犬の種類には様々な特徴や性質、気をつけなければいけない事などがあり、犬を飼う上では犬種別に特徴を理解することが必要になります。今回は犬種の一つ「パグ」について、飼っている方もこれから飼いたいと思っている方もチェックしてみましょう。
パグとは
誰もが知っている、有名なブサカワ犬といえば「パグ」ではないでしょうか。
潰れた鼻に、こぼれ落ちそうな大きな目、シワくちゃな顔のユニークな顔立ちが特徴です。
さっきまで元気いっぱい走り回っていたかと思えば、急にイビキをかいて横になって寝てるような、まるで人間の子供のような一面を持つパグは、一体どれだけの人の心を癒やしてきたのでしょう。
こんなパグだからこそ、老若男女、貴賎貧富なく長らく万人から愛され続けたのでしょう。
パグのルーツ
パグは中国原産の愛玩犬として知られていますが、中国におけるこの犬種の歴史は、不明なところが多く、同じ中国原産のペキニーズが祖先であるという説や、ブルドッグなどと同じように、マスティフ犬が祖先であるという説もあります。
16世紀、パグは中国からオランダへ持ち込まれ、1572年にスペインの兵士が、ウィレム王を暗殺しようと近づいた際、このパグがウィレム王の身の危険を吠えて知らせたことで、ウィレム王の命を救ったのです。この犬種はオランダ王家公認の犬となり、ウィレム王の墓の肖像にはパグが彫られています。
また、18世紀末頃にパグはすでにフランスに渡っていたようで、ナポレオンの妻であるジョセフィーヌが監獄に拘束された際、彼女が寵愛していたパグを使って、ナポレオンにメッセージを伝えたと言われています。
その後の、19世紀のビクトリア女王時代にイギリスに持ち込まれたパグは、皇族貴族の間で瞬く間に人気を博し、それまで人気だった「キング・チャールズ・スパニエル」に代わり、パグはイギリスで短吻種ブームの火付け役となったのです。
ちなみに、パグの名前の由来は、ラテン語で「にぎりこぶし(pugnus=パグナス)」から来ていると言われています。
パグの性格
パグの性格は、陽気で天真爛漫、とにかく遊ぶことが大好きで、ずっと見ていても飽きさせることはないでしょう。攻撃性もなく、子供や他の犬種とも仲良く遊ぶことができるため、多頭飼いにも向いています。
しかし、独占欲が強いところもあるので、「飼い主さんを取られた!」「おやつを取られた!」など、もめることもあるかもしれません。
また、利口で賢く、飼い主さんや家族に対して愛情深い性格のパグですが、その反面、頑固で気まぐれなところも持ち合わせており、飼い主さんの要求に応えるのは、その時の気分・・・ということも多々あります。「分かっていない」のではなく、「聞こえないフリをしている」ということですね。
そして、プライドが高い一面もありますので、躾に関しては、頭ごなしにガミガミと叱りながらするのではなく、良いところを大袈裟に褒めてあげながら躾をするのが良いでしょう。パグは人を喜ばせることが好きな性格のため、飼い主さんが喜んでいることは何度でもしようとします。
パグの被毛
パグは、「ダブルコート」の被毛を持ち、硬く短い毛の「オーバーコート(上毛)」と柔らかく密生した「アンダーコート(下毛)」の2種類の被毛で覆われています。
被毛のカラーは、「フォーン」「ブラック」「シルバー」「アプリコット」などがあります。
被毛の手入れは比較的簡単で、汚れた時は、固く絞ったタオルで拭く程度で良いでしょう。また、年に2回の換毛期があり、その間は沢山の毛が抜けるため、犬アレルギーの人がいる家での飼育はあまりお勧めできません。
定期的なブラッシングをすることが望ましいですが、換毛期を迎えた時には、よりこまめにブラッシングをするようにし、常に清潔な体を維持させるようにしましょう。
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パグがかかりやすい「膿皮症」
パグは「膿皮症」と呼ばれる病気にかかりやすいと指摘されています。膿皮症は、皮膚が化膿してしまう症状の総称として呼ばれる病名で、強いかゆみや発熱が認められる場合があります。これは、皮膚が炎症を起こしてしまうために起きる症状で、常に壁に体を擦り付けたり、地面に転がって皮膚を掻くといった様子が見られるでしょう。
命にかかわる病気ではありませんが、常に体が痒いとストレスも溜まってしまい、健康被害が引き起こされる場合もあるのです。
膿皮症を予防するためにも、パグの「しわ」になりやすい部分の皮膚を常に清潔にしておくことが重要です。ブラッシングとは別に、タオルなどでも皮膚を拭いてあげたり、拭いてあげる際に炎症が起きていないかなどのチェックも行うようにしましょう。
パグの運動量
パグは多くの運動量を必要とはしない犬種ですが、太りやすい体質であるために、ある程度の運動は大事です。激しい運動は必要ありませんが、1日1回は必ず散歩に行くなど、運動を行う習慣を身につけるようにしましょう。
