「チャイニーズ・クレステッドドッグ」は、多くの方に飼われている犬種ではありませんが、これから飼いたいと思っている方もいるかと思います。犬の種類には様々な特徴や性質、気をつけなければいけない事などがあり、犬を飼う上では犬種別に特徴を理解することが必要になります。今回は「チャイニーズ・クレステッドドッグ」についてチェックしてみましょう。
チャイニーズ・クレステッドドッグとは
「チャイニーズ・クレステッドドッグ」といえば、一度見たら忘れられない、とても風変わりな風貌をしています。外へ連れて歩けば、すれ違う人から二度見されることも多いのではないでしょうか。
ヘアスタイルは、一見モヒカンのようでもあり、冠のようでもあり、トサカのようでもあり、馬のたてがみのようでもあります。
こんなにエキゾチックな雰囲気を漂わせているチャイニーズ・クレステッドドッグですが、決して沢山の人に飼育されている犬種ではありません。
しかし、心優しく少し控え目な愛玩犬であり、何よりも飼い主さんのことが大好きで、甘えん坊な犬種なのです。
チャイニーズ・クレステッドドッグのルーツ
チャイニーズ・クレステッドドッグのルーツは、定かではないのですが、この犬種を含めたヘアレス犬は、「突然変異」として世界中に出現されており、寒冷気候での飼育が難しいことから、中央アフリカやメキシコあたりに、この犬種の祖先があったと考えられています。
また、チャイニーズ・クレステッドドッグは、アフリカ原産の「アフリカン・サンド・ドッグ」という犬種が中国へ渡り、その後中国の土着犬と交配し、この犬種が作られたようです。
チャイニーズ・クレステッドドッグの変わった風貌のお陰で、海外にも多く輸出されたのですが、このことが後に起こる、この犬種の絶滅の危機を救ったと言われています。
第二次世界大戦時、中国政府は国内で飼育されている飼い犬を、犬種問わず全て撲殺するという非情で残酷な命令を下したため、この犬種を含む多くの犬種が中国国内からほぼ絶滅したのです。
頭数の回復から、AKC公認犬種に
しかし、戦後にこの命令が解かれた後、他の国に渡った個体や、当時イギリスの植民地にあった香港やマカオで飼育されていた個体を取り寄せてブリーディングを行い、異種交配することなくチャイニーズ・クレステッドドッグの頭数を回復することができたという歴史があります。
チャイニーズ・クレステッドドッグは、1883年にアメリカの愛犬家団体「AKC(アメリカン・ケネル・クラブ)」に一度公認されたのですが、この犬種の登録が途絶えてしまったため、公認が取り消しとなりました。その後、アメリカでの繁殖などから頭数が増えたことで、1991年にようやくAKCで改めて公認されることとなりました。
ちなみに、「チャイニーズ・クレステッドドッグ」という名前の由来は、清朝時代の中国人のヘア・スタイルからきており、頭頂の毛を伸ばして垂らした、いわゆるべん髪(クレスト)に似ていることから付けられたと言われています。
チャイニーズ・クレステッド・ドッグの大きさはどのくらい?
