猫の種類には様々な特徴や性質、気をつけなければいけない事などがあり、猫を飼う上では猫の種別に特徴を理解することが必要になります。今回は猫種の一つ「ピクシーボブ」について、飼っている方もこれから飼いたいと思っている方もチェックしてみましょう。

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ピクシーボブとは

「人間が話す言葉を理解する猫」として知られるピクシーボブってご存じでしょうか?アメリカでは人気のある猫ですが、日本ではあまり見かけないですよね。

ピクシーボブの特徴と言えば短い尻尾で、短いものは3cm、長いものでも10cmほどしかありません。また、ずんぐりとして筋肉質な体を持ち、がっしりとした四肢で、体重が重いものは8kgを超えます。

それに加えて、アイラインが入ったキリッとした顔立ちで、一見ワイルドな感じがするため、近づき難い雰囲気を感じさせますが、こんな見た目とは打って変わり、実は飼い主さんに対して甘えん坊で忠実な猫で、まるで犬のように絆を大切にする猫と言われています。

人間の言葉も理解すると言われるところを見ると、非常に賢く、人に対しても有効的な性格を持っているのがわかります。

ピクシーボブのルーツ

ピクシーボブは比較的新しい猫種で、1985年にアメリカに住むキャロル・アン・ブリュワーは、マウント・ベーカー(ワシントン州カスケード山脈)の麓で、1匹のボブキャット(尻尾が短い猫)のようなオスの子猫を入手しました。

翌年の1986年には、もう1匹のオスのボブテイルの成猫を保護したのですが、この猫の体はとても大きく、ビュルワーの膝丈ほどの体高がある猫でした。

そして、ブリュワーはこの2匹のオス猫を、隣人が飼育していたブラウンスポットのメス猫と交配させ、生まれた尻尾の長い1匹を手元に残して「ピクシー(小さな妖精)」と名付けました。

ブリュワーは、最初にボブテイルの子猫を入手したワシントン州カスケード山脈の麓で、新たに探した計23頭の猫を使ってピクシーやその子孫と交配させました。ブリュワーは、この地域の猫は、ボブキャットとヤマネコが掛け合わせた猫が生息していると考えたからでした。しかし、残念ながら後のDNA検査では、ピクシーボブにボブキャットの血が入っていなかったことが判明してしまいました。

その後の1998年に、アメリカの猫血統登録団体「TICA」では、ヤマネコと掛け合わせた猫種としてではなく、「自然発生の新種」として公認されましたが、アメリカの最大の猫血統登録団体の「CFA」では、ネコ科の野生種の血が入ったネコの品種登録を受け付けないため、公認されることはありませんでした。

ピクシーボブの性格


ワイルドな見た目とは反して、温和で明るい性格のピクシーボブは、順応性や協調性もあるので、子供や他のペットとも仲良くできます。遊び好きなところも持ち合わせていますので、子供には楽しい相棒になるでしょう。体も大きいので安心して任せられるのではないでしょうか。

好奇心旺盛で頭が良いピクシーボブは、「人間が話す言葉を理解する猫」として知られるいる通り、人とコミュニケーションを取ることが上手なので、一緒に暮らすと楽しい猫と言えるでしょう。

しかし、甘えん坊で、犬のように「かまってちゃん」なところがあるので、飼い主さんに構ってもらえないと、ふて腐れたり不機嫌になることがあったり、飼い主さんが多忙で長い間留守番することが何日も続くと、鬱になってしまうこともあるようです。

ピクシーボブの被毛

ピクシーボブの被毛は、ほとんどが短毛タイプですが、時折長毛タイプもいます。
被毛のカラーは、ブラウン系のタビーが基本になっていますが、ボブキャットなどのヤマネコをイメージさせるロゼットやスポット模様が入ることが好まれます。

唇が黒いことや、耳は尖っており耳の毛が多いこと、目の周辺の毛は白いこと、顎の毛は白いが皮膚は黒いといった特徴もあります。また、ヒゲに関しては根本が黒いながら、半分以上は白くなっている事もあるそうです。

腹部の毛は赤みがかっているゴールド色の被毛で、ティッキングであるのも特徴。このように、様々な特徴があるピクシーボブですが、後述するように、尻尾の長さに関しては個体によって長さが違う場合もあるようです。

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ピクシーボブの特徴

ピクシーボブの特徴となる短い尻尾。その短さもわずか3cm程しかない個体もいれば、15cm程の個体もいるなど、個体によってもそれぞれにはなりますが、他の猫種と比較すると明らかに身近な尻尾をしています。

この尻尾の長さは大きく分けて3つに分けられます。中でもいちばん身近な尻尾のタイプが「ランプータイプ」と呼ばれるピクシーボブで、ランプータイプに関してはほぼ尻尾がないような状態です。次いで、「ミドルタイプ」と呼ばれるピクシーボブで、尻尾の長さが6cm〜12cmがミドルタイプと判断されます。

そして、ピクシーボブ作出の祖先となる「ピクシー」と同じ、尻尾の長いピクシーボブも存在します。このように、同じピクシーボブであっても尻尾の長さは一定ではないため、ブリーダーによっては断尾を行う場合もあるようです。

日本のボブと言えば


ピクシーボブはアメリカで作出された、ボブテイル(短い尻尾)の猫ですが、実は日本にもこのボブテイルの猫が居るのをご存知でしょうか。「ジャパニーズ・ボブテイル」という名の種類の猫で、日本猫の起源にもなっている歴史の古い猫が、このジャパニーズ・ボブテイルなのです。

