安価なキャットフードに記載される原材料。そのキャットフードがなぜそんなにも安価なのか、なぜ高いフードが存在するのか。それは、原材料となる肉が「4Dミート」である可能性が高いためです。今回は4Dミートについて解説していきます。
原材料表記を確認してみましょう
キャットフードの原材料には様々な材料が使用されています。「チキン」といった表記や「サーモン」といった表記であればわかりやすいものですが、「家禽ミール」や「ミートミール」といった表記はどうでしょうか。
今一度、現在与えているキャットフードの原材料表記を確認してみていただきたいのですが、家禽ミールやミートミールという原材料があれば、ぜひ一度しっかりと考えてみていただきたい問題があります。
肉にもランクが存在します
ミートミール等、これらの原材料に関して、まず知っておいてほしいのが肉のランクを表している「4Dミート」というもの。
専門業者はともかく、普段であれば使うことのないこの肉のランクですが、アメリカでは肉にランクを付けて良質な肉であるか・粗悪な肉であるかを判断しています。
簡単に説明すると、ランクは1ランク〜9ランクまでに別れており、最高ランクとなるのが1ランク(Primeと呼ばれます)、霜降り等の最高級ランクに相当します。一方で、7ランク以下の肉は人間が食べる肉のランクではありません。
そして最低ランクとなる、9ランクの肉は「4Dミート」と呼ばれる肉で、廃棄処分にあたる肉のランクとなります。
残骸を利用した4Dミートの実態
食肉は上記でも説明したとおり、9つのランクに分けられますが、ここからさらにランク分けがなされるため、スーパーなどに並べられるのはランク4あたりがほとんどです。ランク5はホットドッグ用の肉であったり、加工されることを前提とした肉になっています。
食肉用として利用されるランク6は、缶詰用に利用されるような加工用の食肉となっていますが、それでも人間用として利用される食肉としては最下級ランクの食肉と言えます。
ランク8、ランク9の4Dミートに関しては非常にショッキングな写真もネット上でリークされていますが、写真をみると本当に残骸の状態が映し出されているので、まさかこれを利用しているとは誰も思わないでしょう。
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レンダリングによって作られる「副産物」
食用としての肉を除かれた、残りの部分は「レンダリング」と呼ばれる技術によって「油脂」として生まれ変わります。レンダリングとは、熱を加えて脂肪を溶かし、油脂へと変える技術のことです。
こうして油脂として変わった物はラードや石鹸の原料になります。油脂が作られた後には「絞りかす」が出ますが、これが「肉粉」や「肉副産物」と呼ばれるもので、安価なペットフードなどにも利用されるものです。
これはもちろん、食用としての肉が除かれた状態であるため、骨や内臓も一緒に加工されたものです。一部のメーカーの説明では、骨なども含まれるのでカルシウムも豊富と聞かされたことがありますが、そもそも、成分の分析もできないような状態であるため、栄養豊富とは程遠いものであります。
風味付けで使われる油脂
主に安価なキャットフードでは、レンダリングで加工された油脂をキャットフードに吹き付けることで味付けを行います。キャットフードを加工する段階で、風味や味付けを行っていきますが、これに使われるのが油脂です。
因みに、レンダリングの際に行われる熱処理(油脂と固形物を分けるため)の加熱温度は130℃。熱処理によってビタミンも何もかも失われていることでしょう。
参考:日本畜産副産物協会(http://www.jlba.or.jp/con08_3.html)
レンダリングによって不要な肉が発生しなくて済む事は、非常に良い技術ではあります。しかしながら、こうした原料をペットフードに利用する事は、愛猫の健康維持を考えた時に疑問が残るところです。
4Dミートの「4D」とは?
