猫には短毛種や長毛種がいますが、それぞれ見た目の違いは明らかですが、お手入れの仕方は、それぞれ違うのでしょうか?今回は猫の被毛と、毛の長さの違いによるお手入れの方法について解説していきたいと思います。
猫について
実に様々な種類が存在している「猫」ですが、この身近にもいる猫たちの祖先とされるのが「リビアヤマネコ」というヤマネコ科の一種です。このリビアヤマネコが基礎となり、長い年月をかけ、現代の猫たちは様々な容姿を変えてきました。
その容姿は、住んでいる場所や環境に順応して「大きさ」や「被毛の長」さを変え、あるいは人間の手によっても容姿を変えてきました。
先祖となるこのリビアヤマネコの体長は、約50cm〜70cmですが、こうした進化をしていったことで、大型種の猫で知られる「メインクーン」の体長は100cm前後までも大きくなり、また寒い地方に土着したことで被毛も長くたくましい体となりました。
このように、その土地で進化していくことで、土地に適した体型や体質へと変わり、様々な猫種が誕生していったのでした。
人間によって飼いやすい猫へ
長毛種で知られるメインクーンはこうして「土地」に根付くことで、その体型や体質を進化によって変えてきましたが、野性味ある風貌で人気の「ベンガル」は、直近にヤマネコ(アジアン・レパード・キャット)の血が通っているものの、より飼育しやすい猫にするべく、その後は交配によって「飼いやすい」猫へと「人為的」に進化させてきました。
このようにリビアヤマネコをベースとして、世界各地へと様々な理由で生活の拠点を変えていった猫たちは、さらに、その土地により適した体へと進化していったのです。
そして現在、様々な体型に進化を遂げた猫達は、
- 短毛・長毛
- 体格
- 毛色
など、猫種の特徴で分類されるほどに、その種類を増やしていっています。今回は分類のひとつの、「被毛の長さ」について見てみましょう。
短毛種の猫たち
短毛種に代表される猫種には、たくさんの種類が存在し、
- アビシニアン
- シャム
- ベンガル
といった、比較的野性味のある風貌をした猫種もいれば、
- アメリカン・ショートヘアー
- エキゾチック・ショートヘア
- ブリティッシュ・ショートヘア
のような、ペットと呼ばれるようなかわいい雰囲気を持った猫たちもいます。
また、短毛というよりは「毛がない」猫で知られる「スフィンクス」なども短毛種の一種となります。ただし、スフィンクスの場合は進化の過程で無毛になったわけではなく、劣性遺伝子によるもので、環境や人為的な交配によって作られたものではありませんでした。
現在では、スフィンクスは無毛の猫として認められていますが、劣性遺伝子同士の交配に近親相姦が生じてしまうために、他種の猫(アメリカン・ショートヘアーなど)と異種交配された「スフィンクス」が、現在における一般的なスフィンクスとなっています。
長毛種の猫たち
長毛種の猫もたくさんの種類が存在しており、冒頭にも挙げた「メインクーン」や「ノルウェージャン・フォレスト・キャット」等の品種は、自然界の環境に合わせて進化し、容姿や被毛を変えていった猫種と伝えられております。
その他、短毛種で挙げた「アビシニアン」の突然変異で生まれた、長毛種の「ソマリ」もいます。
ソマリは、初めはアビシニアンの繁殖の過程で生まれてくる「失敗作」のような扱いを受けていましたが、徐々にソマリの長毛種としての魅力が浸透されていくことで「ソマリ」として確立していき、「アビシニアン」ではなく「ソマリ」としての繁殖が開始されたのでした。
このように、偶然とも言える形で誕生した猫種も存在しているのです。
ルーツや特徴を知ることも大切
一見すると長毛の猫達は、進化や交配によって長毛になっていったように感じますが、猫の中でも古い品種で知られる長毛の猫「ペルシャ」は、猫の純血種に非常に近い種類でも知られ、古代の文書にもペルシャのような猫の記述が残されているほど。
このことから、古代からアビシニアンのような短毛種の猫もいれば、ペルシャのような長毛種もいたことが伺えます。
現在は様々な猫種が存在していますが、その猫種によって誕生した場所や生息していた場所、人間によって作り出された種類など、様々な形で誕生してきました。そのため、一言で猫の被毛ケアといっても、猫種によってケア方法も微妙に違うのです。
愛猫の被毛ケアを行なう際は、愛猫の種類だけでなく、その誕生したルーツを知ることも、最適なケアを行なうヒントとなるのです。
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毛球症を引き起こすムダ毛
猫の取る行動で、自分でよく体をなめっている姿を見ることが多いと思いますが、これは「グルーミング」という行動で、被毛についた汚れや臭いを綺麗にしている行動です。
