「シェットランド・シープドッグ」ですが、シェルティーという方が馴染みのある犬かもしれません。「シェットランド・シープドッグ」は、どのような特徴や性質、飼育上で気をつけなければいけないのでしょうか?今回は「シェットランド・シープドッグ」について、飼っている方もこれから飼いたいと思っている方もチェックしてみましょう。

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シェットランド・シープドッグとは

「シェットランド・シープドッグ」は、「シェルティー」の愛称で親しまれており、昔から「牧畜犬」として人々の生活にとても役立ってきた利口な犬種で、抜群の俊敏性と忍耐力を兼ね備えています。

また、音に敏感に反応する性質を持つという犬種であることから、1984年に誕生した日本初の「聴導犬」はシェルティーだったと言われています。
こうしてシェルティーが、昔も今も人々の役に立っているのは、常に人に寄り添い、人を喜ばせることが好きなシェルティーだからこそ、できることではないでしょうか。

シェットランド・シープドッグのルーツ

シェルティーの歴史は古く、スコットランドの北西部にあるシェットランド諸島で、牧畜犬として飼育され、コリー犬やボーダー・コリーの祖先であるとも言われています。また、アイスランド・シープドッグや、キング・チャールズ・スパニエルも、その後のシェルティーの改良に大きく関わっていると考えられています。

この頃のシェットランド島は、厳しい自然環境の中、家畜の飼料も豊富でなかったため、家畜も小さく、特にシェットランド島の羊は、スコットランドの羊と比べて半分程の大きさしかありませんでした。それに伴い、シェルティーの大きさも小型化されたようです。

また、シェットランド島では、家畜の動きを制限するような柵が少なかったため、家畜が農作地に入らないよう、家畜を管理するための熟達した牧畜犬が必要であり、シェルティーは、羊だけでなく、牛や馬、鳥なども管理できる牧畜犬として重宝されていました。

19世紀末頃、イギリス海軍の艦隊が演習のため、この島に訪れるようになり、シェルティーの子犬が盛んにイギリスへ持ち込まれました。その後の1909年には「シェットランド・コリー」という名称でイギリスの愛犬家団体「KC(ケネル・クラブ)」に公認されましたが、コリーの愛犬家から猛反発を受け、1914年に「シェットランド・シープドッグ」という犬名に変更されました。

シェットランド・シープドッグの性格


活発で遊び好きなシェルティーは、優しく穏和なところも持ち合わせており、子供や他の犬種とも友好的に遊ぶことができ、多頭飼いにも向いています。また、愛情深く、常に人を喜ばせることが大好きで、飼い主さんや家族に対して、とても献身的に接します。

しかし、シェルティーは、見知らぬ人や物に対して臆病であったり、何らかの音に敏感に反応して、パニックになることもあります。また、牧羊犬の名残からか、吠えたり、遊びに夢中になると興奮して踵に噛みつくことがあります。

幼少期から外へ連れ出し、他の人や物、様々な音に慣れさせる機会を作ったり、興奮した際はひとまず落ち着かせる訓練が必要でしょう。

シェットランド・シープドッグの運動量はどのくらい?

牧畜犬として活躍しているシェルティーですが、仕事に耐えうる体力は並外れたものがあります。そのため、シェルティーが必要とする運動量も多く、性格も活発であるために、しっかりと運動が行えないような環境下では、ストレス等が溜まる要因にもなってしまいます。

しかし、ペットとしてシェルティーを飼う際には、シェルティーの牧畜犬としての能力を十分に発揮することはできません。十分ではありませんが、毎日2回以上の散歩は行うようにしましょう。

1時間程度の長歩きの散歩でも、ある程度の運動量ではありますが、シェルティーが求めるのはやはり広い場所でのびのびと走ることです。定期的にドッグランなどに連れて行ってあげるようにし、思う存分走らせてあげることも大事になってくるでしょう。

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シェットランド・シープドッグは体重管理に注意

前述の通り、シェルティーは多くの運動量を必要とする犬種です。十分な運動を行えないとストレスが溜まってしまう要因にもなりますが、同時に肥満体型にもなりがちです。

シェルティーの平均的な体重は、成犬時でオスが7kg〜10kg程度、メスで6kg〜8kg程度です。しかしながら、オスメス関わらず、ペットとして飼育されているシェルティーは10kgを越える子も少なくないようです。
シェルティーは多くの運動を必要とする犬種ですが、同時に多くのエネルギーも必要とする犬種です。シェルティーに推奨される消費カロリーなどは、基本的にしっかりと運動を行っている前提での、活発な生活環境での消費カロリーです。

毎日の散歩でもカロリーは消費されますが、活発な運動とは言えませんので、給餌量をしっかりと把握することや、愛犬の体重を常にチェックすることは大事です。肥満になると、病気を引き起こしてしまいますので、病気になる前にしっかりと管理を行うようにしましょう。

シェットランド・シープドッグの被毛

シェルティーの被毛は、長くて硬く、真っ直ぐの「オーバーコート(上毛)」と、短くて柔らかい毛で密生した「アンダーコート(下毛)」の二層構造からなる「ダブルコート」と呼ばれる被毛で覆われています。

そして、シェルティーの被毛は毛玉になりやすいので、毛玉は寄生虫の温床となり、皮膚炎の原因にもなりますので、注意が必要です。また、換毛期があり、特に春から夏の季節の変わり目には大量の毛が抜けるため、毎日こまめにブラッシングを心掛ける必要があります。

