猫を飼い始めて、まず飼い主さんを悩ますこととは、猫の「噛み癖」についてなのではないでしょうか。今回は、どうして、猫に噛み癖が付いてしまうのか、猫が噛んだ時、飼い主さんはどんな対応を取れば良いのかなどを考えていきましょう。

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猫に噛み癖が付く理由とは

猫は古くからネズミ狩りをしてきた狩猟動物です。現代においては、ネズミも少なくなり、ネズミ狩りをする必要性も無くなってきましたが、猫の狩猟本能は未だ残っているため、それを遊びで満たそうとします。また、猫は本来、空腹で獲物を狙うのではなく、目の前を獲物が横切るなど、猫の本能を刺激する動作や臭いを感じて狩猟衝動に駆られるのです。

そのような猫の習性を良く理解してあげると、猫が噛むという行為は当然のことかもしれません。しかし、だからと言って、愛猫が噛む行為を放置しておくと、飼い主さんも傷が絶えない日が続いたり、いずれ大きなケガを負うなどして、「もう限界!手に負えない!」と、愛猫を手離してしまうこともあるかもしれません。

では、猫はどのようなことが原因で噛むのでしょうか。その噛む原因や噛む状況、また噛んだ後の飼い主さんの愛猫に対する対応などを考えてみましょう。

遊びの延長

よく子猫に見られることですが、おもちゃなどを使って飼い主さんと一緒に遊んでいたら、急に噛み付いてくることがあると思います。これは、猫自身わざと飼い主さんを傷付けようとしているのではなく、遊びに夢中になり過ぎて、つい噛んでしまうのです。そして、この噛み癖を治しておかないと、大人になっても噛み癖が残る場合があります。

通常、猫は生後3カ月くらいまでは、子猫のうちに「遊び」や「親猫からのしつけ」を通して、猫社会のルールを学びます。親猫に噛まれて良いことや悪いことを教わったり、兄弟とケンカして、遊びで噛み合ったりしながら、「強く噛んだら痛い」などの力加減を覚えるのです。しかし、親兄弟から早くに引き離され、「噛む加減」が分からない子が多いのが現状です。

本来なら子猫同士で多頭飼いして遊ばせることが理想ですが、なかなか難しいと思いますので、飼い主さんが親猫の代わりとなって、「噛む加減」を教えてあげましょう。この時にしてはいけないことは、「人間の手を使って遊ぶこと」です。手をおもちゃにして遊ぶようになると、「手をおもちゃにして遊んで良い」と認識し、噛み癖が付く引き金となってしまいますので、遊ぶ時は、おもちゃを使って遊びましょう。

また、猫に噛まれた時の体罰も良くありません。「猫は覚えないから叩いてしつける」と言う人もいますが、叩く行為はしつけでは無く、猫に恐怖心を与え、防衛本能から凶暴化するなど、飼い主さんのと信頼関係を損ない兼ねません。叱る時は、大声で怒鳴るのではなく、「だめ!」「いけない!」など、短い言葉でピシャリと言いましょう。そして、その場から立ち去って下さい。「噛んだら遊んでもらえない」と理解するようになるでしょう。

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しつこく構い過ぎた

愛猫を撫でていたら、突然噛まれたことってありますよね。飼い主さんにしてみたら、「撫でてってすり寄って来たから撫でてあげてたのに、突然噛まれた!」と思うでしょう。しかし、実は、このような時に猫が噛むのは、構い過ぎが原因と言うこともあるのです。

最初はゴロゴロ言いながら喜んでいるのですが、そのうち尻尾を振ってイライラし始めたということは無かったでしょうか。それは愛猫の「もうやめて!」「しつこい!」という、ストレスのサインです。このサインに気付いたら、構うことを止めましょう。あまり長時間構われることは苦手な猫が多いようなので、猫の気持ちを尊重してあげましょうね。

どこかが痛くて噛む

どこかが痛くて噛むことがあります。例えば、「猫同士ケンカして傷がある」「叩かれて痛い」など、ケガやアザがあるのに、触られたり抱かれると痛くて攻撃的になることがあります。このような時は、まず痛みの原因を探り、痛みを取り除いてあげることが大切です。重症の場合は、早急に獣医さんに診察してもらう必要があります。

病気が原因

また、病気により攻撃的になることもあります。猫の攻撃性に影響を及ぼす疾患として、「てんかん」「脳腫瘍」など脳の異常のせいで別人格のようになってしまうものや、視覚障害、聴覚障害などがあります。視覚障害や聴覚障害に関しては、周りの状況に対する認識力が低下しているため、急に触られたりすると、びっくりして噛むことがあります。

普段は大人しい子のはずなのに、最近よく噛むなどの様子が見られる場合は、愛猫の体調などを細やかにチェックして、病気に対する兆候を早急に発見してあげることが大切です。また、視覚や聴覚に障害がある子は、突然触れることを避け、そっと寄り添ってから触るようにしましょう。

恐怖心から

猫は、緊張や不安、恐怖心を持った時に攻撃的になります。例えば、人間に虐待を受けていた猫は、自己防衛のため攻撃的になります。また、飼い主でもないのに、産まれたばかりの子猫に、安易に触ろうとすると、親猫は攻撃性を見せることもあります。こういう場合は、必要性がない限り、近付いたり、触ることを止めましょう。猫の恐怖心を煽り、人間が大ケガすることがあります。

また、猫がこのように攻撃的になる場合、「毛を逆立てる」「尻尾を振る」「シャーと言う」などの威嚇行動が見られますが、この時、猫が「仰向け」になった時は要注意です。犬での仰向けは「服従」のサインとされていますが、猫の場合「攻撃の構え」を意味しています。このサインを間違えて不意に近付いてしまうと、大ケガを負うことになりますので、近付かないようにしましょう。

さいごに

先述したように、猫はただただ理由も無く噛むのではなく、何か原因があって噛むことが分かりますよね。そして、噛み癖のしつけは、根気が必要で、何度も何度も繰り返し言って聞かせることが大切です。言うことを聞かないからと、「噛むから悪い子」「攻撃的な猫」と決めつけず、飼い主さんがその原因を探り、愛猫のボディランゲージを見極めることもできれば、お互いもっと改善することもあるでしょう。

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