「ドーベルマン」と一緒に暮らす為に、どのような事に気を付けなければならないでしょうか?犬を飼う上では犬種別に特徴を理解することが必要になります。今回は「ドーベルマン」について、飼っている方もこれから飼いたいと思っている方も特徴や性質をチェックしてみましょう。

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ドーベルマンとは

筋肉質で無駄のないスマートな体格を持つドーベルマンは、とても優美で力強くもあり、俊敏性や走力にも優れ、「犬のサラブレッド」とも呼ばれています。

ドーベルマンは、利口で厳しい訓練でも耐えうる犬種のため、今もなお警察犬や軍用犬、麻薬探知犬や番犬など、あらゆる分野で活躍しています。こんな優秀なドーベルマンですが、実は一度信頼した飼い主さんにしか見せない甘えん坊で優しい表情も持ち合わせています。

ドーベルマンのルーツ

1890年頃、ドイツのテューリンゲン州に住んでいたカール・フリードリヒ・ルイス・ドーベルマン氏は、税金徴収官の仕事をしていたことから、日頃から現金を持ち歩くことが多かったため、威圧感のある優秀な警備犬の必要性を感じ、この犬種を作出しました。

ドーベルマンは、ジャーマン・シェパードと、ジャーマン・ピンシャー、ロットワイラー、マンチェスター・テリアなどの交配により生み出されたと言われています。

この犬種は、優れた警備犬、護衛犬としての素質が認められ、早くも1899年にドーベルマンのクラブが設立され、翌年の1900年にはドイツのケネルクラブに公認されました。その後、ヨーロッパはもちろんのこと、アメリカでもドーベルマンの評価は高く、警察犬や警備犬、第一次大戦では軍用犬として活躍し、日本でも1930年代に軍用犬として大量に輸入されました。

ドーベルマンの性格


ドーベルマンは、獰猛で危険なイメージがありますが、実際はとても愛情深く、生涯どんな場面においても飼い主さんに対して忠実であり、飼い主さんや家族を守る番犬、護衛犬としての素質があります。また、一度信頼関係を築き、警戒心を解いた時、飼い主さんに対して、とても甘えん坊で人懐っこい一面も持ち合わせています。

しかし、ドーベルマンは警戒心が強く、縄張り意識も高いため、見知らぬ人には懐かず、他の犬に対して攻撃的なところがあります。幼少期から徹底した躾や訓練が必要となるので、初心者の方の飼育には向かないかもしれません。賢く優秀な犬種だからこそ、飼い主さんを自分より下と見下した場合、コントロールができなくなります。

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ドーベルマンは警察犬に適した犬種

ドーベルマンは前述の通り、警備犬や護衛犬として活躍してきた犬種です。現代においてもドーベルマンの性質を活かし、警察犬や警備犬として活用されることが多いです。

ドーベルマンが警察犬に適している理由には、その忠実な性格や性質、番犬として勇敢な性格が1番の理由となるでしょう。また、非常に賢い犬種ですので学習能力も高く、難易度の高い訓練や仕事にも応えることのできる犬種であることが理由となるでしょう。運動量に関しても高く、ハードな仕事にも耐えうる体力を持ち合わせています。

しつけが入ることで非常に従順な犬種となりますが、その容姿は非常に凛々しく、迫力もありますので、警備犬として配置された際にも犯罪の抑止力になるため、ドーベルマンのような犬種は警察犬や警備犬としても適しているのです。

ドーベルマンの運動量


ドーベルマンはかなりの運動量を必要とし、1回1時間程の散歩を、1日2回行くのが理想的な運動量。さらに定期的にドッグランなどでものびのび走れる機会があると、よりよいでしょう。

運動不足や愛情不足によるストレスから、破壊行動に出ることもあるので、日頃から愛犬とスキンシップを取り、ゲームをしながらの運動を取り入れるのも良いでしょう。

また、飼い主さんと愛犬の健康維持のため、ジョギングに付き合ってもらうのも良いかもしれませんね。愛犬とコミュニケーションも取れて、楽しみながら運動ができるので一石二鳥になるでしょう。

適切な運動量はドーベルマンのストレス解消になるだけではなく、健康な体を維持するためにも必要なものです。

ドーベルマンの被毛

ドーベルマンは「シングルコート」の被毛で、被毛のカラーは、「ブラック」「レッド(ブラウン)」「ブルー」「イザベラ(フォーン)」「アルビノ(ホワイト)」などがあり、両目の上、頬、マズル(鼻先から口にかけた部分のこと)、喉、胸、四肢、尾の付け根の下にタンのマーキングが入っています。

また、ブラックとレッド以外の毛色は色素欠乏などの理由により、特定の疾病や脱毛症を引き起こしやすいと言われています。

被毛の手入れは比較的簡単で、汚れた時は、固く絞ったタオルで拭く程度で良いでしょう。また、年に2回の換毛期があり、その間は沢山の毛が抜けるため、犬アレルギーの人がいる家での飼育はあまりお勧めできません。

