猫の種類には様々な特徴や性質、気をつけなければいけない事などがあり、猫を飼う上では猫の種別に特徴を理解することが必要になります。今回は猫種の一つ「ラグドール」について、飼っている方もこれから飼いたいと思っている方もチェックしてみましょう。
ラグドールとは
ラグドールとは、ずっしりと大きな体と、クリクリしたブルーの瞳。ワフワした被毛はまるで絹のように柔らか。猫なのに「抱っこが大好き」で、抱かれると全体重をこちらに預け、脱力したような姿から、「ラグドール(ぬいぐるみのように)」と名付けられました。
猫といえば、自由気ままなワガママで、こっちが近づくと逃げて行ってしまう・・・こんな猫の印象をガラリと変えてしまうラグドールだからこそ、今もまだ日本だけでなく世界的に根強い人気を誇っているのでしょう。
ラグドールを独占しようとしたブリーダー
ラグドールのルーツは比較的新しく、1963年にカリフォルニア州のペルシャのブリーダーであるアン・ベイカーが白いペルシャとシールポイントのバーマンを掛け合わせ、その生まれた子とバーミーズを交配して作られました。
アン・ベイカーは、この猫の魅力に自信を持ち、「ラグドール」という品種名で商標登録をし、既存の猫血統登録団体には入らず、「IRCA(インターナショナル・ラグドール・キャット・アソシエーション)」という組織を自ら設立し、「IRCA」の登録がなければ、繁殖する際にラグドールを使用することができないというビジネスを始めたのです。
さらに、生まれたラグドールの子猫の代金を、このベイカーの団体に数パーセントを支払うという契約もありました。要は、アン・ベイカーは、繁殖も売買も「ラグドール」という名前も全て独占しようとしたのです。
その後のラグドールのルーツ
「IRCA」のラグドールは当然、既存の猫血統登録団体には入っていないために、キャットショーなどにも出ることは出来ませんでした。そして、1970年代に入ると、アン・ベイカーが作り上げた「IRCA」の、その厳しい規制に疑問を持ち始めるブリーダーが増え始めます。
その後、一部のブリーダーは「IRCA」を通さずに譲り受けた子猫で、新たなるラグドールを作出する動きをし始めます。また、このブリーダー達のグループは「IRCA」から独立し、ラグドールを登録してもらえるよう「CFA」や「FIFe」等の既存の猫血統登録団体に働きかけます。
こうしてラグドールは無事に「CFA」や「FIFe」などの団体に新品種として登録されることとなり、「IRCA」は90年代に入ると分裂、初期の作出者以外のブリーダーたちにより現在のラグドールが作られることとなりました。
そして、ラグドールを基礎として作出された猫が「ラガマフィン」なのです。
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ラグドールの性格
ラグドールは、その名の通り抱っこが大好きで、甘えん坊なところもあり、常に人に寄り添います。
また、とても穏やかで優しい面も持ちますので、多頭飼いをすれば、他の動物とも仲良くすることができます。さらに、利口で物覚えが早いため、飼い主さんを手こずらせるようなことはないでしょう。まさに、良いこと尽くめの猫なのです。
穏やかでのんびり屋さんのラグドールは、鳴き声も静かで、他の猫と比べても狩猟本能が比較的少ないためか、引っ掻いたり噛んだりすることもないため、賃貸マンションなどの集合住宅での飼育にも向いています。
ラグドールは、幼少期は活発に遊びますが、成長すると落ち着きが出て、激しい遊びは好まなくなるため、遊び盛りの小さい子供がいる家庭には、少し物足りないかもしれません。そのため、静かに過ごしたいと望まれる、落ち着いた大人中心の家庭向きの猫であると言えるでしょう。
ラグドールの被毛
ラグドールの被毛は、絹のような触り心地の良い被毛を持ち、長さはセミロングで、ペルシャなどの長毛種の猫と比べると、毛量は少なめで毛玉になりづらいという特徴があります。
しかし、猫に多くみられる「毛球症(毛繕いの際に、飲み込んだ自分の体毛が消化器官内に留まり、吐くことも排便することもできなくなる状態)」や「皮膚病」の予防のためにも、週に2~3回くらいはブラッシングして抜け毛を取り除いてあげましょう。
毛球症の主な要因となるのが、猫のグルーミングです。ラグドールも当然、グルーミングを行いますので、毛球症になりにくいとは言え、ムダ毛だらけの体をグルーミングしていると、毛球症になってしまうリスクはあります。こうした事態を解消するためにも、ブラッシングは重要な被毛ケアとなるのです。
ラグドールの毛色
ラグドールの被毛のカラーは、「シール(こげ茶)」「ブルー」「チョコレート」「レッド」「クリーム」などの「ポイント」、またこれらの「タビーポイント」、「バイカラー」、「混色(トーティ)」があります。
そして、ラグドールには特徴ある斑の入り方があり、顔や手足、尻尾などに濃い色が入り、他の部分は薄い色になる「ポイント」、四肢に手袋や靴下を履かせたような斑がある「ミテッド」、2色混合しているのが「トーティ」、2色が分かれているのが「バイカラー」になります。
