愛猫の乳房あたりにしこりはないですか?愛猫がしきりに乳房を舐めている様子はないですか?そんな時はもしかしたら「乳腺腫瘍」や「乳ガン」を疑ってみましょう。今回は「乳腺腫瘍」や「乳ガン」について、症状や治療法、予防策などを考えていきましょう。

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乳腺腫瘍と乳ガンとは

「乳腺腫瘍」とは、母乳を産生する乳腺にできた腫瘍のことを言い、大きく分けて良性と悪性がありますが、悪性の乳腺腫瘍を総じて「乳ガン」と言います。
もし、乳腺腫瘍と診断されてしまった場合、そのほとんどが悪性の乳腺腫瘍、すなわち「乳ガン」であると言われており、その確立は犬の場合が50%なのに対し、猫の場合はなんと80~90%にも及ぶそうです。
また、避妊手術をしていないメス猫は、避妊手術を済ませた猫に比べて、約7倍もの確立で乳ガンを発症するというデータがあります。さらには、比較的高齢期を迎えた猫も乳ガンを発症しやすいと言われていますので、10歳以上の高齢期を迎えた、避妊手術を済ませていないメス猫を飼育している場合は注意が必要です。
他にも、乳ガンは進行性が高く、肺への転移が早いというのも特徴の一つに挙げられます。

乳腺腫瘍・乳ガンの症状


乳腺腫瘍ができると、良性であっても悪性であっても、早期に発見した場合、乳腺付近に1個または複数個の硬めの1cm未満の小さなしこりができます。
また、乳頭部分に腫瘍がある場合は、乳頭が赤く腫れ、黄色い分泌物が出ることもあります。この頃に、猫がしきりに腹部を舐めることがあるなら、乳腺腫瘍を疑った方が良いかもしれません。

そのしこりはしだいに大きくなり、表面が潰瘍化し、出血を伴ったり、臭いが発生するようになります。さらに悪化すると、脇の下や後ろ足の付け根が腫れ、体に触られることを嫌がるようになり、食欲が低下したり、体重が減少するようになるでしょう。

乳腺腫瘍の「自壊」とは?

乳腺腫瘍に関連する呼び名で「自壊」と呼ばれる症状があります。この自壊とは、上記で説明した「しこり」が壊死してしまい、強い悪臭を伴った膿が溢れ出している状態を指します。
前述の通り、猫はこのしこりが気になり、舐めたりしてしまうのです。場合によっては1cm未満ほどのしこりも、5cmほどの大きさになってしまう場合もあり、痛みや違和感を強めてしまいます。
患部がかさぶたになっている間はあまり感じられない悪臭も、このかさぶたが剥がれたり、しこり自体が破れてしまったりすると非常に強い悪臭を伴った膿が溢れ出し、さらには血がにじみ出てきてしまうのです。
最終的にこのしこりが自壊してしまうのは、4cm〜5cmほどの大きさになる頃で、この間は猫には強い痛みが伴っているのです。

強い臭いを放つ自壊の処置

自壊した後は、しこりの中の腐敗した血や膿が強い悪臭を放っているため、適切に処置しなければいけません。自壊した状態を放おっておくと、不衛生な状態になってしまい、ウジが湧いてしまったり、感染症の危険性も出てきてしまうのです。
さらには自壊したことで出血もひどくなり、場合によっては貧血状態を引き起こしてしまいます。こうして猫の体力も徐々に衰弱していってしまうのです。
残念ながら自壊してしまった部位は、手術で患部の腫瘍を取り除くしかありません。しかしながら、衰弱してしまっている猫が手術を行えない場合もありますので、応急処置として自壊してしまった部分は清潔に保つように処置しなければなりません。
自壊してしまった後は、動物病院などで処置用の薬をもらうか、患部にも使用できる消臭剤などで清潔に保つようにしましょう。

乳腺腫瘍・乳ガンの原因について

乳腺腫瘍や乳ガンは、乳腺に腫瘍ができることで発症しますが、その原因は未だ定かではありません。
しかし、可能性としては、先述したように、避妊手術をしていないメス猫は、避妊手術を済ませた猫に比べて、約7倍もの確立で乳ガンを発症すると言われていますので、女性ホルモンの影響が大きく関係していると考えられます。
また、10歳以上の高齢期を迎えた猫が発症することが多いことから、高齢猫の抵抗力の弱さも関係しているでしょう。さらには、好発猫種としてシャムが挙げられており、シャムは乳腺腫瘍の発症率が、他の猫の2倍になるという報告もあるようです。

