「狩猟犬」は、昔から人間の相棒として遣えてきた。その歴史も古く、色々な猟のシーンによっても狩猟方法や犬の仕事も違うため、一言で狩猟犬と言っても、その役割や特徴は様々です。今回は様々な仕事をこなす狩猟犬の種類に関して解説していきたいと思います。

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色々な役割を持つ狩猟犬

昔から人間とともに生活をし、人間の仕事を手伝ってきた「狩猟犬」。現代でも狩猟犬は活躍していますが、犬が人間の相棒となるきっかけになったといっても過言ではないのが、この狩猟犬の働きによるものでしょう。

狩猟犬には「サイトハウンド(視覚ハウンド)」や「セントハウンド(嗅覚ハウンド)」、その他「ポイント犬」や「回収犬」といった、それぞれ犬種の特徴を活かした仕事や役割があり、それぞれにこなす内容や仕事が変わります。

優れた視覚と足の速さで獲物を追う「サイトハウンド」

狩猟犬のイメージとして一番強いのがこの「サイトハウンド」と呼ばれる狩猟犬ではないでしょうか。サイトハウンドとは「視覚ハウンド」と言う意味があり、犬の持つ優れた視覚と、足の速さを最大限に活かした狩猟犬の事を言います。

イメージとしては、サバンナのチーターのようなサイトハウンドの犬たち。獲物に気づかれぬよう遠くの獲物を視覚でとらえ、静かに忍び寄り、射程圏内に入ると足の速さを活かして獲物を追いかけ捕らえます。猟の行動範囲としては非常に広いものになるので、単独で狩りを行うことができ、飼い主に対しても従順である必要があるので、躾としても非常に高度である必要があります。

このサイトハウンドに属される犬種には、「サルーキ」や「ボルゾイ」「ウィペット」「イタリアン・グレーハウンド」「アフガン・ハウンド」などの犬種が挙げられます。運動量も多く、動くものに反応する狩猟本能も強いこれらの犬種は、現在では狩猟のほかにも「ルアーコーシング」等の犬の競技でも活躍する犬種です。

吠え声と嗅覚が自慢の「セントハウンド」

サイトハウンドが「視覚」と「足の速さ」を武器にしているのに対し、「セントハウンド」は犬の「嗅覚」と「体力」を武器とする狩猟犬です。セントハウンドは「嗅覚ハウンド」とも呼ばれ、その狩猟方法は優れた嗅覚を使って獲物を見つけだし、追い詰めて捕らえます。また、サイトハウンドが単独行動を必要とするのに対し、セントハウンドは他の犬達と共同作業を行うという、同じ狩猟犬でも異なる点があります。

セントハウンドが体力自慢というのも、狩猟を行っている際に飼い主が仕留めきれなかった獲物を探し出し、深手を負っている獲物を追い詰めるように吠えて、飼い主を獲物の元へと導く仕事をします。獲物が移動するのを諦めるまで追い続ける必要があり、吠え続けながらも嗅覚を活かして探し出すため、体力も必要となる仕事です。

セントハウンドに属される犬種には、「ダックスフンド」や「ビーグル」「バセットハウンド」「ブラッドハウンド」といった犬種が挙げられます。ダックスフンドは、穴の中に隠れる動物を吠えて追い立てるために、胴が長く作られた犬種としても知られますね。

また、足の速さはそこまで求められず、より優れた嗅覚と吠えて知らせる事が重要となる犬種なので、鳴き声は遠くに居ても聞こえるよう、吠え声がより響くような機能を持った犬種が特徴となります。

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獲物を回収し、飼い主のもとへと戻る知能が必要となる「回収犬」

日本でも人気の高い「ゴールデン・レトリバー」や「ラブラドール・レトリバー」などの犬種が従事してきたのは、「回収犬」や「レトリーブ犬」とも呼ばれる、主にハンターである飼い主が撃ち落とした鳥を回収する役割を担う仕事です。湖などでの猟では、水辺にも落下することも多いことから、泳ぐことも得意である必要がある仕事でもあります。

こうした仕事をこなす犬種は、獲物が落下していく場所を記憶し、正確に距離を捉える必要もあるため、優れた観察力や、飼い主のもとへと獲物を回収し戻るという、頭の良さも必要とされる犬種です。ペットとしてのイメージも強い「プードル」も、泳ぎが得意で頭も良いことから、この回収犬として使えてきた歴史があります。

現在ではこの記憶力や知能の高さ、また人間とのコミュニケーションスキルの高さから、盲導犬や聴導犬としての仕事もしていますね。

他にも猟のシチュエーションによって変わる狩猟犬の仕事内容

セントハウンドのように吠えて知らせる仕事には、狩りの追い込みだけでなく、より複雑な追い込みを行う犬の仕事も存在します。「ポインター」や「セッター」といった犬種がこうした犬種に当てはまりますが、「イングリッシュ・セッター」等の犬種は、ハンターである飼い主がより射撃を行いやすい距離に鳥を追い出し、場所を知らせる仕事を行ってきた犬種です。

また、ポインターの仕事はまた少し異なり、小動物などの獲物を嗅覚と視覚を持って探し出し、発見した際には飼い主に知らせるのが仕事ですが、他の犬のように吠えて知らせるのではなく、獲物に気づかれぬようにその場に座って、前足を上げて飼い主に知らせるという仕事を行ってきました。こうした行動が「ポイント」と呼ばれるようになり、ポインターという名称が付けられたのです。

まとめ

狩猟犬はこのように、私達の仕事に従事し、自らの役割をこなしてきました。とはいえ、これらの犬種には素質はあるものの、狩猟犬をコントロールするための躾や飼い方をしなければ、こうした賢い狩猟犬になることも難しいのです。ただこの犬種を飼育したからと、同じように仕事をすることが出来るかと言えば、そうではありません。

狩猟犬のほとんどは好奇心も強く、非常に多くの運動量を必要とする犬種ですので、これらの犬種をペットとして飼育する際には、それなりの覚悟と躾が必要となります。素質は良いものを持っていても、それを活かすのは人間なのです。狩猟犬をルーツに持つ犬種を飼う際には、しっかりと犬種のルーツに関して理解し、その犬種の素質や特徴を理解してから飼うようにしましょう。

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