日頃から散歩にもいかずにゴロゴロしていると、パグはすぐに肥満に向かってしまいます。適度な運動は肥満対策にもなりますし、ストレスの解消や健康的な体の維持にも効果的です。
適度な運動と、健康的な食生活は、パグの健康を維持する生活習慣として大事なポイントとなります。しっかりとした栄養を摂取出来ているか、おやつばかりを食べさせていないか、運動はさせているかなど、改めて飼育環境を振り返ってみて、疎かになっている部分があれば改善するようにしましょう。
パグがかかりやすい病気
「壊死性髄膜脳炎」といわれる病気があります。これは別名「パグ脳炎」といい、パグなどのいくつかの小型犬に限って発症する遺伝的な病気です。この病気が発症すると、脳内で徐々に炎症が進み、脳が萎縮し、最終的には死亡します。
初期のうちは、目が見えなくなったり、同じ場所をぐるぐる回るようになり、立てなくなるというような症状が見られます。やがて、痙攣発作が止まらなくなり、死亡してしまいます。
また、「膝蓋骨脱臼」もパグに多く見られる病気です。この病気は、後ろ足の膝蓋骨(膝のお皿)が正常な場所から、内側か外側にずれてしまう(脱臼する)状態になる病気です。最初のうちは気付かない場合も多く、放置していると、どんどん悪化していきます。
膝蓋骨脱臼を予防するためには、まず膝に負担をかけないことです。フローリングなどの硬く滑る床には、カーペットやラグを敷きましょう。
パグのいびきが酷いのは病気の可能性も?
短吻種の犬は、呼吸するたびにブーブー音がしていたり、いびきが酷い場合がありますが、もしかするとそれは鼻が短い犬種に多い「鼻腔狭窄」という病気の可能性もあるのです。
鼻腔狭窄とは、鼻の穴が潰れて狭くなり、呼吸がしづらくなる病気。パグを始めとした短吻種に多く見られ、原因は先天性によるものと、鼻の中の粘膜が炎症を起こし、鼻の穴が腫れて狭くなったことで、鼻腔狭窄を引き起こしてしまうといった、後天性によるものがあります。
鼻腔狭窄の主な症状は、いびきが酷くなる事や、ブーブーと鼻を鳴らして呼吸をしたり、よく鼻水を飛ばしたりといった症状が見られます。また、鼻で呼吸がしづらいため、口で呼吸するようになったり、軽く運動しただけでも酸欠状態になってしまうのです。このような症状に気が付いたらすぐ動物病院で診てもらいましょう。
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パグは暑さ対策も大事
パグを始めとした短吻種の犬種は、「体温調整が苦手」な犬種でもあります。熱中症には十分気を付けましょう。そして、熱や気圧の変化にも弱いことから、飛行機での輸送を断られる場合があるので、飛行機を利用して旅行に行く際は、予め航空会社で確認するようにしましょう。
夏場の散歩は特に注意が必要で、夕方に温度が低くなったからといって油断しないようにしましょう。日中に温められたアスファルトは、夕方になっても温度が下がりきっていない場合もあります。そのため、地面からの熱が高く、体調を崩してしまう場合もあるのです。
日中の温度が高かった日には、アスファルトの温度を確認するようにし、パグが熱中症を引き起こさないように十分に注意するようにしましょう。
パグのブリーダーや値段は?
パグは日本でも特に人気の高い犬種でもありますので、ペットショップでも出会う確率は高い犬種でもあります。多くの方はペットショップでパグを迎え入れているのではないでしょうか。
そんなパグのブリーダーに関しても、見つけるのは難しくはなく、ほぼ全国的に存在しているようです。ブリーダーからの直販のメリットは、価格面だけではなく、親の情報も手に入るという点です。お父さん、お母さんの顔を見てみたい!と思うのが親心ですよね。
パグの価格に関してはおおよそ20万円前後。価格が高いパグだと40万円近くにもなる場合があります。血統等の条件が良いと、価格も高くなります。また、希少色である場合などにも価格は上がる傾向にあります。
パグと暮らすために
パグを飼う上で気を付けなければならないのが、パグの特徴でもある「短吻種(目の前から口までの長さが短い犬のこと)」だと言う事です。短吻種の犬種は、体の構造的に呼吸器の機能が弱く、麻酔を行う場合は若干リスクが高くなるので配慮が必要です。
「パグは訓練を辛抱強く行いません。」
飽きてしまうので、褒めることも取り入れることです。
「パグは独立心も強いので、自分の居場所も必要とします。」
でも、家族が見えないと嫌なので、家族の居るところにゲージを置いてください。
「パグは基本的に無駄吠えはしません。」
でも吠える時は、決まって何らかの理由がある時なのです。
こんなパグの性格や性質をよく理解することで、これからもパグと上手に付き合っていけるでしょう。
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