乳ガンの治療法とは

初期段階でまだ乳ガンが小さく、猫に体力がある場合は、外科手術によってガン細胞を取り除きます。乳ガンは腫瘍が小さければ小さいほど、術後の経過も良く、腫瘍が直径2cm以下であれば、3~4年の生存率、直径3cm以上では半年ほどしか余命がないと言われています。
このように少し発見が遅れただけでも、生存期間が少なくなりますので、できるだけ早期発見・早期治療が望まれます。
手術では、ガンの転移や再発を防ぐために、腫瘍を含めたできる限り広範囲で切除します。例えば、脇のあたりから後ろ足の付け根の乳房まで、片側もしくは両側の乳房を全て取り除きます。
両側切除の場合、まず片側切除した後、1ヶ月後くらいにもう片側の切除を行います。早期発見であったとしても、別の場所に転移している可能性があるため、広域な切除が行われるのです。
ガンが進行している場合や、猫に体力が無くなっている場合、他の器官への転移が見られる場合などは、抗がん剤や放射線による内科的治療が行われます。

乳腺腫瘍の治療費はどのくらい?


猫の乳腺腫瘍に関わる治療費ですが、どの程度を予定しておけばよいのでしょうか。
乳腺腫瘍の治療に関しては、症状の状態や進行状態によっても様々です。残念ながら乳腺腫瘍の発症率と、発症後の余命はあまり高いとはいえない数字となっています。
まだ若年の猫であれば、こうした状態にならないためにも、避妊手術は検討していても良いかもしれません。避妊手術の費用に関しては、高くとも3万円以内で収まるでしょう。
乳腺腫瘍の治療費に関しては、全摘出の場合では10万円〜30万円ほど。片側摘出では〜15万円ほど。部分切除では〜10万円ほどとなります。また、こうした施術費のほか、入院費用も発生してきます。
乳腺腫瘍は非常に難しい病気の一つ。予後を静かに暮らすのか、出来ることはすべてやるのかが難しい問題となります。

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乳ガンを発症した際の余命

多くのメス猫が発症してしまう乳腺腫瘍。残念ながら、乳腺腫瘍を発症した際の余命は決して長いとはいえないデータが出ています。
乳腺腫瘍の大きさによっても変わってきますが、2cm以下の小さな腫瘍である場合にでは、3年ほどというデータが出ており、3cmを越える大きな腫瘍の場合には半年ほどというデータが出ています。とはいえ、あくまでもこれはデータ上の数値となりますので、必ずしも当てはまるというわけではありません。
問題は、愛猫の免疫力を復活させ、いかに癌の進行を遅らせるかが大事なのではないでしょうか。手術が可能な状態であればすぐに手術していくことや、食事療法や免疫を向上させる様々な方法で、つらい乳腺腫瘍をいかに乗り越えられるかか大事です。

アガリクスの効果とは

癌にならないような免疫力を付けるため、癌に負けないような免疫力をつけるために、多くのサプリメントが注目されていますが、中でも「アガリクス」は長らく信頼されているサプリメントの一つです。
アガリクスとは、キノコの一種で、抗がん作用や免疫力の向上に期待ができるものとして人気の高いものです。猫や犬用に限らず、人間用でも利用されるアガリクスですが、確実な抗癌作用が認められているものではありません。
しかしながら、免疫細胞の活性化や、腫瘍の増殖を抑える効果も認められるため、全く効果のないものというわけではないのです。
通常の健康管理だけでは免疫力の向上を目指してもなかなか難しいため、こうしたサプリメントを積極的に利用して、免疫力の向上を行うことも必要かと思います。

乳腺腫瘍・乳ガンを予防するために


乳腺腫瘍は猫の腫瘍の中でも多く発症すると言われています。もし、良性の乳腺腫瘍だったとしても、悪性の乳腺腫瘍に変わることもありますので、安心はできないでしょう。
乳ガンは、避妊手術を行うことで発症を1/7に抑えることができます。また1歳未満に避妊手術を行うことで、乳ガンの発症リスクをより下げることができるようです。
100%乳ガンを防ぐことはできませんが、愛猫が老齢期に入った時、乳ガンの発症リスクを下げることができるのであれば、避妊手術を行うことを検討された方が良いかもしれませんね。
そして、避妊手術を済ませた子も、そうでない子も、日頃から愛猫とスキンシップを兼ねて、身体をあちこち触ってみて、しこりや出来物ができていないか、チェックしてあげることが、乳ガンの早期発見・早期治療に繋がるでしょう。

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