「愛犬の名前を呼んでもボーッとしてる」「歩く時ふらついてる」それ、愛犬が高齢犬だからって理由で片付けたらいけませんよ!今回は、あなたの愛犬も他人事ではない、「内耳炎」について、症状や治療法、予防や対策などを調べてみましょう。

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内耳炎とは

犬の耳の中で一番奥にあるのが「内耳」といい、内耳には、外からの音を聞き分けるカタツムリのような形をした「蝸牛(かぎゅう)」と呼ばれる器官と、平衡感覚をつかさどる「三半規管」という器官で構成されています。
蝸牛という器官では、「蝸牛神経」を通して音を脳に伝え、三半規管の器官では、「前庭神経(ぜんていしんけい)」を通して体の位置情報を脳に伝える役割を持っています。
「内耳炎」とは、この蝸牛神経と前庭神経が、何らかが原因となって炎症を引き起こした状態のことを言います。
耳を覗けば茶色い耳垢があったり、独特な臭いがする「外耳炎」などは判断がつきやすいですが、一方の内耳炎は、耳の奥の炎症になりますので、飼い主さんも気付きにくいと言われる耳の病気です。

内耳炎の症状

先述したように、外からの音を聞き分ける「蝸牛神経」と、平衡感覚をつかさどる「前庭神経」のどちらか、若しくは稀ではありますが、両方の神経の炎症が原因で内耳炎を発症します。
蝸牛神経に炎症が起きている場合は、耳が聞こえなくなっているので、呼んでも無反応になったり、散歩中にクラクションの音が聞こえなかったり、嫌いだった花火の音にも反応しなくなったなどの症状が起こります。
前庭神経に炎症が起きている場合は、平衡感覚が悪くなっているので、真っ直ぐ歩けなくなったり、立てなくなったり、円を描くようにクルクル回ったり、頭を傾けることがあります。また、目が回ることもあり、この状態が続くと、常にめまいや吐き気、嘔吐といった症状も見られます。

外耳炎の悪化によって引き起こされる内耳炎

内耳炎を発症するには、いくつかの原因があります。
まず、外耳炎や中耳炎から波及されて内耳炎を発症することがあります。内耳よりも外にある外耳や中耳で炎症を引き起こし、内側にある内耳へまで炎症が伝わり広がってしまうのです。
外耳炎は、耳からの悪臭や耳垢が増えてきたりと言った様子も見られるため、飼い主さんも割と早い段階で気付くことができる耳の病気です。そのため、外耳炎から引き起こされる病気に関しては早期治療も望めるため、内耳炎を引き起こす前に治療をすることで防ぐことができます。
外耳炎を放おっておくと、悪化して内耳炎へと発展していってしまいますが、何事も早期発見・早期治療が肝心となるのです。日頃から愛犬の耳の中もしっかりとチェックするようにしましょう。

外耳炎とは


犬の耳の中は、外側にある耳介から鼓膜の手前までが「外耳」、鼓膜の奥が「中耳」「内耳」と分かれていますが、「外耳炎」とは耳介から鼓膜にある「外耳道」に炎症を起こす耳の病気です。
外耳炎は、ダニ、マラセチアやブドウ球菌のような細菌、疥癬などの寄生虫、アレルギーが原因となって発症します。
特に垂れ耳の犬種は、立ち耳の犬種に比べて耳の中の通気性が悪く、耳の中が蒸れやすくなっているため、細菌や寄生虫が繁殖しやすいというのも影響しています。
外耳炎の初期症状では、臭いを伴う耳垢が溜まっていく、犬が耳を掻きむしる、頭を振るといった症状の他にも、重症化してしまうことで鼓膜が破れてしまうという症状も引き起こされます。
細菌や寄生虫の繁殖によって、耳の皮膚は炎症を起こし、さらに炎症が酷くなると外耳道が狭まったり、塞がってしまうことで、中耳炎や内耳炎が引き起こされてしまいます。

内耳炎の原因

内耳炎はウィルスや細菌など、何らかの感染症を引き起こしてる場合においても「ウイルス性内耳炎」と呼ばれる内耳炎になることもあります。
その過程としては、感染したウィルスや細菌が、身体を流れている血液と共に内耳にたどり着き、炎症を起こしてしまうというものです。この場合、原因となる最近やウイルスを退治しなければ、内耳炎を治療することも難しくなります。
他にも、内耳そのものに腫瘍やポリープができることで突然発病してしまったり、歯の疾患によって内耳炎を引き起こすこともあります。このように、内耳炎は様々な病気の要因によっても併発することもあるのです。
内耳炎の症状をよく理解し、似た症状がないかを発見できるようにしておくと、より早く耳の異常に気がつくことが出来るでしょう。

内耳炎の治療

内耳炎の治療は、なぜ内耳炎を発症したのか、その発症原因によって治療法も変わってきますので、原因を突き止めることが優先されます。
外耳炎や中耳炎から波及した場合は、その治療を行っていきます。ウィルスなどの感染症が原因になっている場合は、これ以上感染が広がらないように抗菌薬や抗生物質を投与します。腫瘍やポリープが見つかった時は、外科手術を行って腫瘍を取り除くこともあります。
また、内耳炎の症状がひどい場合は、あえて鼓膜を切って、中耳を露出させた状態で、温めた滅菌生理食塩水で洗浄することがあります。

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内耳炎の治療費はいくらくらい?

耳の垂れている犬でしたら外耳炎などの、耳の病気になるリスクが高いですが、こうした耳の病気を治療するには、どの程度の治療費を予定しておけばよいのでしょうか。
耳の病気には「外耳炎」「中耳炎」「内耳炎」と様々ですが、いずれの病気も軽症である場合には、治療費も数千円〜といった治療費で済むことが多いでしょう。
ただし、症状が重症である場合には入院も必要になることもあり、治療費も10万円前後ほどは用意しておく必要があるでしょう。検査や治療を行うことで数万円の治療費となり、入院ともなるとやはり10万円ほどになるでしょう。
また、その後も状態を検査するために通院する場合もありますので、症状が悪ければ数十万円ほどになる場合も出てくるかもしれません。

前庭疾患

前庭神経に炎症があって内耳炎を引き起こしている時は、平衡感覚が保たれなくなって歩行困難になっているので、ケガを予防するために運動を制限する必要があります。
こうした症状を「前庭疾患」と呼んでいますが、前庭疾患を引き起こす要因には内耳炎のほか、脳炎や脳梗塞と言った病気や、甲状腺機能低下症などの病気を発症したことで併発してしまう場合があります。
前庭疾患になると、交通量の多いところでの散歩を避けたり、愛犬を一人にしたまま水のあるようなところへ行かせないなどの対策を取らなければ、思いがけない事故につながることもあるので注意が必要になります。
また、前庭神経の障害に関しては投薬で治療ができますが、蝸牛神経の炎症で起こる難聴の症状は治療ができません。

内耳炎の予防と対策


外耳炎と中耳炎からの波及が原因で、内耳炎を発症することが最も多いと言われています。普段から愛犬の耳を綺麗に保つなど衛生環境を整え、外耳炎や中耳炎を発症させないように心掛けましょう。
また、高齢犬が内耳炎を発症した場合、名前を呼んでも反応が無かったり、ふらついているのを見て、高齢だからと飼い主さんが勘違いして発見が遅れてしまうこともあります。
内耳炎は腫瘍やポリープが原因で発症することもありますので、放っておくと最悪死に至ることもある怖い病気なのです。早期発見に努めるためにも、定期的に獣医さんに診察してもらうことが大切です。

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