猫も発症することがある「股関節形成不全」という股関節の病気。成長とともに、体の作りも大きくなるため、バランスの取れない状態で成長することで、股関節形成不全を引き起こしてしまいます。今回は股関節形成不全について解説していきます。

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股関節形成不全とは

「股関節形成不全」とは、骨盤と太ももの付け根の接点である股関節の形が、先天的に変形してしまう骨の病気です。または、「股異形成(こいけいせい)」とも呼ばれています。比較的、犬ほど多くはありませんが、猫も「股関節形成不全」という病気を発症します。

その多くは急激な骨の成長とともに、筋肉の成長が遅れることで股関節形成不全が引き起こされてしまいます。股関節形成不全を発症することで歩き方がおかしくなったり、疲れやすかったり、元気がなくなったりと言った症状が現れます。

股関節形成不全の症状について

これまで元気にジャンプしていたのに、最近、愛猫が飛ばなくなったなと感じることはないでしょうか。また、ウサギ跳びやスキップのような仕草や、腰を左右に振って歩くような様子も股関節形成不全が疑われます。さらには、股関節に痛みを感じるため、足を引きずって歩いたり、ベッドやソファー、階段の昇り降りなども嫌がるという症状も見られるでしょう。

その他、股関節の痛みにより、後ろ足を折りたたんで座ることができないため、横座りしてしまうことも、股関節形成不全を発症した猫の特徴と言えます。

股関節形成不全は、早く発症する子で生後4ヶ月頃からこのような症状が現れ始めますが、1歳未満で発症することが多いようです。

股関節形成不全の原因とは

股関節形成不全を発症する原因は、幼少期から成長期の間に急激に体重を増加させることが、この病気を引き起こす原因となります。また、あまりにも激しい運動をさせるのも避けたほうが良いかでしょう。

猫の成長期は、骨が急速に発達するため、その時期に肥満になったり、過度な運動をすると、骨の成長に筋肉が追いつかず、骨に過剰な負荷がかかり、股関節形成不全を引き起こす引き金となってしまいます。

また、遺伝的にペルシャやヒマラヤン、メインクーンやデボンレックスなどが発症しやすいと言われていますので、これらの猫種を飼育している場合は、ことさら体重管理や過度な運動をさせないように注意しましょう。

若年齢での股関節形成不全の治療について

股関節形成不全を治療する場合には、猫の成長度合い、年齢、症状などでそれぞれ治療法が変わってきます。

まだ症状が軽い場合、また年齢も若い場合には、激しい運動を避け、それ以上の悪化を防ぐために安静にするように促されるでしょう。しばらくの間はこうした生活を送るようにし、成長とともに骨盤や股関節がしっかりと成長するのを待ちます。さらには、丈夫な骨格を形成するための食事も欠かせません。しかし、肥満になるほどの食事量や、一切動かないような生活も危険です。

あくまでも悪化しないように安静にして、栄養価の優れた食事を摂取し、適度な運動を行うことで丈夫な骨格・股関節を育てるといった治療法がとられます。また、すり減ってしまった軟骨をサポートするためのサプリメントを用いることもあります。

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股関節形成不全の症状が進行している場合

股関節形成不全の症状が進行し、猫が痛みを感じているような状態であれば、痛みを和らげるための対症療法が行われます。関節炎などを引き起こさないように、抗炎症剤などが投与されます。また、同時に食事の管理や股関節形成不全を悪化させないように、日々の生活でも注意するようにします。

しかし、こうした治療もやがては効かなくなってきます。さらに症状が悪化すると、移動することもままならないような状態になり、最終的には外科手術となります。外科手術には、骨の切除や人工関節を組み込む手術が行われますが、猫の股関節形成不全の手術に関しては、体格が小さ過ぎて困難であること、日本での外科手術は一般的に行われていないため、治療費が高額になるので、あまり例を見ません。

若年で発症する可能性もある股関節形成不全なので、これから成長していく猫にとって、丈夫な骨格・関節の成長を作ることが大切です。

股関節形成不全にならないためには

遺伝的な要素も考えられる股関節形成不全ですが、何と言っても成長期の栄養と、成長バランスが重要な要素となります。たくましく育つようにと、過度に多い食事は禁物です。こうした食事は肥満を助長し、栄養過多になってしまうために、急激な成長に繋がり、愛猫の骨に負担をかけてしまいます。

あくまでも、栄養バランスのある、適切な量の食事を愛猫に与えるようにすること、そして、高低差のあるところでジャンプをさせるなど、激しい運動は避けて、体力の付く程度の運動を心がけ、関節・骨を鍛えてあげることが、股関節形成不全を引き起こさせない方法となるでしょう。

また、自宅にはフローリングではなく、床にカーペットやラグなどの滑り止めを敷いたり、高さのあるキャットタワーを置かないなど、愛猫の関節に負担をかけないように、生活環境をもう一度見直すことも大切です。

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