最近、愛猫の口臭がひどいと感じたことはないですか?愛猫の目の下のほっぺの部分が腫れているように感じたことはないですか?今回は、あなたの愛猫も他人事ではない、「歯根膿瘍」について症状や治療法、予防や対策などを調べてみましょう。

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歯根膿瘍とは

「歯根膿瘍(しこんのうよう)」とは、歯の根元部分にあたる歯根部分に炎症が生じて、そこに膿が溜まってしまう状態を言います。

猫の歯は、表面に出ている「歯冠部」と、歯茎の中に埋まっている「歯根部」からできています。通常は、歯冠部を覆っているエナメル質が歯冠部を保護しているため、歯根部まで炎症が生じることはありませんが、歯や歯茎に傷が付くと、そこから病原菌が入り込み、歯の根元部分にある歯根部で炎症を引き起こしてしまうのです。

「根尖膿瘍(こんせんのうよう)」、「根尖周囲膿瘍(こんせんしゅういのうよう)」、「歯根周囲病巣(しこんしゅういびょうそう)」とも呼ばれています。
歯根膿瘍は、比較的老猫が発症することが多いようです。

歯根膿瘍の症状

歯根膿瘍の症状は、空腹のはずなのにご飯を食べることを嫌がったり、固い物を食べなくなったり、噛む時にどちらか片方の歯で噛むようになるなど、まず食事での異変が現れるようになります。

症状が進行すると、目の下(頬の内側の部分)に膿が溜まることで、その部分が腫れてきたり、口臭が強くなり、痛みも伴うため元気が無くなり、最悪の場合、目の下(頬の部分)の表面を突き破って膿が出てくることもあります。

さらには、歯根に隣接する歯茎や歯槽骨にまで膿瘍が広がる「歯槽膿漏」や、骨の骨髄まで膿瘍が広がる「歯槽骨髄炎」、骨と皮膚の間まで膿瘍が溜まる「皮下膿瘍」を発症することもあります。

歯根膿瘍の原因

硬い物が歯の表面に強く当たってしまったり、硬い物を噛んだことで歯にヒビが入ったり、歯が欠けてしまい、そこから病原菌が侵入して、歯根膿瘍の原因となります。

その他にも、電気コードを囓ることで起きてしまった火傷や歯牙骨折、愛猫のストレスなどでケージをガジガジ噛むことによって歯に傷が付き、歯根膿瘍になることもあります。また、過度の歯石沈着から虫歯や歯周病を引き起こし、これが歯根膿瘍を発症することもあります。

歯周病とは

歯垢や歯石を放置したり、歯茎に傷が付くことによって、歯の表面で細菌や毒素を産生し、歯茎や骨までも炎症を起こしてしまう歯の病気です。
歯周病が悪化すると、鼻腔にまでも影響を及ぼし、「歯根部」の感染がより奥の方まで拡がった結果、鼻腔に穴を開けてしまい、呼吸器系の症状が現れます。物を噛むのを痛がったり、片方でばかり噛んでいた様子が見られた後に、くしゃみ・鼻水の症状が見られます。

更に歯周病が進行していくと、炎症は目の下部あたりにまで進み、目の下辺りの皮膚に穴が空いてしまい、そこから膿が出てくる「歯根膿瘍」または、「根尖膿瘍(こんせんのうよう)」と呼ばれる症状を発症します。これは、目の下(頬の部分)に膿が溜まっていき、破裂してしまうものです。特に奥歯の歯周病で引き起こされる場合が多いようです。

また、歯周病は骨までも蝕み、「歯槽骨」と呼ばれる下顎を支える土台の役割をしている骨までも影響を与えはじめ、これによって下顎の骨は徐々に弱っていき、骨折を伴う事態へと陥ります。
さらには、骨を溶かし、歯周病の原因菌が全身へと感染してしまうことで、肺炎や心臓病といった重大な病気を引き起こす場合もあるため、たかが歯周病と決して侮れない怖い病気なのです。

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歯根膿瘍の治療

【外科的治療】
歯根膿瘍は、一度発症してしまうと、膿瘍の原因となるものを取り除かなければ再発してしまうため、外科的手術を行うことが一般的です。歯根部に溜まっている膿を除去して洗浄をします。症状が酷く歯根部が破壊されている場合は、炎症が起きている歯根周辺組織の歯を抜きます。

【内科的治療】
外科的手術を行わない場合は、病原菌の感染を防ぐため、抗生物質の投薬が行われます。一時的に炎症は治まりますが、また再発を繰り返すことが多いようです。また、手術前後4日間は鎮静剤が投与されます。

歯根膿瘍の予防と対策

愛猫の歯が欠けることで、そこから病原菌の侵入を防ぐためにも、硬いおもちゃや硬い食べ物を与えることは避けた方が良いでしょう。

愛猫が歯根膿瘍にならないためには、定期的な歯磨きをすることが大切です。初めは、歯ブラシに抵抗を感じて、なかなか歯磨きをさせてくれない子も多いと思いますので、いきなり歯ブラシを愛猫の口に入れるのではなく、飼い主さんの指にガーゼを巻いて、優しく声を掛けながら愛猫の歯を徐々に触るようにします。慣れてきたら歯を優しく擦ってみましょう。

どうしても歯磨きを嫌がる子は、ビーフ風味やチキン風味のペースト状の歯磨き粉が販売されていますので、それを舐めさせながら歯磨きをする方法もあります。肝心なことは、愛猫が嫌がるからと言って、歯磨きを途中で諦めることはやめましょうね。愛猫の口の中を常に清潔に保ち、病原菌の繁殖を抑えることが、歯根膿瘍の予防や再発防止に繋がります。

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