「柴犬」は飼っている方もこれから飼いたいと思っている方も多いと思いますが、「柴犬」を飼う上で気をつけなければいけない事はどのような事があげられるでしょうか?今回は「柴犬」について特徴や性質をチェックしてみましょう。

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柴犬のルーツ


柴犬は、天然記念物に指定されている日本犬6犬種(秋田犬・紀州犬・甲斐犬・四国犬・北海道犬・柴犬)のうちの1種であり、この中でも最も古くて小さい犬種で知られています。

また、縄文時代の遺跡から、この柴犬の骨が出土されたと言われており、原始時代に南方より渡ってきたと考えられています。柴犬は、本来ヤマドリやキジなどの鳥や、ウサギなどの小動物の狩猟犬として、古くから人間と共に時代を生きてきました。

絶滅の危機に陥る柴犬

1868年の明治時代に入ると、日本では狩猟がスポーツ化し、ちょうどこの頃は鎖国が解禁となったこともあり、様々な西洋の狩猟犬が輸入され、柴犬はこの西洋犬と交配されるようになりました。その結果、1912年から1926年までの間に純粋な柴犬はほとんど見られなくなってしまいます。

そこで、柴犬の本来のあるべき姿を後世に残そうと、1928年に「日本犬保存会」を設立し、1936年には柴犬は国の天然記念物として指定されることになったのでした。

この頃、岐阜の「美濃柴」、長野の「信州柴」、本州山陰地方の「山陰柴」の3種類のタイプの柴犬が存在していたのですが、第二次世界大戦と1952年に大流行した「ジステンパー」という病気により、その頭数が一気に激減し、柴犬は絶滅の危機に陥ったのですが、それを危惧して「柴犬保存運動」が起こり、各地から集められた柴犬同士を交配させることにより、絶滅の危機を脱することに成功したと言われています。

ちなみに、「柴犬」という名前の由来は諸説あり、古語で「柴=小さいもの」という意味から、小さい犬を柴犬と呼んでいたという説や、被毛の色が刈り取った柴(山野に生える雑木)の色に似ていたという説などがあります。

柴犬と秋田犬


日本を代表する日本犬といえば「柴犬」の他にも「秋田犬」が挙げられます。秋田犬もまた、柴犬と同じく、古来からの姿が失われつつあり、保存が急がれた日本犬です。現在では柴犬も秋田犬も、世界的に有名な人気犬種となりましたが、日本犬愛好家の方々がいなければ、今はもうその姿も見れなくなっていたかもしれません。

そんな日本犬ですが、天然記念物に指定された犬種の中で唯一、地名の入っていないのが柴犬です。秋田を原産とする秋田犬や、四国犬など、その土地の地名が入るのが日本犬ですが、柴犬に関しては産地をまたいで繁殖をし、種の保存に努めたために、地名は入らずに前述のような理由で名前が付けられています。

いずれにしても、日本犬を飼育している方は、こうした日本犬の歴史を知って、だいじに飼育していきたいところですね。

柴犬の性格

柴犬は、日本犬特有の性質を持ち、一度信頼関係を築いた飼い主さんには極めて忠実ですが、見知らぬ人には距離を置き、懐きにくいところがあります。また、警戒心が強く、縄張り意識も高いことから、番犬に向いています。

獲物を追う狩猟犬として長い歴史を持つ柴犬は、欧州の狩猟犬などと比べても、獲物を捕らえようとする、捕食本能が極めて強いという理由から、散歩中などで何かに興味を持つと、必死に追いかけたり、飛びつこうするところがあります。

また、頑固な面も持ち合わせており、一度スイッチが入ると、飼い主さんの声も届かず、攻撃的になり、なかなか冷静になれないことがあります。

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柴犬の被毛

柴犬は、硬くて直毛の「オーバーコート(上毛)」と、柔らかく密生した「「アンダーコート(下毛)」の二層構造の「ダブルコート」という被毛で覆われております。
柴犬の被毛のカラーは、「赤」「黒」「白」「胡麻」などがあります。

もともと抜け毛が多い柴犬の被毛は、年に二回の換毛期があり、春と秋になると、さらに抜け毛が多くなります。元々皮膚病になりやすい犬種なので、こまめにブラッシングをして、常に清潔な体を維持させるようにしましょう。

柴犬の飼い方について


柴犬を飼育する際、まずどのように育てたいのかを考える必要があります。
見知らぬ人に対して警戒心を持つ柴犬を番犬として育てるのか、あるいは、飼い主さんや家族以外の誰とでも、フレンドリーに接することができるように育てたいのか・・。

愛犬をフレンドリーに育てる場合、子犬の頃から家族以外の人間や外の環境などに慣れさせ、社交性をつけてあげることが必要です。そうすることによって、他の人や犬と上手にコミュニケーションが取れるようになり、不必要な強い警戒心を抑えることができます。

