航海していたため、世界各地にマルチーズが知れ渡ったきっかけとなりました。
紀元前500年頃、ギリシャの陶製の壺や皿に明らかにマルチーズと思われる犬の姿が描かれています。1813年にマルタ島がイギリスの領地となり、マルチーズはイギリス王室に入り、ビクトリア女王を始めとする王室貴族から寵愛を受けました。エリザベス朝時代には、マルチーズは貴婦人の「抱き犬」として高く評価され、数千ドルの値がつく高級犬になったこともあります。
ギリシャ人はマルチーズのために墓標を建て、ローマ人は亡くなったマルチーズのために詩を詠み、エジプトの国王はマルチーズに金の食器で食事をさせていました。このことから分かるように、マルチーズは遙か大昔から愛玩犬として重宝されてきたようです。
1877年頃、アメリカではマルチーズの被毛をライオンのたてがみのようにカットしていたため、「マルチーズ・ライオン・ドッグ」と呼ばれていました。その後、1888年にアメリカの愛犬家団体「AKC(アメリカン・ケネル・クラブ)」に認定されるようになりました。
マルチーズの性格
活発で遊び好きのマルチーズは、とても利口で従順な性格のため、初めて犬を飼う方や、子供から年配の方でも楽しく飼育できます。また、近所に軽く散歩へ行ったり、家の中でゲームをする程度の運動量で済むので、比較的に扱いやすい犬種であると言えます。
しかしマルチーズは、愛情深い性格であり、「抱き犬」とも言われていますが、抱っこばかりしていると、飼い主さんに対して依存心が強くなり、上下関係が作れなくなります。また、甘やかし過ぎると、ワガママになったり、他の人や犬を受け付けなくなり、吠えたり攻撃的になることがあります。
そして、とても寂しがり屋な性格のマルチーズは、長い間ひとりぽっちでいることが苦手であり、「分離不安症」を引き起こすことがあります。分離不安症になると、精神的ストレスにより、破壊行動や自傷行為をしてしまいます。長時間留守番をさせてしまいがちな飼い主さんの飼育には向かないかもしれません。
マルチーズの被毛
マルチーズの被毛は、「シングルコート」といい、下毛がないのが特徴です。絹糸状の被毛は床に届くほど長く伸び、ドッグショーなどでは長い被毛を維持するのが一般的ですが、家庭で飼育される場合は、「パピーカット」や「サマーカット」など短めにカットされることが多いです。
マルチーズの被毛は、換毛期がなく、毛は抜けづらいのですが、毛玉になりやすいため、こまめにブラッシングをする必要があります。この犬種のブラッシングに関しては、毎日欠かさないことが必要となりますので、ブラッシングを嫌うことがないよう、幼少期からスキンシップを取りながら、根気強く、優しく声を掛けながらブラッシングしてあげると良いでしょう。
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マルチーズは暑さに強い?弱い?
マルチーズは暑さに極端に弱いわけではありませんが、マルチーズの被毛を美しく伸ばす場合には、熱中症などの症状に気をつける必要はあります。夏場のマルチーズの様子を確認するようにし、暑さでバテているようであれば被毛を少しカットするようにしましょう。
また、寒くないにも関わらず体が震えてしまう「ホワイトシェイカードッグ症」と呼ばれる疾患が見られる場合もあります。このホワイトシェイカードッグ症は、温度に関係なく四肢を震わせる疾患で、有効な治療法は確立されていませんので、対症療法で症状の緩和を行う場合が多いようです。
マルチーズは特別暑さに弱いわけでも、強いわけでもありませんので、様子を見て被毛の長さを変えるなどして、夏や冬を乗り切るようにしましょう。
マルチーズの運動量
マルチーズは多くの運動を必要とはしない犬種です。「抱き犬」という呼ばれかたからもわかるように、マルチーズはペットとして飼育されてきた犬種ですので、わずかな運動量でも十分な犬種でもあります。
具体的には、1日に20分程度の散歩でも足りることでしょう。性格によってはもっと歩きたがる個体も居るとは思いますが、基本的にはこれくらいの運動量でも問題はありません。それ以上に歩きたがるようであれば、運動欲求を満たしてあげるために歩かせるようにしましょう。
運動量は少なくても良いとは言え、全く運動を行わないというのは問題です。適度な運動量がなければ、病気を引き起こす要因にもなりかねませんので、適度な運動量はとるようにしてください。
マルチーズがかかりやすい病気
マルチーズがかかりやすいと言われる病気のひとつに、常に涙があふれ出る「流涙症」という病気が挙げられます。
