「フレンチ・ブルドッグ」と一緒に暮らすために、「フレンチブルドッグ」は、どんな特徴や性質であり、どのような事に気をつけなければいけないのでしょうか?犬を飼う上では犬種別に特徴を理解することが必要になります。飼っている方もこれから飼いたいと思っている方もチェックしてみましょう。
フレンチ・ブルドッグのルーツ
フレンチ・ブルドッグは、1860年頃イギリスで、体重11kgくらいの小型のブルドッグがフランスに渡り、そこでパグやテリア犬などと交配されて作られた犬種だと言われています。
この当時、イギリスでのブルドッグは、闘犬として人気を博していたのですが、闘犬禁止法令により、闘犬としての職を失ったブルドッグが、闘争的な性格を改良すべく、このフレンチが使われたと考えられています。
この小柄で立ち耳のブルドッグは、性格も温厚に改良され、今までと異なる容姿と性格に、イギリスでは全く見向きもされなかったのですが、フランスでは「ブルドッグ・フランセ(フランスのブルドッグ)」と名付けられ、愛玩犬として上流階級や貴婦人の間で人気を博していきました。
同じ頃、フランスを訪れていたアメリカ人がこの犬種に目を付け、次々とアメリカに輸出されるようになり、熱心に繁殖を始めた結果、早くも1898年にはアメリカで、フレンチ・ブルドッグのクラブが設立され、ニューヨークでフレンチ・ブルドッグの単独ショーが公開されたと言われています。
当時、フランスでは、フレンチ・ブルドッグの耳に関して、「ローズ耳」と「コウモリ耳」の2タイプが存在していたのですが、「コウモリ耳」にこだわったアメリカ人の努力により、「コウモリ耳」のタイプが基準となったという経緯があります。
ちなみに、「フレンチ・ブルドッグ」という名前の由来は、1906年にイギリスの愛犬家団体「KC(ケネル・クラブ)」に、「ブルドッグ・フランセ」というフランス名で一度公認されたのですが、それから6年後の1912年に「フレンチ・ブルドッグ」という英名に改名されたことにより、この名前が付けられました。
フレンチ・ブルドッグの性格
フレンチ・ブルドッグの性格は、陽気で愛情深く、家族とのコミュニケーションを何よりも大事にします。また、甘えん坊なところがあり、とても抱っこが大好きです。決して体重が軽いわけではないので、そこら辺は覚悟して下さいね。子供や他の犬種とも仲良く遊ぶことができるため、多頭飼いにも向いています。
ただし、基本的にはとても穏やかな性格のフレンチ・ブルドッグですが、かつて闘犬であった「ブルドッグ」と「テリア」の血が入っていることを忘れてはいけません。自己主張が強く、頑固な面も持ち合わせているので、中には攻撃的になる子もいます。
幼少期のうちから、飼い主さんが「リーダー」ということをしっかりと認識させることが大事になり、上下関係をしっかり作る必要があるでしょう。しかし、プライドが高いところもありますので、躾に関しては、頭ごなしにガミガミと叱りながらするのではなく、良いところを大袈裟に褒めてあげながら躾をするのが良いでしょう。フレンチ・ブルドッグは人を喜ばせることが好きな性格のため、飼い主さんが喜んでいることは何度でもしようとします。
フレンチ・ブルドッグの特徴
フレンチ・ブルドッグを飼う上で気をつけなければならないのが、フレンチ・ブルドッグの特徴でもある「短吻種(目の前から口までの長さが短い犬のこと)」だと言う事です。
フレンチ・ブルドッグを始めとした、ブルドックやパグなどの短吻種の犬種は、体の構造的に呼吸器の機能が弱く、麻酔を行う場合には若干のリスクが伴うということを意識しておきましょう。
そして、フレンチ・ブルドッグやブルドッグは価格がやや高めの犬種でもあります。その理由となるのが、フレンチ・ブルドッグは顔や肩幅に比べて骨盤が小さく、自然分娩が難しい犬種であるという特徴があります。
そのほとんどが、帝王切開での出産になりますが、帝王切開の場合、短吻種にはリスクが高い麻酔を使用せざるを得なくなるため、他の犬種よりも子犬を作ることが大変なのです。飼っているフレンチ・ブルドッグの子を作りたいのであれば、まずは動物病院の先生とよく相談するようにしましょう。
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フレンチ・ブルドッグの大きさはどのくらい?
