動物保護施設から発見された、一匹の巻き毛の雑種猫。この巻き毛の猫こそが、巻き毛が印象的な猫「セルカークレックス」の起源となる猫だったのです。今回はこのセルカークレックスの誕生と特徴について解説していきたいと思います。

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シェルターで発見された一匹の雑種猫

近年では猫の殺処分の問題や、飼育放棄の問題が多い日本ですが、アメリカもまた例外ではありません。実は今回ご紹介する「セルカークレックス」もまた、動物保護施設で発見された猫として知られる品種なのです。アメリカではこうした施設を「シェルター」と呼んでいます。

アメリカでは国の規模も大きいことから、日本よりも遥かに多い数の動物が殺処分の対象となっていますが、こうしたシェルターの数も、日本に比べると圧倒的に多い、5,000箇所以上が存在しているのです。

セルカークレックスの起源となる猫は、その中の一つ、モンタナ州の動物保護施設に収容されていた一匹の雑種猫でした。この時、後に新品種となる猫の始まりだとは思いもしなかったことでしょう。

里親から始まったセルカークレックスの歴史


1987年に女性が引き取った一匹の雑種猫は、被毛とヒゲがカールしており、ブルークリーム&ホワイトの被毛を持つ巻き毛の猫で、後にこの女性は、この雑種の猫をペルシャのブリーダー、ジェリーニューマン氏に譲渡することとなります。

こうして雑種猫を女性から譲渡され、里親となったジェリー氏は、1988年に黒いペルシャのオスとこの雑種猫を交配させ、6匹の子猫を産ませる事に成功しました。

しかし驚くことに、生まれた6匹の子猫のうち、3匹はペルシャ同様の直毛の子猫でしたが、残りの3匹は雑種猫と同じ巻き毛の猫だったのです。

その後はこの巻き毛の猫を残していこうと、様々なブリーダーも参加し、「ヒマラヤン」や「エキゾチック」「ブリティッシュ・ショートヘアー」といった猫とも交配させていくことで、現在のセルカークレックスの形を作り上げていきました。

セルカークレックスの誕生

「セルカークレックス」と名付けられたこの品種は、起源となった雑種猫が収容されていた動物保護施設の近くにある「セルカーク山脈」にちなんで名付けられ、デボン・レックス等にも付けられる「レックス」の呼称は、突然変異で生まれた縮れ毛のうさぎ「アストレックス・ラビット」から取られています。

新品種となるセルカークレックスは、1992年にTICAに新品種として公認され、その後の2000年にはCFAにも認定されることとなります。動物保護施設に収容されていた一匹の猫が、こうして新品種の猫の原型になるとは、誰も思わなかったでしょうね。

一歩タイミングが違えば、もしかするとセルカークレックスは存在していなかったかもしれません。

セルカークレックスの自慢の「巻き毛」

セルカークレックスの特徴は、何と言ってもその被毛です。セルカークレックスは短毛種ですが、巻き毛のおかげでボリューム感のある被毛をしています。特に巻き毛の特徴が強いのが首周りと尻尾。この2箇所は特に巻き毛の特徴が顕著に見られる箇所でもあります。

短頭種であるセルカークレックスですが、実は起源となる雑種猫はロングヘアの遺伝子を持っていたため、セミロングやロングヘアのセルカークレックスも存在します。

特徴的なセルカークレックスの巻き毛ですが、完全な巻き毛の状態になるまでには少し時間がかかります。子猫のセルカークレックスは、すでに巻き毛の状態で生まれてきますが、生後半年ほどになると一度、この巻き毛も抜け落ちていきます。

7ヶ月〜8ヶ月頃になると、また徐々に被毛は伸びていきますが、完全なセルカークレックスの巻き毛が完成するまでには、おおよそ2歳くらいまでの時間を要するのです。

「巻き毛」は手入れも大事です

セルカークレックスの特徴とも言える、モコモコとした毛になるまでには、このように2年近くの時間がかかりますが、完全に被毛が整う2歳頃には、被毛も結構なボリュームになるために、適度な被毛のケアが必要となります。