チャイニーズ・クレステッド・ドッグの大きさは、体重が2.3kg〜5.4kgほど、体高は23cm〜33cmほどで、小型犬に分類される犬種です。後述しますが、チャイニーズ・クレステッド・ドッグには毛のないヘアレスタイプと、被毛があるパウダーパフタイプの2つのタイプが存在しておりますが、どちらのタイプも同じ体重・体高となっております。
特別に活発な犬種ではありませんが、適度な運動は必要となるため、1日に20分程度の散歩などの運動は必要となります。また、その際には服を着せるようにしたほうが良いでしょう。特にヘアレスタイプは服が必須アイテムとなりますので、愛犬のサイズを測って、服の種類を揃えておくようにしましょう。
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チャイニーズ・クレステッドドッグの性格
チャイニーズ・クレステッドドッグは、とても忠実で愛情深いところがあるため、飼い主さんや家族を、毎日何かしら喜ばせようとしてくれます。また、とても遊び好きな一面も持ち合わせており、子供や他の犬種とも友好的に接することができるので、多頭飼いにも向いています。
しかし、少し警戒心が強く、内向的でシャイな部分もあり、見知らぬ人や犬に対して吠えるところもありますので、幼少期のうちから外へ連れ出し、家族以外の人や物などと接する機会をたくさん作り、社交性を身に付けてあげると良いでしょう。
また、マイペースな性格のチャイニーズ・クレステッドドッグは、厳しい躾やトレーニングがあまり好きではありません。決して頭ごなしに叱ったり、乱暴に扱ったりせず、「遊び」や「ご褒美」を取り入れるなど、楽しみながらトレーニングする方が、様々なことを吸収していくでしょう。
チャイニーズ・クレステッドドッグの被毛
チャイニーズ・クレステッドドッグには、「ヘアレス」と「パウダーパフ」の2種類のタイプが存在します。
ヘアレスタイプは頭頂部に冠毛と口、尾、四肢に飾り毛がありますが、その他は全く毛が無く、柔らかく滑らかな皮膚は露出しており、この皮膚には通常の犬では見られない「汗腺」があり、人間と同様に汗をかきます。
パウダーパフタイプは、全身に密生した柔らかい絹糸のような被毛で覆われており、ヘアレスタイプと違って、定期的なトリミングを必要とします。
チャイニーズ・クレステッドドッグの被毛のカラーは、単色や斑があるものなど、いかなるカラーでも認められていますが、皮膚の色は濃い方が尚良いとされています。
様々な注意が必要なヘアレスタイプ
チャイニーズ・クレステッドドッグのヘアレスタイプの被毛に関しては、特に手入れの必要はないのですが、皮膚はとてもデリケートにできていますので、ベビーオイルやヘアレス専用のオイルを塗って肌を保護し、外出する際は日焼け止めを塗り、強い日差しから肌を守ってあげる必要があります。
そして、ヘアレスタイプは、遺伝的にあまり強い方ではなく、無毛になる他、前臼歯はほとんど欠歯で、爪に異常を持って産まれてくる可能性も高いと言われています。
特に、ヘアレスタイプ同士の交配は、早産や流産の可能性が極めて高いために禁止されており、ヘアレスタイプとの交配は、健全なパウダーパフと掛け合わせる必要があります。また、パウダーパフ同士で交配させても、遺伝的な問題は起こりにくいと言われています。
チャイニーズ・クレステッド・ドッグは冬も注意
チャイニーズ・クレステッド・ドッグを始めとしたヘアレスタイプの犬種は、寒さにももちろん弱いので、冬の間の温度管理はしっかりと行いましょう。部屋着を着せる等のケアも重要となりますが、あまり寒暖差を作らない事がポイントとなります。
日中に寒いからと言って暖房をフル稼働させて、あまりに暖かくしてしまうと、夜間に暖房を消した時が心配になります。日中と夜の寒暖差がありすぎると、体温調節も難しくなり、逆に弱い体を作ってしまいます。
暖房を使いすぎるよりも、服やブランケット、ベッドなどを用意し、暖房は適度に利用する程度にしましょう。また、暖房の使い過ぎは皮膚の乾燥も招いてしまいますので、保湿を行いつつ、厳しい冬を乗り切るようにしましょう。
服の素材にも注意しましょう