シェルティーの被毛のカラーは、「セーブル&ホワイト」「トライカラー(黒・白・茶の3色)」「ブラック&ホワイト」「ブラック&タン」「ブルーマール」などがあり、ブラック&タン以外は、ブレーズ(両目の間から鼻先までの中央を通る線のこと)、カラー(首周り)、胸、足、尾先に白いマーキングがあるのが好ましいとされています。

シェットランド・シープドッグがかかりやすい病気

シェルティーは「アトピー性皮膚炎」など皮膚疾患も多い犬種として知られています。アトピー性皮膚炎とは、アレルギーの原因であるアレルゲンが、何らかの要因で体内に入ることで、皮膚のバリア機能を低下させ、皮膚炎を引き起こす病気です。

また、「特発性てんかん」も、シェルティーに多い病気とされています。検査をしても脳に腫瘍や炎症などの異常がないにも関わらず、神経細胞に異常が起こることにより発症する病気で、全身が痙攣し、意識を失い、失禁する「全般発作」や、顔の一部や四肢が痙攣する「部分発作」といった症状が見られます。

そして、シェルティーは「コリー眼異常(CEA:Collie Eye Anormaly)」という遺伝による病気にも気を付けるべきです。
視神経や強膜など、目を構成する組織に色々な形成異常が起きるこの病気は、軽傷の場合には普通に目が見え、判断がつきにくいケースもあれば、若齢のうちに発症し、症状が進行して失明することもあります。また、この病気を発症したシェルティーは、遺伝的疾患が認められるため、繁殖に用いる事は避けた方が良いでしょう。

「イベルメクチン」の使用には注意が必要


シェルティーを含む、コリー犬やボーダーコリー、オーストラリアン・シェパード等の牧畜犬は、フィラリアの予防薬として使われる「イベルメクチン」の使用が危険とされています。毎年行うフィラリア予防ですので、シェルティーを飼っている方であれば必ず知っておきたい事でもあります。

これは、イベルメクチンを摂取することでイベルメクチン中毒という症状が引き起こされてしまい、嘔吐や衰弱、無反応と言った神経に作用する中毒症状が見られ、場合によっては死亡する危険性もあるものです。

牧畜犬に多く見られるイベルメクチン中毒ですが、遺伝子が原因となっているために引き起こされてしまうのです。フィラリア予防程度の量なら問題ないという説もありますが、中にはイベルメクチンに対して特に強い感受性がある子もいるので、可能性を考えるなら、獣医さんとよく相談された方が良いでしょう。

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シェットランド・シープドッグの寿命は?

シェルティーの寿命は、平均的な年齢で13歳〜15歳と言われています。このサイズの犬種にしては、比較的長生きな子が多い印象ですね。

シェルティーの寿命を全うさせるためにも、日頃からの健康管理、運動管理は重要な要素となってくるでしょう。しっかりと運動を行うことで、足腰の健康維持や心肺機能の健康維持にもつながり、より長生きができる丈夫な体を作ることが出来ます。

また、肥満体型にならないようにすることも大事になります。ストレスが溜まらないような楽しい生活環境は、心身ともに健康的になります。ドッグランなどでのびのびと走らせることや、毎日のちょっとした時間でも遊んであげるなど、日頃からハリのある生活を送らせるようにしてあげましょう。

シェットランド・シープドッグの販売価格について

シェルティーは、比較的人気犬種ではありますので、ペットショップなどでも見かけることもあるでしょう。相場価格としては、おおよそ15万円前後といった所でしょう。高くとも30万を越えることは稀で、月齢などによっては10万円を切るような価格で販売されていることも。

しかしながら、シェルティーを迎え入れる際にはある程度、しつけや管理が大変だということを理解しておきましょう。たまたま入ったペットショップで、低価格だからと安易に迎え入れても、飼育しきれなければかわいそうな事になります。

直販を行っているブリーダーも多いですので、しっかりとシェルティーについて説明を受けたり、飼うにあたってのポイントなどを理解してから、迎え入れると良いでしょう。

シェットランド・シープドッグと暮らすために

日本でも以前、テレビドラマ「名犬ラッシー」でコリーブームに沸いた時代があり、日本の狭い住宅事情から、大きいコリー犬の飼育を断念した人たちが、一斉に「小さいラッシー」と言われたシェルティーを飼育するようになりました。

しかし、本来は陽気で優しい性格のシェルティーが、乱繁殖により、臆病で神経質な無駄吠えの多い犬が増え、「想像と違った」と勝手な先入観を持った人たちや、近所迷惑などにより手放す人たちが続出したことがありました。

「シェルティーは目で話す」と言われています。シェルティーは、会話こそできなくても、相手の心情を察するかのように勘が鋭く、相手を思いやることができる犬種です。それゆえ、繊細な心の持ち主でもあるため、乱暴に扱ったり、厳し過ぎる躾をすると、シェルティー本来の良さを引き出すことができません。

常に人とのコミュニケーションを大切にするシェルティーは、できるだけ室内飼育にして、日頃からアイコンタクトを取りながら沢山話しかけてあげましょう。そして、決して甘やかすだけの躾ではなく、褒める時は大袈裟に褒め、叱る時はきちんと叱り、愛情のあるメリハリある躾を心掛けることが大事です。

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