日頃、猫が下痢をしたり嘔吐したりする症状が見られないでしょうか。もしかすると、消化器系の病気が関係しているかもしれません。消化器系の病気の、それぞれの特徴や原因を知るようにし、早期発見・早期治療が行えるようにしましょう。

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肥満体型は「膵炎」を招きます


主に高齢の猫に多く見られる「膵炎(すいえん)」。

膵臓が作り出す、本来であればタンパク質や脂肪を分解するために必要な「膵液(すいえき)」が逆流することで、膵臓を消化・炎症させてしまう膵炎は、下痢や嘔吐、脱水といった症状を引き起こしてしまいます。また、膵臓の働きが阻害されてしまうために、糖尿病を引き起こす場合もあります。

症状を放おっておくと、やがてはショック症状もあらわれ、血圧の低下や心停止といった症状も起こりえます。ここまでいくと、膵液が他の器官も消化しはじめ、多臓器不全に陥る事も考えられ、命に関わる事態にもなり得るのです。

膵炎は初期症状がわかりにくいこともあり、気がついてから重篤な症状になっている事も珍しくありません。

高脂肪な餌は膵炎を招く要因に

膵炎を発症してしまう原因については、様々な要因が関係しています。

この膵液が逆流してしまうのは、猫が激しい嘔吐をした場合や異物などが詰まって膵管が詰まってしまった時や、病気が引き金となって膵炎を引き起こす場合、また、日頃の食生活も関係しているようです。

膵炎を予防するには、毎日の食事の管理が非常に重要になります。日頃から、脂肪分の多いような餌は猫の体に悪く、また、消化に悪いような食べ物も与えないほうが良いでしょう。

高脂肪な食事を取り続けた事によって、肥満体型になり、膵炎を引き起こすという事も少なくないようです。高齢猫に多く見られると言うのが、こうした高脂肪な食事が蓄積されていき、膵臓が悲鳴をあげた結果といえるでしょう。

脂肪値の高い餌は、適切な年齢、適切な運動量が必要となります。愛猫の健康状態を把握した上で、適切な餌を選ぶようにしましょう。

病気と併発して「食堂拡張症」を発症する場合も

通常であれば、食べ物を食べた後は食堂へと移動していき、食堂は伸びたり縮んだりといった蠕動運動を行い、胃へと流していきます。この蠕動運動が正常に働かない状態を「食堂アカラシア」と呼びます。

このような正常な働きができず、食堂に溜まってしまい、食堂が大きくなってしまった物を「食堂拡張症」と呼んでいるのです。

食道拡張症の原因には、先天性・後天性の2つのタイプに分けられます。稀に突発性の食堂拡張症も見られる場合がありますが、残念ながらその原因は解明されておりません。

後天性である場合には、何かしらの原因によって慢性的に嘔吐などを繰り返してしまい、食道炎を起こしてしまった場合などに食堂拡張症が引き起こされる場合があります。また、根本となる病気に併発する形で発症することがあります。

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予後は介助が必要になる場合も


食道拡張症を発症すると、未消化の物を吐き出したりしてしまい、その結果、胃へと食べ物などが運ばれないために体重が落ちてしまったり、子猫や成長期の猫であれば、十分な栄養を吸収することができず、発育不良となってしまったりといった悪影響も発生してしまいます。

また、食堂が拡張してしまっているために苦しそうな表情を見せたり、ヨダレが多くなったり、鼻炎や肺炎、呼吸困難といった症状も見られるようになり、「誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)」を引き起こしてしまった場合には、急死してしまう可能性もあります。

発症してしまった場合には、誤嚥性肺炎を予防するため、食事を行う際は「頭が上を向くような姿勢」「猫を立たせた姿勢」で食事で与える必要があります。1回の食事量も少なくすることも必要ですので、1日数回に分けての食事が求められます。

そして食後に関しても、食堂から胃へとスムーズに送られるのをサポートするためなどの、介助が必要になるでしょう。

発見が遅れがちな「肝炎」

初期症状だけでは非常に発見しにくいと言われる「肝炎」。その症状には、次第に病状が悪化していくことで元気がなくなってきたり、食欲が低下したりしてきます。また、下痢や嘔吐といった症状も現れ始めるでしょう。

肝炎には急性のものと慢性のものがあり、急性の肝炎では黄疸や尿の色が濃くなったり、腹水も発症する場合があるでしょう。こういった悪化していく症状は、やがて肝臓の病気としては末期症状となる「肝硬変」へと向かっていきます。

