老犬なると、色々な病気にかかりやすくなり、発見が遅れると命取りになることもあります。愛犬の病気の早期発見に繋げるためにも、病気に対する正しい知識を身に付けることが肝心です。そこで、今回は老犬がかかりやすい病気を幾つかあげてみましょう。

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年を取るということ

「年を取る」と、若い頃に比べると免疫が落ちて、病気にもかかりやすくなったり、病気もなかなか完治しなくなります。
「年を取って」運動量が減少することで、エネルギーの消費量も減り、今までと変わらない食事を摂っていれば肥満になることもあります。
「年を取った」ことで、甲状腺ホルモンの非活性化などにより、ホルモンの病気になることもあります。

愛犬が「年を取る」と言うことは、必然的に様々な病気と向き合っていかなければいけないということです。
あとで「知っておけば良かった」と後悔することがないよう、愛犬がかかりやすい病気を事前に知っておき、普段からスキンシップを兼ねた健康チェックをして、万が一病気が見つかった場合でも早めに処置ができるように備えましょう。

では具体的に、年を取ることでどのような病気が起こり得るか、病気と症状について見ていきましょう。

心臓病

【僧帽弁閉鎖不全症】
「僧帽弁」とは、心臓の中にある血液の逆流を防ぐ働きをする「弁」のことで、この弁の機能が低下することにより、心臓に流れている血液が逆流してしまい、僧帽弁閉鎖不全症を発症します。
運動時や興奮時に咳が出たり、疲れたり、運動をしたがらないなどの症状があり、病気が悪化すると、左心不全による肺水腫を引き起こし、呼吸困難になることもあります。

関節炎

【股関節形成不全】
股関節が正常に形成されなかったり、変形されることで、歩き方に支障をきたす病気です。
肥満体型は股関節形成不全を引き起こすきっかけとなってしまいますので、肥満にならないように、食事の管理には注意が必要です。

【膝蓋骨脱臼】
この病気は、後ろ足の膝蓋骨(膝のお皿)が正常な場所から、内側か外側にずれてしまう(脱臼する)状態になる病気です。
最初のうちは気付かない場合も多く、放置していると、どんどん悪化していきます。愛犬が散歩中スキップしたり、足を上げて歩くような素振りを見せた場合は危険信号です。
膝蓋骨脱臼を予防するためには、まず膝に負担をかけないことです。フローリングなどの硬く滑る床には、カーペットやラグを敷きましょう。

【椎間板ヘルニア】
ミニチュアダックスや、コーギーのような胴長の犬種に多い病気で、胴長の体型は背骨に負担がかかりやすく、肥満になると、脊椎を支える筋肉が貧弱になり、ヘルニアを起こす確率が増えます。また、高齢による「変性性脊髄症」にかかると、発症より三年で死に至る場合もあるとされています。
この犬種にとって、「肥満」は体型的にも大問題と言えるでしょう。

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ホルモンの病気

【糖尿病】
内分泌器官のひとつでもある「膵臓」から、分泌されるホルモン「インスリン」の分泌量の減少が原因で起きる病気です。また、インスリンの分泌量は正常でも、体の細胞がインスリンを取り込めなくなり、その結果、血糖値が激しく上昇してしまうといった糖尿病の症状もあります。
「体重の減少」「食欲の増加」「水を異常に飲む」「おしっこの量が多い」などの症状に始まり、さらに悪化すると、「嘔吐」「下痢」「脱水症状」「意識障害」などが起こり、死に至る場合もあり非常に危険な病気です。

【クッシング症候群】
このクッシング症候群は「副腎皮質機能亢進症」とも呼ばれ、ホルモンのひとつ「副腎皮質ホルモン(コルチゾール)」の過剰分泌によって起きるホルモンの病気です。
「水を異常に飲む」「おしっこの量が多い」事に加え、御飯の量は通常通り食べていても、どんどん痩せていくという症状や、この他にも「脱毛」「皮膚が黒ずむ」「脂っぽくなる」「皮膚が薄くなる」「お腹が膨れる」といった症状も現れます。

【甲状腺機能低下症】
甲状腺機能低下症とは、犬の代謝や活力などに影響する「甲状腺ホルモン」が減少してしまうホルモンの病気です。
「元気の減退」「毛艶が悪くなる」「脱毛が起きる」「皮膚に異常が起きる」「肥満体型になりやすくなる」「寒がりになる」などといった症状があらわれます。甲状腺ホルモンが減少してしまうことで、体温や血圧といった体の新陳代謝が落ちてしまい、被毛や皮膚、体型といった部分に影響がではじめます。

生殖器の病気

【子宮蓄膿症】
メス犬の子宮が細菌などに感染することにより、炎症を起こして子宮内部に膿が溜まる病気です。この病気は進行すると、腎不全や尿毒症などと言った重篤な病気も併発することがあります。
「下痢」「嘔吐」「発熱」「多飲多尿」「お腹の膨れ」「子宮から膿が出る」などといった症状が現れます。

【乳腺腫瘍】
乳腺腫瘍は、腫瘍の中でもとても発症率が高い病気で、メスが発症した腫瘍の52%が乳腺腫瘍だと言われています。乳腺腫瘍とは、乳腺周辺にしこり(腫瘍)ができる病気です。これが悪性の場合、他の臓器などに転移することもあり、治療が困難になることもあります。

【前立腺肥大】
原因は分かっていないのですが、老化に伴い、男性ホルモンが崩れたことが原因で前立腺肥大を発症すると考えられてます。この病気が発症すると、初期は無症状ですが、進行すると激しい痛みを伴う病気です。
主な症状としては、「便秘」「血尿」「排尿困難」などが見られます。

尚、これらの病気は、避妊・去勢をすることによって病気になることを完全に防げたり、予防できることもあります。

口・耳・目の病気

【白内障】
先天的、もしくは外傷や病気の併発による後天的な理由によって引き起こされ、眼球内にある水晶体が白く濁ってしまう目の病気です。白内障を発症することで、視力の低下や、場合によっては失明してしまう場合があります。

【外耳炎】
垂れ耳の犬種に多いのですが、立ち耳の犬種に比べ通気性が良くないため、耳の中が蒸れたり、カビや雑菌などが繁殖しやすく、「外耳炎」などの原因となります。
暑い夏や湿気が多い季節は特に気を付けて、こまめな耳掃除が必要です。

【歯周病】
口の中の歯垢などが溜まって不衛生にすることにより、歯肉に炎症を起こして歯肉炎となり、さらに進行すると歯周病になります。歯周病が進行すると、細菌が血管から血流に流れて心臓や腎臓、肝臓などにたどり着き、それらの内臓疾患を併発することがあります。
こんな大事になる前に、こまめに愛犬の歯磨きを行いましょう。

さいごに

体力や免疫力が低下した老犬にとって、病気の早期発見はとても重要なことです。
「元気はあるか」「痛がっている箇所はないか」「しこりはないか」など、話せない愛犬の代わりに、普段から愛犬の様子を観察したり、愛犬の体を触ったりして、体の異変にいち早く気付いてあげられることが大切です。そのため、シニア期(7歳以上)に入ると、定期的に(最低でも年に1回以上)健康診断を受けることも必要です。

特に、バーニーズ・マウンテンドッグやグレート・ピレニーズやセント・バーナードなどの超大型犬の場合は、小型犬と比べても年を取るのが早いため、5歳を過ぎたら今まで以上のケアが必要になるでしょう。

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