愛犬が大きいいびきをしている、呼吸する時に、他のワンちゃんと様子が違うようなことはありませんか?それは、もしかしたら「軟口蓋過長症」かもしれません。今回は、あなたの愛犬も他人事ではない、「軟口蓋過長症」について調べみましょう。

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軟口蓋過長症とは

口腔内の上あごの部分を「硬口蓋(こうこうがい)」と言い、そこから後ろに伸びていて、口腔と鼻腔を分けた柔らかい部分が「軟口蓋(なんこうがい)」と言います。人間で言うと、「のどちんこ」がこれに当たりますが、犬にはこの「のどちんこ」は存在しません。

「軟口蓋過長症(なんこうがいかちょうしょう)」とは、この軟口蓋が長すぎることによって、気道をふさいでしまい、呼吸がしづらくなってしまう病気です。

特に、短吻種と呼ばれる鼻が短い犬種は、他の犬種よりも軟口蓋が長くなることが多く、軟口蓋過長症にかかりやすいと言われています。

軟口蓋過長症の症状

軟口蓋過長症を発症すると、「ゼーゼー」「ブーブー」という呼吸に始まり、大きないびきをかくようになったり、食べ物を飲み込めずに吐き出すというような症状も見られます。悪化すると、気管虚脱や呼吸困難になり、舌の色が青紫色になるチアノーゼという症状が出て、酸欠や失神などを引き起こし、最悪の場合、死に至ることがあります。

また、高温多湿である夏場のような体温が上がるような環境では、熱中症を引き起こしたり、興奮した時や運動した後は、特に症状が重篤になることがありますので注意が必要です。

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チアノーゼとは

「チアノーゼ」とは、血液中の酸素が極端に不足することで、犬の舌や唇が青くなったり、青紫色になる症状を言います。
原因は、心臓に送り出す血液の量が減少したり、大ケガをして大量出血をしたり、熱中症、低体温症、中毒、異物を飲み込んだなどの理由からチアノーゼを発症します。

犬がチアノーゼになって、こうした症状が出始めたら、呼吸器系や循環器系の病気を患っているということが考えられるため、かなり危険な状態だと言えるでしょう。

気管虚脱とは

「気管虚脱」とは、何らかが原因によって、喉と肺を結ぶ気管が押しつぶされて変形してしまったことにより、呼吸がしづらくなり、咳や呼吸困難を引き起こすという犬特有の呼吸器系の病気です。

気管虚脱を発症すると、「ハーハー」や「ゼーゼー」というような苦しそうな呼吸に始まり、「ガーガー」とガチョウが鳴くような乾いた咳をしたり、吐き気を伴う場合もあります。

悪化すると、呼吸困難になり、舌の色が青紫色になるチアノーゼという症状が出て、苦しそうにヨダレを垂らしたり、酸欠や失神などを引き起こし、最悪の場合、窒息死などで死に至ることがあります。もし、救命できたとしても、脳や肺に後遺症を残すこともあるのです。

軟口蓋過長症の原因

軟口蓋過長症の原因は、ほとんどが先天性だと言われています。先天的に短吻種の犬種は、他の犬種に比べて軟口蓋が長くて厚みがあり、軟口蓋の上部分にある鼻腔を狭くしてしまっているため、呼吸がしづらくなり、軟口蓋過長症を引き起こすと考えられています。軟口蓋過長症は、早くて生後半年くらいから、通常で1歳以上で発症することが多いようです。

また、稀に後天的に発症することもあるようです。これは何らかが原因で、鼻腔に過剰な圧力がかかることで鼻腔内部が狭くなり、その結果、呼吸困難となって軟口蓋過長症を引き起こしてしまいます。

軟口蓋過長症の好発犬種とは

軟口蓋過長症は、先天的に「フレンチ・ブルドッグ」「パグ」「シーズー」「ペキニーズ」「ボストン・テリア」「ボクサー」のような鼻の短い短吻犬種の他にも、「チワワ」「ヨークシャ・テリア」「キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル」なども発症することがあります。

特に、フレンチ・ブルドッグは性格的に、活発で興奮しやすいところがありますので注意が必要です。

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軟口蓋過長症の治療について

軟口蓋過長症の治療は、軟口蓋を切除する外科手術を行います。術後は、一時的な患部の炎症などで、咳や吐き気が見られることもありますが、咽頭虚脱や気管虚脱を併発している場合を除き、術後の経過は良好なことが多いようです。

また、元々短吻種の犬種は、麻酔によるリスクが高いと言われていますので、軟口蓋過長症の手術を行うのであれば、高齢期を迎える前の若い時期に手術を検討された方が良いかもしれませんね。

軟口蓋過長症の予防と対策

軟口蓋過長症を発症している子が、肥満になると、気管の周りに脂肪が付き、気管を狭めてしまい、ますます呼吸がしづらい状況を作ってしまいますので、肥満にならないように、適正体重を維持させましょう。また、肥満防止のために運動は必要ですが、激しい運動や興奮させると、軟口蓋過長症の症状を助長させることがありますので、適度な運動を心掛けましょう。

犬のいびきって可愛いですよね。人間のいびきには耐えられませんが、愛犬のいびきをかく姿についつい癒やされて見入ってしまいがちですが、実は、場合によっては、呼吸困難になって命に関わるような深刻な状態に陥ってしまうこともあるのです。愛犬があまりにも大きないびきをかいていたり、呼吸音が他の犬種と異なっている場合は、動物病院で診察してもらうことをお勧めします。

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