最低ランクとなる4Dミート。この「4D」の意味ですが、肉の状態の頭文字から取られた呼び名です。
・Dead(死んだ動物の肉)
・Dying(死にかけの動物の肉)
・Diseased(病気の動物の肉)
・Disabled(障害を持つ動物の肉)
以上、4つの頭文字から4Dと呼ばれています。つまり、4Dミートはこの4つの状態の肉を原料としている肉で、「9ランク=4Dミート」は食用の肉としては利用することが出来ないものです。
因みに8ランクの肉は「3Dミート」と呼ばれ、「Disabled(障害を持つ動物の肉)」を除く3つの肉を原料としている肉を指します。こちらも同じく食用としては不適格となります。
一部では、ショッキングな事件も
7ランク以下の肉は人間用の食肉としては使用できないものとなるため、廃棄処分の対象となるわけですが、当然、廃棄を行うにもコストは発生してしまいます。そこで、一部の業者が行っているのがペットフードとしての肉の再利用です。
非常にショッキングな内容ですが、4Dミートの中には、路上で事故にあって轢かれた犬や猫、安楽死させられた犬や猫の肉も含まれていた事が判明しています。これらの話はアメリカだけの話ではなく、日本国内でも同様の事件が判明したこともあるのです。
もちろん、これは一部の話ではあるので、全ての工場が同じことを行っているわけではありません。そしてこうした事件を受け、より食肉加工現場に対しての見方も厳しくなりつつあるので、こうした業者が減っていくことを願うばかりです。
4Dミート以外にも不要な原材料
キャットフードを構成する原材料では、4Dミートに限らず、不安の残る原材料も利用されています。例えば「ビートパルプ」では、「甜菜(てんさい)」と呼ばれる砂糖大根を絞ったものがビードパルプと呼ばれますが、このビートパルプに関しても、要は残りカスを搾り取ったものになるため、栄養価としてはほぼ無いと思って良いでしょう。
また、ビートパルプは「不溶性」の繊維質を含むため、消化能力も弱く繊維質を多く必要としない猫にとっては消化しにくい原材料と言えます。
この他、穀物類に関しても猫は多くを必要としません。ビートパルプ同様、キャットフードに含まれる場合には、「腹持ち」はするものの「消化しにくい」素材であるため、肥満や消化不良を引き起こす要因となる場合もあるのです。
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フードメーカーの原材料を比較
では実際に、キャットフードの原材料について見ていきましょう。
異なるメーカー4社のキャットフードで利用される原材料を記載してみました。また、価格帯としてはA社からD社に向かうほどプレミアムフードになっています。
【A社(800gで定価900円ほど)】
穀類(とうもろこし、中白糠、コーングルテンミール、小麦粉、ホミニーフィード)、肉類(ミートミール、チキンミール)、魚介類(フィッシュミール、フィッシュパウダー、かつお節、いりこ、かにかまチップ)、動物性油脂、大豆ミール、オリゴ糖、野菜類(キャベツパウダー、にんじんパウダー、ほうれん草パウダー、かぼちゃパウダー)、ミネラル類(カルシウム、リン、カリウム、ナトリウム、塩素、鉄、銅、マンガン、亜鉛、ヨウ素)、ビタミン類(A、D、E、K、B1、B2、B6、パントテン酸、ナイアシン、葉酸、コリン)、アミノ酸類(メチオニン、タウリン)、食用黄色5号、食用赤色3号、食用黄色4号、食用青色1号、食用赤色102号、紅麹色素、酸化防止剤(ローズマリー抽出物)
【B社(1.5kgで900円ほど)】
肉類(チキンミール、チキンエキス、家禽ミール)、とうもろこし、植物性タンパク、大麦、油脂類(鶏脂)、家禽類、食物繊維(ビートパルプ、オリゴ糖)、ユッカ、ビタミン類(A、B1、B2、B6、B12、C、D3、E、コリン、ナイアシン、葉酸)、ミネラル類(亜鉛、カリウム、クロライド、鉄、銅、ナトリウム、ヨウ素、リン)、アミノ酸類(タウリン、メチオニン)、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物、クエン酸、BHA、BHT)
【C社(1.8kgで1,400円ほど】