どちらにするにしても、まずは愛犬との主従関係をしっかり築き、飼い主さんがリーダーであることをしっかりと認識させることが重要です。この時、ただ厳しいだけの躾では、言うことを聞いてくれません。スキンシップを取りながら、「愛情」と「厳しさ」のメリハリのある躾をすることが大事です。

柴犬の運動量

柴犬の運動量は、小型犬の中でもかなり多めと考えて良いでしょう。小型犬の中には適度な運動で十分な犬種もいますが、柴犬に関しては1日に1時間以上の運動が適切です。

柴犬は十分な運動量が行えないと、ストレスが溜まってしまうだけでなく、肥満体質になってしまったり、体調を崩してしまったりと言った状態になります。こうした状態になると、病気を引き起こす要因になってしまったり、肥満になり、なおさらに運動をしなくなり、悪循環となってしまう場合も想定されます。

こうならないよう、柴犬を飼育したならば、しっかりと柴犬が満足の行く運動量を摂らせるようにし、健康的な生活をおくるようにしましょう。また、食事の管理も重要です。運動量に見合った栄養を摂取させるようにし、体重のコントロールは常に意識するようにしましょう。

柴犬がかかりやすい病気

柴犬は、「アトピー性皮膚炎」など皮膚疾患が多い犬種として知られています。アトピー性皮膚炎とは、アレルギーの原因であるアレルゲンが、何らかの要因で体内に入ることで、皮膚のバリア機能を低下させ、皮膚炎を引き起こす病気です。
アトピー性皮膚炎は一度発症すると完治が難しく、一生付き合わなければならない事がほとんどです。

また、柴犬は、「膝蓋骨脱臼」という病気も気を付けなければいけません。この病気は、後ろ足の膝蓋骨(膝のお皿)が正常な場所から、内側か外側にずれてしまう(脱臼する)状態になる病気です。

最初のうちは気付かない場合も多く、放置していると、どんどん悪化していきます。愛犬が散歩中スキップしたり、足を上げて歩くような素振りを見せた場合は危険信号です。
膝蓋骨脱臼を予防するためには、まず膝に負担をかけないことです。フローリングなどの硬く滑る床には、カーペットやラグを敷きましょう。

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柴犬の寿命

柴犬の寿命は、おおよそ12歳〜15歳ほど。小型犬種の中でも、柴犬は比較的長生きのする犬種としても知られます。ただし、柴犬は高齢になるに連れて痴呆の症状が出やすい犬種としても知られます。

そのため、柴犬を飼育する際には、犬の痴呆についてある程度理解しておくとよいでしょう。ポイントとなるのは、「痴呆の症状」や「痴呆にならないための対策」です。

痴呆は、日頃の散歩コースを変えてみる事や、毎日のスキンシップ、呼びかけなどでも予防・回避出来るものと言われています。高齢になってきましたら、こうした痴呆の予防策を行うようにし、常に刺激のある生活を送らせるようにしましょう。

呼びかけに応じなかったり、極端な怒り方や甘え方などの症状が見られると、痴呆の症状と疑ったほうが良いかもしれません。しかし、痴呆の症状が見られたからと諦める必要はありません。そのためには、痴呆についての知識を付けておくようにしましょう。

柴犬の値段はいくらくらい?


柴犬は人気犬種ですので、ペットショップでも見かける機会は多い犬種です。また、価格に関しては15万円前後、高い個体ですと50万円を越える柴犬も居るようです。

数年前に一度、一気に流行した「豆柴」と呼ばれる柴犬。一般的な柴犬よりも小さい柴犬として、ペットショップでも「豆柴」という犬種名で販売され、価格も高騰していた頃がありました。しかしながら、実際のところ「豆柴」という犬種はおろか、「豆柴」という概念はありません。

悪い言い方をすると、販売する側の「戦略」として、ティーカッププードルに次ぐ流行りを産み出すためのものだったのかもしれません。もちろん、「豆柴」で血統証が出るわけでもありませんし、柴犬よりも小さいというのも確率の問題です。

高値で「豆柴」を迎え入れても、実際の所は「もしかすると」小さくなる「柴犬」なのです。

柴犬と暮らすために

柴犬はとても我慢強い性格の持ち主で、多少環境が悪くても、それにじっと耐えてしまうところがあり、それゆえ、精神的ストレスを受けやすい犬種でもあります。

「最近スキンシップは減っていないか」
「留守番が増えていないか」
「散歩は疎かになっていないか」

気がつくとこうした事が疎かになっていたりもします。柴犬はこうしたちょっとした事もナイーブな気持ちで受け止めがち。時には柴犬の気持ちになって考えてみると良いかもしれませんよ。

柴犬はこうしたポイントを押さえていれば、逆に飼い主さんに対して無二の愛情を注いでくれる犬種です。そんな性格が世界的にも受け入れられ、人気犬種として知られるきっかけになっていったのです。柴犬に愛されるような飼い主さんを目指しましょう!

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