猫がこのグルーミングをすることで、体は綺麗になりますが、グルーミングをすることで一緒に「無駄毛」を飲み込んでしまい、吐き出せないほどに胃の中で増えてしまうと「毛球症」を引き起こしてしまいます。
通常であれば、猫は飲みこんだ毛を吐き出すことが容易に出来るのですが、あまりに飲み込んでしまう量が多いと、こうした病気を引き起こしてしまうのです。
このムダ毛は日頃から飼い主さんがブラッシングをすることで、容易に減らすことが出来ますが、ケアを怠ってしまうとムダ毛も増えてしまい、毛球症を引き起こすリスクを高めてしまうわけです。
毛球症を防ぐ為にもブラッシングを
現在は、こういった胃の中の「ヘアボール(毛玉)」の対策が取られたキャットフードなども存在しますが、猫にとってのグルーミングは本能的な行動ですので、飼い主ができるだけ飲み込んでしまう「抜け毛」を減らす事が、一番の根本的なケアとなりますので、定期的なブラッシングは欠かせません。
日頃からのブラッシングはもちろん、ヘアボールに対応したキャットフードを使うことや、毛球症予防のために猫草を与えることも毛球症のリスクを軽減させます。
また、毛の生え変わる「換毛期」には、短毛・長毛、毛の生え方にかかわらず、たくさんの毛が生え変わるために抜け毛が増えます。春先の換毛期には、普段よりましてブラッシングや被毛のケアを行うようにしましょう。
短毛種・長毛種のそれぞれのお手入れについて
上記に挙げたようなブラッシングは、猫の基本的なお手入れ方法ですが、長毛・短毛の違いによってもお手入れの方法や考え方は違ってきます。
まず挙げるのは、長毛の猫種ですが、長毛の猫は毛量も多いため、皮膚への熱のこもり方や汚れ方も、よりは通気が悪いために「皮膚疾患」を引き起こしやすいです。ですので、短毛種よりもより小まめにブラッシングを行う必要があるのです。
また、寝相や遊び方によっては「毛玉」ができてしまう猫もいます。この毛玉の状態を放置してしまうと、より大きな毛玉となり、簡単に解くのが難しくもなり、皮膚炎の原因にもなりかねません。
ブラッシングを行なうときは表面的な部分だけでなく、しっかりとアンダーコートもブラッシングするようにしましょう。
ファーミネーターもおすすめ
猫の被毛ケアを行なう際には、毎日のブラッシングが大切なケアとなりますが、ごっそりとムダ毛の処理を行う際におすすめなのが「ファーミネーター」と呼ばれる商品です。ご存知のかたも多いかもしれませんね。
ファーミネーターは、季節の変わり目などのムダ毛を一気にかき出す事のできる商品で、ブラッシングのようにブラシを通すだけで、アンダーコートもトップコートもかき集めることが出来るものです。
商品ラインナップも長毛猫用や短毛猫用、幅の大小も選べますので、使いやすいタイプのファーミネーターを選ぶようにしましょう。また、ファーミネーターを利用する際には、かなりの量のムダ毛が取れますので、お風呂場等でブラッシングをした方が良いですよ。
毛の長さは関係ありません
毎日の日課として愛猫のブラッシングをしていると、毛玉ができてしまった場合にも、皮膚が弱くなっている場合でもすぐに発見することが出来るでしょう。そのため、できるだけマメなブラッシングが望まれます。
一方、短毛種の猫は長毛種の猫に比べ、比較的お手入れは簡単かもしれません。毛玉ができる心配もありませんし、基本的なブラッシングで十分に対応出来るかと思います。ただし、抜け毛の量は多めで、短い毛なので洋服などにも刺さるように付着するので、掃除は大変かもしれませんね。
「ラバーブラシ」を利用してブラッシングすると、わりと楽にお手入れが出来るでしょう。長毛種、短毛種、どちらも毛の処理は大変ですが、それぞれお手入れの仕方や問題点は変わってくるのです。
猫の短毛種や長毛種について!【違いとお手入れ方法は?】のまとめ
基本的な猫の被毛に対するお手入れは前述のとおりですが、「短毛」と「長毛」に加えて、被毛の生え方を指す「シングルコート」と「ダブルコート」それぞれによっても、お手入れの仕方が若干変わってきます。
ダブルコートとは、皮膚に近く密集して生えている細い毛の「アンダーコート」と、アンダーコートよりも長くしっかりとした毛の「オーバーコート」の2層で被毛が生えています。これに対しシングルコートは1層で、オーバーコートの被毛になります。
短毛種・長毛種にかかわらず、猫種によってコート(毛の生え方)が違いますので、それぞれの猫種に最適なお手入れ方法が必要になります。
お手入れのしやすい猫もいれば、お手入れが大変な猫もいますが、こればかりは見た目の好みに分かれますよね。短毛だから楽だとか、長毛だから大変というわけではなく、それぞれの毛の生え方によってもケアの方法は変わりますので、その品種のお手入れ方法をよく調べることをお奨めします。
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