ラグドールの幼少期のボディは白に近い淡い色であり、成長するにつれ顔周りや尻尾、手足などに特徴的な斑模様が入るため、幼少期の時とイメージが変わるかもしれないですが、それもまたラグドールの成長を見るうえでの楽しみではないでしょうか。
ラグドールがかかりやすい病気
【肥大型心筋症】
心臓の筋肉が内側へ向かって厚くなり、心室が狭くなってしまうことで、全身に十分な血液を送ることができなくなる病気です。そのため、体はバランスを取るために心拍数や血圧を上げるようになります。
初期の症状は、すぐに疲れてしまったり、じっとしていることが増えたり、少しの運動でも息切れするなど、猫の老化と間違われることが多いため、なかなか初期の発見は難しいと言われています。そして進行すると、肺水腫や胸水を引き起こしたり、血管や心臓の中で血液が固まる血栓症になり、最悪の場合死に至る恐ろしい病気です。
【尿結石】
尿管、膀胱、尿道の中に砂や石のような結石ができる病気で、この結石に刺激されることによって、膀胱や尿道を傷付けたり、尿道に詰まることでおしっこが出なくなります。特にオスは、尿道が細長くカーブしており、先端も細くなっているため、尿道に結石ができやすいと言われています。
「トイレの回数が増える」「少量のおしっこしか出ない」「おしっこをする時に痛がる」「おしっこがキラキラ光って見える」などの症状がある場合は要注意です。また、おしっこが2日以上出ない場合は緊急を要します。
尿結石は、ストレスや肥満、食事の変化などが大きな要因と考えられており、また、猫は元々水をあまり飲まないこともあるために「結石」を作りやすいと言われているため、日頃から愛猫の健康管理や尿チェックは欠かさず行いましょう。
ラグドール大きさは?
ラグドールは大型種に入る猫で、メスの体重で4.5kg〜7kgほど、オスの体重で6.5kg〜9kgにもなります。ラグドールは抱かれるのも好きな猫ですので、抱っこするにもなかなか大変な重さです。この抱っこされる性格がルーツとなって「ぬいぐるみ」を意味する「ラグドール」と名付けられたのだとか。
体格はロング&サブスタンシャルタイプで、完全なラグドールの容姿になるまでには4年近くを要します。
体重がそこそこになりますので、幼少期のキャットタワー選びも迷ってしまいますが、長い目で見ると天井固定タイプの大きめのキャットタワーを選択しておいた方が良いかもしれませんね。生後8ヶ月ほどで5kg〜7kgほどにも成長するので、小さなキャットタワーはほんの一瞬かもしれません。
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ラグドールの運動量は?
寿命に関してはおおよそ14年前後程と言われるラグドール。しっかりと部屋の中でも運動できる環境と、ストレスのかからないような環境がラグドールにとって重要な生活環境となります。
特に、ストレスは病気を引き起こす要因になってしまったりするので、毎日のスキンシップや、適切な運動量は重要です。甘えん坊のラグドールは、神経質な一面もありますので、飼い主さんの態度が変わってしまったり、環境が変わってしまうとナイーブに受け止めがち。
また、多くの運動量を必要とはしない猫種ではあるものの、ある程度の運動量は必要となりますので、自宅内で遊ぶことの出来るスペースは確保しましょう。適当な運動量がとれなければ、肥満やストレスの要因にもなってしまいます。
ラグドールの値段は幾らくらい?
ラグドールは日本でも人気の高い猫種ですので、ペットショップでも見かける機会の多い猫種のひとつです。また、ラグドールを繁殖しているブリーダーに関しても多く、ブリーダーを見つけるのも容易でしょう。
ラグドールの値段に関しては、20万円〜といったところ。高い個体ですと70万円近くする場合もありますが、月齢や血統、毛色、模様などによっても値段は変わってきますので、あくまでも参考程度に考えておきましょう。
ラグドールを探す際には、まずは自分の気に入っている毛色の相場を知ることから始めましょう。血統が良いと一気に価格も跳ね上がりますが、カラーだけですと2〜3万前後しますので、後は顔の好みや性格で判断してみましょう。
ラグドールと暮らすために
成猫になればさほど活発でもないのですが、狭いケージなどに閉じ込められる事はあまり好みませんので、部屋を自由に行き来できる環境が望ましいです。
また、活発でないがゆえ、肥満になりやすい性質も持っているため、運動できるようにキャットタワーなどを置いてあげるのが良いでしょう。尚、キャットタワーを設置する場合は、体が大きくて重いため、安定感のある低いものを選びましょう。
ラグドールは、どっしりとしていて、落ち着いた性格の持ち主の猫ですが、実は環境の変化などのストレスには敏感なところがあり、初めて迎え入れられた時や、引っ越しなどで住居が変わるような時は注意して見てあげることが必要です。
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