定期的なブラッシングをすることが望ましいですが、換毛期を迎えた時には、よりこまめにブラッシングをするようにし、常に清潔な体を維持させるようにしましょう。

ドーベルマンがかかりやすい病気

ドーベルマンがかかりやすい病気とされているのが、大型犬に多い「股関節形成不全」です。この股関節形成不全は、股関節が正常に形成されなかったり、変形されることで、歩き方に支障をきたす病気です。
肥満体型は股関節形成不全を引き起こすきっかけとなってしまいますので、子犬の頃から肥満にならないように、食事の管理は徹底するようにしましょう。

また、「胃捻転」という病気も、ドーベルマンは気を付けるべき病気とされています。「胃捻転」とは、胃の内容物が発酵し、発生したガスで胃がパンパンになり、その胃が捻転してしまう病気で、大型犬に多く見られ、致死率も高い病気です。ついさっきまで元気にしていると思ったら、急にぐったりとするなど、早急に処置をしないと、最悪の場合死に至る病気です。
予防としては、食事の後しばらくは安静にさせることや、水のがぶ飲みは避けること、早食いさせない事など、十分に気を付けてあげましょう。

そして、ドーベルマンに多いとされる「拡張型心筋症」という心臓の病気があり、心臓が肥大し、心室内腔が拡張することにより、心臓のポンプ機能が低下していきます。初期の段階ではほとんど症状が見られず、病気が進行すると肺水腫を引き起こし、咳や呼吸困難になったり、不整脈を引き起こした場合は、ふらついたり、元気がなくなってボーっとしたり、失神するような症状があり、最悪の場合には突然死することがあります。

「拡張型心筋症」は、初期段階ではほとんど症状が見られないため、症状に気付いてから病院へ連れて行っても、手遅れという場合が多い恐ろしい病気のため、ドーベルマンを飼育されてる飼い主さんは、年に一度の定期検診を受けることをお勧めします。

ドーベルマンが断耳する理由とは?

ドーベルマンを含め、ミニチュアシュナウザーなどの犬種は、子犬の頃に耳をカットして形を整える「断耳」を行う場合があります。この断耳は、どのような意味があるのでしょうか。

断耳を行う犬種は猟犬や闘犬である場合がほとんどですが、本来の断耳の理由には、猟を行う際に、獲物が耳に噛み付いてしまったり、咬み付かれたことで致命傷を負ってしまう事を避けるために、耳をあらかじめカットしていました。

しかしながら、狩猟が一般的ではなくなった近年では犬種の「スタンダード」、つまりはその犬種の標準の形として耳を断耳する場合が殆どとなりました。そのため、ペットとして飼育する際には耳を断耳しない場合も多くなっています。

ドーベルマンに関しても同じ事が言えますが、多くはその尖った耳が理想的とされるため、耳を断耳する場合のほうが多いかもしれません。

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ドーベルマンは暑さに強い?弱い?


ドーベルマンはシングルコートの犬種ですので、寒さに比較すると暑さのほうが比較的強い犬種です。とはいえ、暑さに強いというわけではありません。

特に、夏の直射日光や日中の散歩には注意が必要です。場合によっては熱中症などの症状を引き起こしてしまうため、外気温やアスファルトの温度には注意が必要となります。

冬に関しては洋服を着せるなどの寒さ対策も必要となります。毛も短いため、寒さはダイレクトに伝わってきてしまいますので、外飼いには実は不向きな犬種です。イメージでは外飼いしているイメージも強い犬種ですが、このように温度にはナイーブな一面もありますので、室内飼いを行うようにしましょう。

また、室内で飼育する際にもクーラーなど、温度調節の行える環境を整えることも大事になります。

ドーベルマンの値段は幾らくらい?

大型犬のドーベルマンは普段、ペットショップなどで見かける機会の少ない犬種です。また、ドーベルマンは初心者向きの犬種というよりかは、ある程度犬の飼育に慣れている方や、ドーベルマンについての知識が高い方向きの犬種です。

そのため、ドーベルマンを迎え入れる際にはブリーダーからの直販という形が一般的となるでしょう。ブリーダーから迎え入れる際には、親の情報やドーベルマンについての相談も密に行えるため、メリットは高いでしょう。

ドーベルマンの価格の相場は、おおよそ25万円前後ほど。高い個体ですと50万円近くまで高騰する場合もあるようです。一般的な犬種ではありませんので、メジャー犬種よりかは価格が高めと言えるでしょう。

ドーベルマンと暮らすために

ドーベルマンは厳しく的確な服従訓練が必要になり、成犬になると、成人男性でも敵わなくなりますので、必ず愛犬とアイコンタクトを取りながらトレーニングし、飼い主さんに「従う」ということを理解させる訓練をしましょう。子犬のうちに、訓練の学校へ通わせるのも、一つの手かもしれません。

また、ドーベルマンは番犬や警備犬のイメージが強い犬種ですが、本来は愛情深く、友好的で子供好きのため、育て方や接し方次第では、穏やかで従順な家庭犬にもなります。

ドーベルマンは、どんな厳しい訓練にも耐えうる性質を持ち合わせていますが、愛情を持って信頼関係を築いた上で接することが大前提です。ただ厳しいだけでも、甘やかすだけでも良い躾とは言えません。この犬種の良さを生かすも死なすも飼い主さん次第です。

優秀な番犬、護衛犬とするのか、穏やかな家庭犬とするのか、今一度飼育する前にしっかりとした飼育方法を考える必要があるでしょう。

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