フレンチ・ブルドッグの大きさはおおよそ8kg〜14kgほど。頭が大きい犬種ですが、足腰もしっかりしており、体は筋肉質な体型なのでバランスが取れた体つきをしています。
前述の通り、実は甘えん坊な面も多いフレンチ・ブルドッグですが、筋肉質な上に10kg前後の体重で抱っこをせがんでくる姿が、なんとも微笑ましくもあり、飼い主さんとしては大変な面もあるでしょう。
基本的にはがっしりとした体型ですが、筋肉質なのと肥満は別物です。肥満体型になってしまうとただでさえ重い体重をささえている四肢や腰も、シニアになってくると悲鳴をあげ始めます。幼少期から体重のコントロールはしっかりと管理するようにし、足腰にも良いコンドロイチンなどを摂取させるようにしましょう。
フレンチ・ブルドッグの被毛
フレンチ・ブルドッグの被毛は、「スムースコート(短毛)」で硬く密生していて、滑らかさと光沢があり、手入れも比較的簡単で、固く絞ったタオルで全身を拭く程度で問題ないのですが、鼻や尻尾の付け根の「シワ」の間は通気性が良くないので、雑菌や細菌が繁殖しやすくなっています。
また、皮膚炎の原因にもなるので、日頃からこまめに拭いてあげましょう。暑すぎても雑菌が繁殖してしまい、寒すぎると皮膚も乾燥してしまうため、季節に合わせた皮膚ケアを行う必要があります。
フレンチ・ブルドッグの被毛のカラーは、「クリーム」「フォーン」「ブリンドル(黒を地色に茶色や白の差し毛が入ったもの)」「パイド(白を地色にブリンドルまたはフォーンの斑点が頭や体に入ったもの)」などがあります。
フレンチ・ブルドッグがかかりやすい病気
鼻が短い犬種に多い「鼻腔狭窄」という、鼻の穴が潰れて狭くなり、呼吸がしづらくなる病気があります。フレンチ・ブルドッグにも多い病気で、原因は先天性によるものと、鼻の中の粘膜が炎症を起こし、鼻の穴が腫れて狭くなったことで鼻腔狭窄を引き起こしてしまうといった、後天性によるものがあります。
鼻腔狭窄の主な症状は、ブーブーと鼻を鳴らして呼吸をしたり、よく鼻水を飛ばしたり、鼻で呼吸がしづらいため、口で呼吸するようになったり、軽く運動しただけでも酸欠状態になる症状がみられます。このような症状に気が付いたら、すぐ動物病院で診てもらいましょう。
また、、フレンチ・ブルドッグは、「膝蓋骨脱臼」という病気も気を付けなければいけません。この病気は、後ろ足の膝蓋骨(膝のお皿)が正常な場所から、内側か外側にずれてしまう(脱臼する)状態になる病気です。
最初のうちは気付かない場合も多く、放置していると、どんどん悪化していきます。愛犬が散歩中スキップしたり、足を上げて歩くような素振りを見せた場合は危険信号です。
膝蓋骨脱臼を予防するためには、まず膝に負担をかけないことです。フローリングなどの硬く滑る床には、カーペットやラグを敷きましょう。
フレンチ・ブルドッグと目の異常
目の大きいフレンチ・ブルドッグは「眼瞼内反症」などの眼科的疾患も多いようです。下瞼が内側に反り返ってしまう状態のことで、要は逆さまつ毛のことです。軽度の場合は、下まつ毛を抜くことで治まります。重度の場合は瞼の整形手術を行います。
フレンチ・ブルドッグは目が大きく、ややむき出しの状態にあるため、目のトラブルが起きやすい犬種であります。日頃から目ヤニや涙が出ていないかなど、目のチェックは欠かさずしましょう。
また、目の外傷にも注意を払う必要があります。自宅内ではフレンチ・ブルドッグの目線などに危険なものはないでしょうか。自宅内の通路を、今一度フレンチ・ブルドッグの目線でチェックするようにしてみましょう。
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フレンチ・ブルドッグの寿命はどのくらい?
フレンチ・ブルドッグの平均的な寿命は、おおよそ10歳〜12歳ほど。命にかかわるような疾患も少ないので、しっかりと飼育することで寿命を全うしてくれることでしょう。
フレンチ・ブルドッグを飼育する上で気を付けたい点に、短吻種の犬種は「体温調整が苦手」という点があげられます。短吻種の犬種は、熱中症などのトラブルに十分気を付けましょう。
また、短吻種の犬種は熱や気圧の変化にも弱いことから、飛行機での輸送を断られる場合があります。飛行機を利用して旅行に行く際は、予め航空会社で確認するようにしましょう。
暑い地方では夏の温度管理に注意が必要となり、寒い地方では乾燥などにも注意しておきたいです。器官が弱めなので、温度変化や体調の変化が起きると呼吸などに異常が見られるようになりますので、日頃から鼻や呼吸の仕方を注意深く見ていましょう。
フレンチ・ブルドッグの値段は?
前述でも触れましたが、フレンチ・ブルドッグは他の犬種と比較して、やや高い犬種であります。平均的な価格でも35万円〜45万円ほど、高い個体ですと70万円を越えることも珍しくありません。こうした価格はフレンチ・ブルドッグの親や、カラーによっても大きく変わってきます。
フレンチ・ブルドッグは比較的人気の犬種ですので、ペットショップなどでも見かける機会の多い犬種の一つです。色々なショップを巡ると、様々な価格のフレンチ・ブルドッグがいることでしょう。また、フレンチ・ブルドッグのブリーダーに関しても、日本全国に存在していますので、ブリーダーから迎え入れる際にも探しやすいでしょう。
価格も個体によって大きく変わりますので、自分が探している毛色のおおよその相場価格を知っておくと、探す際にも参考にしやすいでしょう。
フレンチ・ブルドッグと暮らすために
フレンチ・ブルドッグは、犬なのにイビキはうるさいし、鼻水は飛ばすし、泳げないし、極めつけはあの頭でっかちのアンバランスなスタイルは、決して格好良いとはいえません。
しかし、サービス精神旺盛なフレンチ・ブルドッグは常に家族のことを考え、常に家族が喜ぶことをしたがります。家族が喜ぶと思ってやったことが、逆に裏目に出ることも度々です。そんな時には、どうか叱らないでやってください。
落ち込んでしまいやすい一面もあるフレンチ・ブルドッグ。見た目も愛嬌がありますが、性格的にも愛嬌のあるフレンチ・ブルドッグに虜になってしまう方も多いようで、フレンチ・ブルドッグを多頭飼いしている飼い主さんも少なくありませんね。ハマる方にはハマるフレンチ・ブルドッグ。これからもおもしろ可笑しく生きていきませんか?
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