進行性網膜萎縮は、徐々に視力が落ちて、やがては失明してしまうという目の病気です。ほとんどが後天的に発症することが多いと言われていますが、今回はあなたの愛猫も他人事ではない「進行性網膜萎縮」について、症状や治療法、対策などを調べてみましょう。
進行性網膜萎縮とは
進行性網膜萎縮とは、網膜が変性してしまうことで、視覚障害を引き起こし、徐々に視力が落ちて、最終的には失明して完全に目が見えなくなるという目の病気です。
犬の場合では、遺伝的に発症することが多いのに対し、猫の場合のほとんどが、後天的に発症することが多いと言われています。稀ではありますが、猫が遺伝的に進行性網膜萎縮を発症する場合は、1歳未満で発症し、2歳から4歳にかけて完全に失明してしまうようことが多いようです。
残念ながら、1度網膜が変性してしまうと治療することが難しく、発症した場合は最終的に失明してしまいます。しかし、少しでも症状を遅らせることはできるようなので、飼い主さんの早期発見が重要なカギとなるでしょう。
進行性網膜縮の症状
進行性網膜萎縮の症状は、初期の段階では、暗いところで目が見えにくくなるため、部屋が暗いと、あまり活動的ではなくなります。今まで元気にソファやキャットタワーに飛び乗っていたのに、動作が遅くなることもあるでしょう。この他、物につまずくなどの視覚障害や、真っ直ぐ歩けなくなるなどの歩行障害があります。
この症状は段々と進行して、最終的には明るい場所や日中でも目が見えなくなるため、不安そうにヒゲや眉毛を使って居場所を確認しながら、壁や家具づたいに歩くようなります。また、急に触ると驚いたり、怯えるような様子も見られます。その他に、明るい場所でも瞳孔が開きっぱなしになるのも、進行性網膜萎縮の特徴と言えます。
視力は突然無くなるのではなく、徐々に悪化するのですが、目が見えなくても耳や鼻、ヒゲに頼るようになるなど、愛猫自体が見えなくなることに順応していきます。また、幸いにも、身体に痛みなどの苦痛を伴うことがないので、飼い主さんもなかなか気付かないことが多いようですが、二次的に「緑内障」を併発することもありますので、日頃の愛猫の健康管理を怠らないことが大切です。
進行性網膜萎縮の原因とは
進行性網膜萎縮を発症する原因は、先天性の場合は遺伝で発症し、好発猫種に「アビシニアン」と「ペルシャ」「シャム」が報告に挙げられています。
後天性の場合は、必須アミノ酸である「タウリン」が不足することにより発症することが多いようです。今のキャットフードには、十分なタウリンが含まれていますが、例えば、タウリンが少ないドッグフードのようなものを長期に渡って食べさせることが原因となります。
また、緑内障や網膜炎などの目の病気から発症したり、腎不全による全身性高血圧や、他の病気で長年薬剤を投与してきたことから併発することもあります。
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進行性網膜萎縮の治療について
先述しましたが、残念ながら、一度変性してしまった網膜を治すことはできないため、進行性網膜萎縮に対する治療薬や手術などはありません。先天性の場合は、徐々に進行して、若くして失明してしまうことがあります。
後天性の場合で、タウリン不足により発症した時は、良質なキャットフードを与えることで、進行を遅らせることはできるようです。既存の病気により発症した場合は、その病気を治療することで、進行を抑えられることができますが、いずれの場合でも、一度失った視力を回復させることはできません。
進行性網膜萎縮の予防
この病気は発症していても、気付かれないことが多いため、愛猫が普段の様子と違うことはないか、それを見落とさないようにすること、そして、病院で定期的な健康診断を受診することで、早期発見に繋がり、この病気の進行を遅らせることができるでしょう。
また、犬と猫の多頭飼いをしている家庭では、犬が猫のご飯を食べて、猫が犬のご飯を食べるというのをよく耳にします。これは、犬にとっても猫にとっても、必要な栄養分を摂ることができないのでお勧めできません。現に、猫の場合はこのようにしてタウリン不足に陥ってしまうのです。
実際、タウリン不足による病気は、進行性網膜萎縮だけではありません。タウリン不足が原因で、「拡張型心筋症」という心臓の病気を引き起こしてしまうことがあるのです。そのため、愛猫には良質なキャットフードを与えることが大切です。
進行性網膜萎縮を発症した時の対策
愛猫が進行性網膜萎縮と診断されたら、愛猫がなるべく不安やストレスを抱えず、普段通りの生活が送れるように、飼い主さんが気を付けてあげる必要があります。
例えば、愛猫が部屋の中で迷ったりしないように、トイレや水飲み場を変えたり、家具の配置換えをしないことが大切です。また、愛猫が物にぶつかったりしないよう、床に物をあまり置かないようにしましょう。愛猫を留守番させる際は、室内にストーブなど危ないものがある場合は、愛猫をケージに入れておく必要があるでしょう。
このような工夫次第で、愛猫も比較的不安やストレスを抱えずに生活できるのかもしれません。人間にとって「失明」するということは大変なことですが、猫にとっては、視力よりも聴覚が大切だと考えられています。全く支障がないとは言いませんが、人間ほど執着するものでもないかもしれませんね。大切なことは、飼い主さんが愛猫の傍で代わりに目となって、愛猫を見守ってあげることでしょう。
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