ジャパニーズ・ボブテイルの特徴は、やはりその短い尻尾ですが、ジャパニーズ・ボブテイルと言う名でありながら、選択繁殖させてジャパニーズ・ボブテイルとして定着させたのはなんとアメリカ人。

日本猫に魅了されたアメリカ人女性が、日本からアメリカへと日本猫を輸出、ボブテイルの猫を選択的に輸出し、ジャパニーズ・ボブテイルを一つの品種として育て上げたのです。ピクシーボブといい、ジャパニーズ・ボブテイルといい、ボブテイルはアメリカでやはり人気なのですね。

鳴き声もピクシーボブの特徴

ピクシーボブの特徴となるのは尻尾だけではなく、その鳴き声にも特徴を持っています。まるで鳥のような鳴き声を持っており、一般的な猫の鳴き声でもある「ミャー」といった鳴き方や「ニャー」と言った鳴き方は聞かれません。

この鳴き声はピクシーボブ特有の鳴き声で、ピクシーボブに共通した「言語」なのだとか。野生下で生息する15kgにもなるボブキャットの血は流れていないので、野性的な本能では無いにしろ、ピクシーボブに共通した言語を持っているとは、とても野性的な本能ですね。

動画などで確認すると、非常に独特な鳴き方をしていることがわかります。声がかれたような?短めな鳴き方ですね。あまり通る鳴き声では無さそうですが、可愛らしい鳴き方です。

ピクシーボブがかかりやすい病気

ピクシーボブは、基本的に遺伝性のある疾患が少ないと言われていますが、多くの猫がかかりやすいと言われている猫の病気について挙げていきましょう。シニア期(7歳以上)は特に注意が必要です。

【尿結石】
尿管、膀胱、尿道の中に砂や石のような結石ができる病気で、この結石に刺激されることによって、膀胱や尿道を傷付けたり、尿道に詰まることでおしっこが出なくなります。特にオスは、尿道が細長くカーブしており、先端も細くなっているため、尿道に結石ができやすいと言われています。

「トイレの回数が増える」「少量のおしっこしか出ない」「おしっこをする時に痛がる」「おしっこがキラキラ光って見える」などの症状がある場合は要注意です。また、おしっこが2日以上出ない場合は緊急を要します。

【慢性腎不全】
慢性腎不全とは、老化や、腎疾患、泌尿器疾患、感染症によって腎臓の機能が徐々に低下して、やがては正常に動かなくなるという腎臓の病気です。

症状は、多飲多尿、食欲の低下などから始まり、進行すると、嘔吐や貧血、毛艶が悪くなる、体重が減るというような症状に陥り、最悪の場合は、尿毒症を引き起こして命を落とすこともあります。日頃から愛猫をよく観察すること、また、年に1回の健康診断を受けることをお勧めします。

ピクシーボブに見られる「多指症」

「多指症」と呼ばれる疾患をご存知でしょうか。「ポリダクティル」とも呼ばれる多指症とは、本来の本数以上に「指」がある先天的疾患のひとつで、ピクシーボブに限らず、人間を含むすべての動物に起こり得る疾患です。

ピクシーボブに限っては、なんと50%もの確率で多指症が認められ、約半分のピクシーボブは多指症であるのです。ただし、疾患と言っても多指症は普段の生活で支障をきたすものではなく、単に指が多いと言うこと以外、何ら問題があるわけではありません。

そのため、ピクシーボブは多指症が唯一認められている猫種で、通常の猫の指は前足5本、後ろ足4本になっていますが、ピクシーボブは7本まで認められています。もちろん、他の猫にも起こり得る疾患ですが、ピクシーボブはほぼ「当たり前」という位に多いのです。唯一気をつけることと言えば、ツメの伸びすぎには注意する必要があります。

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ピクシーボブのブリーダー

ピクシーボブは日本ではかなり希少な品種であり、ペットショップなどで見かける機会もほぼないと言って良いでしょう。極稀にいる場合があるようですが、価格に関してはおおよそ20万円前後ほど。ただし、足繁く通うほど入荷するわけではありません。

もう一つの手段としてはブリーダーからの直販という形になりますが、ピクシーボブの国内ブリーダーに関しても存在していないようです。そのため、ピクシーボブを迎え入れる際には、輸入という手段になりそうですが、ハードルとしてはかなり高いものとなるでしょう。

まず、ピクシーボブだけではなく、輸入費用に関しても加味して考えなければいけず、さらには書類や認可など、多くの資料を必要とします。それに加え、取引に関しては全て英語でのやり取りとなりますので、ある程度の英語力がなければ難しいかもしれません。

ピクシーボブと暮らすために

ピクシーボブの筋肉質の体型を維持するためにも、高タンパク、高カロリーのフードを選び、よく運動させることが必要となります。しかし、運動不足や老化になり、高タンパク、高カロリーの食事をそのまま摂っていると肥満になることもありますので、愛猫に合った食事の選び方が大切です。

とても遊び好きなピクシーボブは、普通の猫と比べても運動量がやや多いので、ストレス解消のためにも、上下運動ができる、低めの安定感のあるキャットタワーなどを置いてあげると良いでしょう。

また、飼い主さんや家族と遊ぶことを何よりも喜び、犬のようにボールを投げると取ってきたり、リードを付けて散歩をすることもできるので、スキンシップを兼ねて沢山遊んであげましょう。

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