一言で肝炎と言っても、ウイルス・細菌が原因となる「肉芽腫性肝炎」や、肝臓内に細菌が感染してしまう「化膿性肝炎」など、実は様々な肝臓の病気があります。しかし、いずれの症状も初期の段階や軽度の状態では、病気が把握しにくいために、ほとんどが無症状であったり、気が付かない場合が多いのです。

消化器に配慮したフードも

肝炎を始めとした肝臓の病気にならないためには、何よりも食事の管理が重要になるでしょう。体にとって重要な役割を果たす肝臓へ、効率よくバランスの取れた栄養を提供する必要があるため、毎日の食事には細心の注意を払いましょう。

万が一、消化器に問題が起きてしまった場合には、消化器系に配慮したキャットフードも販売されています。動物病院で取り扱っている商品ですので、市販で買うことは出来ませんが、健康診断も兼ねてしっかりと消化器に配慮させるようにしましょう。

そして、なにより、細菌感染などの病気を発症して肝炎にならないように、必要不可欠なワクチンは摂取するようにしましょう。それだけで感染のリスクは減らせますので、検査も受けつつ、こうした予防策を取るようにしましょう。

「胃捻転」と「胃拡張」

胃にガスや食べ物で膨れ上がっている状態を「胃拡張(いかくちょう)」といいます。さらに、この状態で胃がねじれてしまう状態を「胃捻転(いねんてん)」と呼ぶのですが、胃捻転や胃拡張の症状がひどい場合には、命に関わる場合がある、非常に危険な症状です。

胃捻転や胃拡張は、実際のところ犬に比べて猫が発症する頻度は少ないとかんがえられていますが、絶対に発症しないわけではありません。胃捻転や胃拡張が起きてしまうと、あっという間に体調を崩してしまい、最悪の事態に発展してしまう可能性が高いです。

万が一のためにも、兆候が見られた時にすぐに対応できるように知識を備えておきましょう。また、日頃から念の為すぐに動物病院に駆け込めるような用意、夜間病院の確認などもしておきましょう。

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胃の壊死や心筋虚血も引き起こす

胃拡張の症状は、お腹が膨れてくることに加え、ゲップが増えたり息が荒くなり、よだれを垂らすといった症状が見られるようになります。

そして、胃拡張の症状が見られた後には、今度は腸が胃を締め付けるようにねじれる胃捻転の症状に変わっていきます。胃がねじれてしまうことで、血管や胃の中が圧迫・滞留していき、やがて周辺の臓器にも影響を起こしはじめます。

悪いことに、胃がねじれてしまうことで、胃の中では更に発酵が進んでしまいます。そして、胃拡張の症状はさらに悪化していき、ますます臓器を圧迫し続けていきます。

こうなってしまうと胃には十分な血液が行き渡らなくなってしまい、やがて胃が壊死、心筋虚血をおこし、命を落とす結果となるのです。

食後2〜3時間は安静に


胃拡張と胃捻転、これらの症状を発症する原因については、明確な答えがありません。これは猫にも犬にも言える事ですが、一般的には食後すぐに運動したり、食後に激しく暴れたことによって引き起こされるといった原因が関係していると考えられています。

また「お腹を開けるような手術をした後」や「事故などの原因によって胃の位置がずれてしまっている場合」、「胃炎などの胃の病気が引き起こす場合」など、様々な要因も考えられるのです。

胃捻転や胃拡張は1分1秒を争う危険な症状です。食後はしばらくは落ち着いた状態を取れるようにし、同居猫などがいる場合には、特に気を付けるようにしましょう。

猫が消化する時間は、おおよそ2〜3時間と考えられており、全てを消化するまでには12時間ほどの時間を要します。最低限、食後3時間ほどはのんびりと消化に集中させることが、事故を未然に防ぐ事に繋がるでしょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。猫の消化器系の病気はたくさんありますが、今回取り上げた病気などは、何かしらの対策をこうじることでも予防することが出来ます。
こうした病気を引き起こさないよう、元となる病気などにならないよう、日頃から健康的な生活と、健康的な食事・食事管理が重要になります。

極端な食生活は、肥満や病気を引き起こしてしまいます。キャットフードの1日量で、猫の食事はある程度、バランスの取れたものとなります。間食や、人間の食べるものを与えたりしないよう、病気にならないような食生活を送らせるようにしましょう。

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