愛犬の誤飲や誤食が、呼吸困難やチアノーゼを引き起こし、命に関わる状態に陥ってしまうかもしれないという事を知っていましたか?今回は、あなたの愛犬も他人事ではない、「気管支狭窄」について、症状や原因、予防や対策などを解説しましょう。

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気管支狭窄とは

「気管」とは、喉と肺を結ぶ器官で、外から吸い込んだ空気の通り道になっており、この気管から枝分かれした部分が「気管支」になります。

「気管支狭窄」とは、空気の通り道である気管や気管支が、異物の誤飲や誤食、腫瘍や炎症などが原因で狭くなってしまい、呼吸がうまくできなくなってしまう状態のことを言います。症状が深刻であれば、呼吸困難やチアノーゼを引き起こし、命を落とすこともあると言われる怖い病気です。

「愛犬が何か飲み込んでしまったけど、そのうち消化して出てくるでしょう」と、悠長なことを言っていると、その飲み込んだものが原因となって、気管支狭窄を発症することもあるかもしれません。飲み込んだ後に咳が止まらない、呼吸困難を引き起こしているような場合はすぐ病院へ連れて行きましょう。

気管支狭窄の原因について

気管支狭窄の原因は、大きく分けて2つあり、気管や気管支の内側から詰まるか、外側からの圧迫が原因となって気管支狭窄を引き起こします。

具体的に言うと、まず、本来口にしないようなものを、誤飲や誤食することにより気管や気管支に詰まってしまい、十分な空気を取り入れることができなくなることが原因で発症します。また、その異物が気管支を通り、肺内部にある葉気管支まで入り込むと肺にまで傷が付き、そこから何らかの障害を引き起こすこともあります。

その他に、食道や胸腔内や肺など、気管周辺の他の臓器に腫瘍ができたり、炎症を引き起こしたことが原因で、気管が外から圧迫されて狭くなったり、変形することで酸素不足となり、気管支狭窄を引き起こすこともあります。

気管は本来、犬の首の動きなどには柔軟に変形できるようになっていますが、逆に言うと、外側や内側からの圧迫によっても簡単に変形してしまうことが、気管支狭窄を起こす原因ともなってしまうのです。

気管支狭窄の症状

気管支狭窄の症状は、軽度の場合でも咳をするなどの症状が見られます。また、「ゼーゼー」と荒い呼吸をしたり、普段はしなかったのにいびきをかくようになります。

気管や気管支に、異物や腫瘍や炎症があって、気管などを圧迫している場合は、呼吸困難になったり、チアノーゼを引き起こすこともあり、とても危険な状態に陥ります。

その他にも、食道や気管周辺の疾患により気管を圧迫している場合、首や肩に痛みや吐き気を伴うこともあり、首を触られることを極端に嫌がるようになります。

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チアノーゼとは

チアノーゼとは、血液中の酸素が極端に不足することで、犬の舌や唇が青くなったり、青紫色になる症状を言います。
原因は、心臓に送り出す血液の量が減少したり、大ケガをして大量出血をしたり、熱中症、低体温症、中毒、異物を飲み込んだなどの理由からチアノーゼを発症します。

犬がチアノーゼになって、こうした症状が出始めたら、呼吸器系や循環器系の病気を患っているということが考えられるため、かなり危険な状態だと言えるでしょう。

気管支狭窄の治療について

異物を誤飲・誤食したことが原因で、気管支狭窄を引き起こしている場合は、異物自体を取り除く処置が行われます。レントゲンで検査をしますが、小さな異物の場合はレントゲンに写らないことがあります。その場合は、麻酔をかけてから、内視鏡や気管支鏡を使い、検査をしながら異物を直接取り除きます。この時、犬の体位を変えただけで、運良く異物が取れることもありますが、異物が取れなかった場合は、切開手術をして異物を取り除きます。

また、気管周辺の腫瘍や炎症によって、気管が圧迫されて気管支狭窄を起こしている場合は、気管支拡張剤で気管を広げて、呼吸を楽にする処置をしながら、原因となる疾患の治療を行います。

気管支狭窄の予防と対策とは

肥満になると、気管の周りにも脂肪が付き、気管を圧迫して狭めてしまい、食べ物などを詰まらせやすくなり、気管支狭窄になってしまうことがありますので、適度な運動をして、適正体重を維持させましょう。しかし、適度な運動は必要ですが、激しい運動や興奮させると咳が出やすくなりますので注意が必要です。

気管支狭窄の原因は、本来口に入れるものではない物を、誤飲・誤食することで引き起こすことが多いと言われています。愛犬を留守番をさせていた時に、いたずらでおもちゃをボロボロにしていた・・という経験はみなさんもあると思いますが、これも実は、気管支狭窄を引き起こす要因となってしまうのです。

犬は人間の赤ちゃんと同様、好奇心から何でも口に入れてしまいます。子犬の場合は特に注意が必要です。誤飲や誤食による気管支狭窄は、飼い主さんが気を付けることで、防ぐことができますので、留守番をさせる際は、ケージに入れたり、口に入れて良くないものはしっかり片付けたり、散歩中では拾い食いをさせないなどの注意が必要でしょう。

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