特に夏場などは熱がこもりやすく、また、抜け毛も多いために、ブラッシングは欠かせないものとなります。成長と共にモコモコとしていくので、飼い主さんも少しずつセルカークレックスの被毛のケアに慣れていくようにしましょう。

一見すると巻き毛で手入れもそんなに必要ないように思われますが、実はこのように抜け毛のお手入れや、ブラッシングが大事な猫種です。セルカークレックスの被毛は、常にきれいな状態を保たなければいけないのです。

甘えん坊なセルカークレックスの性格

セルカークレックスの性格は、いたって温厚で人懐っこい性格を持っています。ペルシャの血が流れているので、のんびりとした性格の子が多いのもうなずけますね。

そして、非常に甘えん坊な性格の子が多いのもセルカークレックスの特徴です。その性格と、特徴的な巻き毛の容姿から「羊」と例えられたり、「テディベア」と例えられたりもします。

一方で、前述の通り抜け毛の多い品種でもありますので、こまめにブラッシングを行っていないと、甘えて寄ってきた時に抜け毛がたくさん付いてしまいます1日1回はブラッシングを行うようにすることで、セルカークレックスとのコミュニケーションもとれ、病気の予防にもなります。

しっかりと遊んであげ、しっかりと被毛のケアも行うなどしてセルカークレックスとの時間を作ることで、甘えん坊の性格を持つセルカークレックスの気持ちも満足することでしょう。

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セルカークレックスはどのくらいの大きさ?

セルカークレックスの大きさは、おおよそ3kg〜7kgほど。ボディタイプは「セミフォーリンタイプ」で、同じくセミフォーリンタイプの猫種には「アメリカンカール」や「エジプシャンマウ」、そしてレックス三種のなかのひとつ「デボンレックス」等が挙げられます。

まだまだ新品種のセルカークレックスは、遺伝子プールを広げるためにも別品種との交配が認められています。中には〜7kgのサイズの「ブリティッシュショートヘア」との交配も行われていますので、やや大きめのセルカークレックスも誕生するかもしれません。

また、被毛の長さも様々で、ショートからロングまでが存在しており、いずれの毛の長さでも、セルカークレックスの特徴である巻き毛を持ちます。

セルカークレックス気を付けたい病気

セルカークレックスの気を付けておきたい病気は、特筆すべき病気もなく、比較的丈夫な猫種と言われています。純血種にありがちな先天的な疾患や、好発する病気ですが、セルカークレックスに関してはルーツとなっているのが雑種猫。

雑種猫は、純血種の猫よりも体も丈夫で、好発する病気も少ないと言われますが、セルカークレックスに関しても同じことが言えるのです。ただし、前述の通り、セルカークレックスは遺伝子プールを広げるためにも、別品種との交配が行われており、指定されている別品種の血統が入ることで、好発する病気も受け継ぐ可能性は否めません。

また、いくら丈夫なセルカークレックスといえど、基本的には普通の猫。猫に多く見られる病気や、シニア期に入ってから好発する病気などに気をつける必要はあります。年に1度の健康診断など、健康管理には気を付けていきましょう。

セルカークレックスの値段はいくらくらい?


セルカークレックスはやや珍しい猫種で、ペットショップでも見かける機会は少なめでしょう。そのため、セルカークレックスを迎え入れる際には、ブリーダーからの直販という形が一般的と言えるでしょう。

セルカークレックスのブリーダーに関しては、関東・関西圏にやや集中しているものの、全くいないわけではありませんので、ブリーダーを探すのも容易かと思います。

セルカークレックスの相場の値段は、おおよそ15万円前後ほど。高い個体ですと30万円近い個体もいますが、血統や毛色によっても相場の価格が変わってくるでしょう。特に、セルカークレックスは非常に多くの毛色が認められている猫種ですので、好みの毛色を探すとなると大変かもしれませんね。

まとめ

セルカークレックスは被毛のケアが大事な猫ですが、自慢の巻き毛を維持するためにも、セルカークレックスを飼育する際には、こうした被毛のケアは基本のものとなります。

また比較的、病気になりにくい丈夫な品種とも言われますが、ペルシャ等の血も入っているため、腎不全や心筋症などを遺伝する事も否めません。毎日の被毛のケアと、健康的な食生活を送るように気をつけましょう。

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