犬のご飯を、ドッグフードから手作りフードに変えてみたいと思う方もいると思いますが、栄養素やカロリー等の重要なポイントを理解しないと、栄養過多・栄養不足になってしまう可能性もあります。今回はこの「手作りフード」に必要な要素を解説してみます。

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ドッグフードと手作りごはんの違い

単純に手作りフードを作りたいと思っても、実は簡単なことではありません。昔ながらの残飯のようなご飯は、カロリー計算もなされていない上に、犬の体にとって有害な成分が含まれていないとも言い切れません。たとえ具が入っていなくても、溶け出した煮汁に成分が含まれているので、避けたほうが無難といえます。

一般に市販されているドッグフードには、「犬に必要な一日分のカロリー」や「栄養素」、「体に有効な食材」が計算されて配合されており、バランスの取れた食事を簡単にとることが可能となっています。手作りフードを作りたいと考えた場合は、この「1日分のカロリーと栄養素」「体に有効な食材」に注意して、ご飯を作っていくことがポイントとなります。

このようなカロリー計算や食材の選定は難しい事ではありますが、手作りフードを極める事は愛犬の「体調管理」や「食事管理」に繋がり、そして何よりも愛犬への手作りごはんには愛情が込められているので、犬も喜んで食べてくれる事でしょう。

犬の1日に必要なカロリーとは

ひとつの参考になるのが、現在食べているドッグフードの裏面に記載されている「原材料表示」と「成分表記」の欄です。初めの一歩としては、おおよそこうした数値を目指すことになりますが、犬の体調や食いつきなどによって、微妙に配合を変えていけるのが手作りフードの強みです。

<1日に犬が必要なカロリー>
・1歳未満〜 250kcal〜700kcal
・1歳(成犬)〜 500kcal前後
・7歳(老犬)〜 成犬時よりも若干多め

以上に挙げたのが、一般的な犬の一日に必要なカロリー。これをふまえて、犬の「年齢」や「体重」、さらには犬の「体調」をしっかりと確認しながら、1日のカロリーを計算してみましょう。

犬に必要な栄養素を知る

犬にとっての必要な栄養素は私達人間と同じ、「タンパク質」「脂質」「ビタミン」「ミネラル」「炭水化物」の5大栄養素に加え、「水」「食物繊維」となります。肉食動物のイメージが強いですが、犬は猫とは違って肉食性の雑食動物です。肉ばかりを食べるわけではなく、バランスの取れた食事を摂ることが必要なのです。

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「タウリン」と必須アミノ酸について

犬の食事を考える際に、非常に重要となるのが犬の必須アミノ酸についてです。体内では作ることの出来ないアミノ酸を、いかに上手に食事から取り込むかを考える必要があります。必須アミノ酸が不足してしまうと、様々な病気の要因にもなりかねません。

犬の必須アミノ酸とは、

【1】大豆や肉類などに含まれる「アルギニン」
【2】マグロに多く含まれる「ヒスチジン」
【3】筋肉を作り上げる「イソロイシン」
【4】牛乳やヨーグルトに含まれる「ロイシン」
【5】ほうれん草などに含まれる「リシン」
【6】とうもろこしやチーズ等に含まれる「メチオニン」
【7】魚や肉に含まれる「スレオニン」
【8】脳内の神経伝達物質として必要な「フェニルアラニン」
【9】豆乳や魚に含まれる「トリプトファン」
【10】魚や牛肉に含まれる「バリン」

の10種が犬の必須アミノ酸です。これらのアミノ酸を、様々な食材から上手に取り入れられるようにし、他の栄養素とバランスよく組み立てることが、手作りごはんでは重要になってきます。

脂質と炭水化物

タンパク質と同様に、犬のエネルギー源となるのが「脂質」で、肉などの脂肪分から必要なエネルギーを吸収しています。こうした食事から摂取される脂質は中性脂肪などで、主に脂身などから摂取しています。このような食事から得られる脂肪酸は、体内では作ることができないため、食事から摂ることが必要になりますが、こうした脂肪酸を犬の「必須脂肪酸」と呼んでいます。

必須脂肪酸には、「リノール酸」「αリノレン酸」「DHA」「EPA」等が挙げられ、犬の健康な体を維持するためには、必ず必要になるものです。また、筋肉等の体だけではなく、脳や神経組織の発達にも必要なものです。

こうした肉食ばかりの食事で、偏りがちな栄養素にバランスを持たせる役割を果たすのが米やとうもろこし等の「炭水化物」。ほぼ全てのドッグフードにも含まれる、こうした米などの穀物に含まれる炭水化物は、必要不可欠とまではいかないものの、常に正常な栄養バランスを保つのに必要な栄養素なのです。

ビタミンとミネラル

カルシウムやナトリウム、マグネシウムといった血液や神経に必要な栄養素が「ミネラル」です。犬の健康な生活を送るために重要な栄養素であるミネラルですが、このミネラルが体内に増えすぎると「結石」ができやすくなってしまうので、適度な量を摂取する事が必要です。おやつに煮干やかつおぶしなどをあげることが多いと、マグネシウム量が多いために結石に繋がりますので、注意が必要です。

「ビタミン」は人間でもおなじみの栄養素ですが、犬の体はビタミンAをはじめとした、B1、B2、B6、Dといったビタミン群を体内で生成できないため、食事から摂ることが必要となります。他の栄養素とのバランスを良くするために必要不可欠なビタミン。中でも「ビタミンE」「ビタミンD」は特に必要なビタミンでもあります。

正しく栄養素を理解して、+αの食事に

こうしてみてみると、ドッグフードがいかに簡単に、より正確に犬の栄養素を補える食事だと言うことがわかると思います。しかし、こうした栄養素について詳しくなることで、より適切な「食事」や「おやつ」について理解できるという事に加え、犬の体調が不調だなと感じた時に「健康食」のような考え方で、プラスアルファの食事を与えることも可能となります。
少々難しいですが、愛犬の栄養士さんになるような気持ちで勉強してみると、楽しく学ぶことができますよ。

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