ヘアレスタイプのチャイニーズ・クレステッド・ドッグを飼育するにあたって、洋服を着せる事は大事になってきます。また、冬に外出する際には、洋服の着用が不可欠となります。
ただし、チャイニーズ・クレステッド・ドッグの皮膚は、ウール(羊毛)にアレルギー反応を起こしやすいところがあるため、服選びにも注意する必要があります。まるで人間の子供のようですが、まさに人間の子供の皮膚を考えるように、チャイニーズ・クレステッド・ドッグの皮膚は敏感です。
夏場は紫外線を防ぐために、冬は寒さをしのぐためにも、チャイニーズ・クレステッド・ドッグは一年中洋服が必要になる犬種ですので、洋服の材質や形などには注意が必要となります。専用の洋服棚を作っておいたほうがよいかもしれませんね。
チャイニーズ・クレステッドドッグがかりやすい病気
チャイニーズ・クレステッド・ドッグに好発する病気はとくに挙げられませんが、後述でも触れますが皮膚病には注意が必要となります。また、皮膚病以外に注意したいのが歯のトラブルです。
チャイニーズ・クレステッド・ドッグは歯のエナメル質が少ないため、欠歯が多い犬種と言われています。できるだけ歯のトラブルを防ぐために、日々の歯磨きは行なったほうが良いかもしれません。
ただし、あまりゴシゴシと磨きすぎると、歯のエナメル質まで傷つけてしまう可能性がありますので、歯磨きを行う際には注意が必要となります。歯磨きの習慣は大人になる前に付けさせておくのが理想的です。幼少期から口の中に手を入れられても嫌がらないように慣れさせ、歯磨きをさせてくれるようにしつけていきましょう。
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チャイニーズ・クレステッド・ドッグは皮膚病に注意
チャイニーズ・クレステッドドッグは、「アトピー性皮膚炎」など皮膚疾患も多い犬種として知られています。アトピー性皮膚炎とは、アレルギーの原因であるアレルゲンが、何らかの要因で体内に入ることで、皮膚のバリア機能を低下させ、皮膚炎を引き起こす病気です。
アトピー性皮膚炎は一度発症すると完治が難しく、一生付き合わなければならない事がほとんどです。食事の管理はもちろん、部屋を清潔に保つことや、皮膚のケアを行うことが大事になります。
日焼けのケアや乾燥のケアといったように、ヘアレスタイプのチャイニーズ・クレステッド・ドッグを飼育する上では皮膚のケアが肝心です。食事の管理と合わせて皮膚のケアを大事にし、皮膚病に負けない健康な体つくりを行うようにしましょう。
チャイニーズ・クレステッド・ドッグの値段は?
チャイニーズ・クレステッド・ドッグは比較的マイナーな犬種ですので、ペットショップなどでも見かける機会は少ないかもしれません。相場の価格としてはおおよそ15万円前後。高い個体でも30万円を越える事はそうないでしょう。
チャイニーズ・クレステッド・ドッグを実際に迎え入れるとすれば、ブリーダーからの直販が一番手っ取り早い方法になります。代行取引などを利用すれば、全国どこでも手に入れることは可能ですが、実際に犬舎に行って見に行きたいとなると、チャイニーズ・クレステッド・ドッグをブリーディングしているブリーダーの多くは、九州などの暖かい地方にかたまっています。
チャイニーズ・クレステッド・ドッグは珍しい犬種ですので、相談にも乗ってもらえるようなブリーダーさんから迎え入れるのが理想的ですね。
チャイニーズ・クレステッドドッグと暮らすために
先述したように、ヘアレスタイプには様々な問題点がありますが、毛がないので、ノミなどの害虫が付きにくいことと、体温が他の犬種よりも高く、40℃ほどあるため、寒い冬の季節には湯たんぽ代わりになるという長所もあります。毛も抜けづらいので、寒い夜は同じ布団で一緒に寝てみてはいかがですか。
こんなチャイニーズ・クレステッドドッグは、2016年度の「世界一醜い犬を決めるコンテスト」で優勝しており、飼い主さんは、「こんな欠点があるにも関わらず、愛嬌があって可愛らしい。」と語っています。
可愛い子もいれば、不細工な子もいて良いのです。人にも個性があるように、みんなその子の個性なのではないでしょうか。
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