この流涙症は、あふれた涙のせいで涙やけになったり、目の周りの皮膚炎になることもあります。マルチーズは全体的に被毛が白い分、涙やけで赤くなると目立ってしまいますので、日頃から目のチェックをして、目の周りは清潔に心掛けましょう。
そして、マルチーズは、「膝蓋骨脱臼」という病気も気を付けなければいけません。この病気は、後ろ足の膝蓋骨(膝のお皿)が正常な場所から、内側か外側にずれてしまう(脱臼する)状態になる病気です。
最初のうちは気付かない場合も多く、放置していると、どんどん悪化していきます。愛犬が散歩中スキップしたり、足を上げて歩くような素振りを見せた場合は危険信号です。膝蓋骨脱臼を予防するためには、まず膝に負担をかけないことです。フローリングなどの硬く滑る床には、カーペットやラグを敷きましょう。
マルチーズの遺伝性疾患
マルチーズに多く見られる遺伝性疾患には、目や耳に問題を抱える個体がいる場合もあります。網膜に異常が見られたり、聴覚に問題がある場合もありますので、幼少期にも健康診断を行い、確認してもらうのもよいでしょう。
また、中には「僧帽弁閉鎖不全症」という心臓病を持つ個体も少なからずいるようです。
「僧帽弁」とは、心臓の中にある血液の逆流を防ぐ働きをする「弁」のことで、この弁の機能が低下することにより、心臓に流れている血液が逆流してしまう病気のことです。運動時や興奮時に咳が出たり、疲れたり、運動をしたがらないなどの症状があり、病気が悪化すると、左心不全による肺水腫を引き起こし、呼吸困難になることもあります。
場合によっては命にかかわる場合もありますので、ちょっとした異変を感じた際にはすぐに動物病院にいくようにしましょう。
マルチーズの寿命
マルチーズの寿命はおおよそ12歳〜15歳ほど。前述の通り、マルチーズ全体で見られる、特筆すべき遺伝性疾患も少ないので、特別な問題がなければ寿命をまっとうすることができるでしょう。
寿命を全うさせるためにも、幼少期から健康に気を使った生活を送ることも大事になってきます。マルチーズの運動量はさほど多くはありませんが、適切な運動量は必須となります。健康的な食生活と、適度な運動を行うことで、より健康な毎日を送ることが出来るでしょう。
特に、マルチーズのように華奢な犬種は肥満になってしまうと、足腰にも負担がかかってしまいます。肥満は病気の要因にもなりかねませんので、体重の管理は大事になってきます。食事の管理に関しても、肥満に気をつけるようにし、適切なカロリー量を維持するようにしましょう。
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マルチーズの値段は幾らくらい?
ペットショップなどでもお馴染みの犬種のひとつがマルチーズです。マルチーズは人気の犬種ですので、ペットショップを巡って探すことも難しくはありません。平均の価格に関しては、おおよそ15万円〜20万円といったところ。高い個体ですと40万円近くになる場合もあります。
マルチーズを探すことは比較的容易ですが、ブリーダーから直販で迎え入れるというのも一つの方法です。ブリーダーから迎え入れるメリットは、何と言っても親の情報がわかるという点です。親の情報がわかると、同じ血統で疾患が発生したことがあるかどうかという事や、性格的な情報も手に入ります。
こうした情報が手に入ることで、迎え入れる際の参考にもなりますし、なによりもブリーダーに相談することも出来ますので、飼育初心者の方でも安心です。
マルチーズと暮らすために
マルチーズを飼育する際には、完全室内飼いにして、真夏日はエアコンを付けたり、冬でもヒーターを入れるなどの配慮が必要です。また、背の低い犬種は全ての天候の影響を受けやすいため、真夏の散歩は、炎天下である日中の時間は避け、朝方や夕方など、地面が冷えた時間に出るようにしましょう。
マルチーズは、甘えん坊で、見た目も華奢なので、守ってあげたくなってしまうのは分かりますが、過保護に扱うのはとても危険です。いつでも飼い主さんが守ってくれると思って、他の人や犬に対して気が大きくなり、吠えたり、威嚇したりします。かと言って、飼育怠慢を勧めているわけではありません。何かあればすぐ抱き上げるのではなく、見守る愛もあるのです。
せっかく可愛い愛犬が、「すぐ吠えて可愛くない」「うるさい」なんて言われたら悲しいですよね。
どこに連れて行っても可愛がられる子でいて欲しいですね。
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