トリ肉(チキン、ターキー)、トウモロコシ、米、コーングルテン、セルロース、チキンエキス、動物性油脂、植物性油脂、小麦、ミネラル類(カルシウム、ナトリウム、カリウム、クロライド、銅、鉄、マンガン、セレン、亜鉛、イオウ、ヨウ素)、ビタミン類(A、B1、B2、B6、B12、C、D3、E、ベータカロテン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸、ビオチン、コリン)、アミノ酸類(タウリン、メチオニン)、カルニチン、酸化防止剤(ミックストコフェロール、ローズマリー抽出物、緑茶抽出物)
【D社(340gで1,500円ほど)】
新鮮鶏肉, 新鮮七面鳥肉, 新鮮イエローテイルカレイ, 新鮮全卵, 新鮮丸ごと大西洋サバ, 新鮮鶏レバー, 新鮮七面鳥レバー, 新鮮丸ごと大西洋ニシン, 新鮮鶏心臓, 新鮮七面鳥心臓, ディハイドレート鶏肉, ディハイドレート七面鳥肉, ディハイドレート丸ごとサバ, ディハイドレート鶏レバー, ディハイドレート七面鳥レバー, 丸ごとグリーンピース, 丸ごとシロインゲン豆, 赤レンズ豆, 新鮮チキンネック, 新鮮鶏腎臓, 鶏肉脂肪, ピント豆, ヒヨコ豆, グリーンレンズ豆天然鶏肉風味, レンズ豆繊維, ニシン油, 粉砕鶏骨, 鶏軟骨, 七面鳥軟骨, ドライケルプ,フリーズドライ 鶏レバー, フリーズドライ七面鳥レバー, 新鮮丸ごとカボチャ, 新鮮丸ごとバターナッツスクワッシュ, 新鮮ケール,新鮮ホウレン草, 新鮮カラシ菜, 新鮮コラードグリーン, 新鮮カブラ菜, 新鮮丸ごとニンジン, 新鮮丸ごとリンゴ, 新鮮丸ごと梨, カボチャの種, ヒマワリの種, 塩化コリン, 亜鉛タンパク化合物,銅タンパク化合物, ミックストコフェロール(天然酸化防止剤), チコリー根, ターメリック, サルサ根, アルテア根, ローズヒップ, ジュニパーベリー, 乾燥 ラクトバチルスアシドフィルス菌発酵生成物, 乾燥 プロバイオティクス発酵生成物, 乾燥 ラクトバチルスカゼイ発酵生成物.
D社に関しては、正直他のプレミアムフードからも抜きん出て高級なキャットフードで知られますが、原材料の内容としては「ヒューマングレード」で作られているだけあり、人間でも食べられそうな内容となっていることがわかるかと思います。
価格が高ければ高いほどに4Dミートや無駄な合成添加物なども利用していないことがわかりますが、C社のキャットフードに関してはそこまで良い内容とは言えません。とはいえ、第一主原料に肉類を利用している点は、プレミアムフードであると言えるでしょう。
フードの原材料表記は必ず確認しましょう
以上で紹介したとおり、キャットフードの原材料表記を確認すれば、「肉」なのか「ミート類」なのかがはっきりと分かります。また穀物類の含有量も確認しましょう。穀物類が多いキャットフードは、内容のかさ増しとも取れる内容です。
猫は主に動物性蛋白質を必要としますので、穀物類は多くは必要としないということを覚えておきましょう。
また、合成添加物の確認もするようにしましょう。A社、B社に関しては思い切り合成添加物が含まれますので、出来れば避けたいところ。合成添加物には酸化防止剤の他、保存料や着色料が挙げられます。
これらの合成添加物には発がん性やアレルギーを引き起こす要因になるとの指摘もあるので、4Dミート同様、十分に注意する必要があるのです。
さいごに
4Dミートがこのように食用としては利用できず、非常に安価な価格で流通しているということを知っておきましょう。キャットフードにも高価な商品も存在し、それらの製品の原材料表記には「チキン」や「骨なし鶏肉」等の表記がされているのに対し、安価なキャットフードの原材料には前述の通り、「家禽ミール」や「ミートミール」と言った原材料が使われています。
家禽ミールやミートミールが必ず4Dミートであるということは、正直なところわかりません。しかしながら、何が混ぜられているのかわからないのが、これらの製造方法であり、4Dミートである事を疑わざるをえない理由にあります。
決して断言はできませんが、できるだけ愛猫の健康に気を使っているのであれば、どんな食材を利用しているのかという事をしっかりと理解しておくようにするべきではないでしょうか。
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