盲導犬や警察犬、牧羊犬や狩猟犬など、犬は私達の仕事や生活に大きく貢献をしてくれる存在でもあり、頼もしいパートナーでもあります。今回は、人の1億倍もの臭覚を持つ犬だからこそ、国内への麻薬の密輸を未然に防ぐ麻薬探知犬について考えていきましょう。

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麻薬探知犬とは

麻薬探知犬とは、麻薬を探知するように訓練された犬のことです。麻薬には、覚醒剤や大麻草、大麻樹脂、ヘロインやコカイン、アヘンやMDMA(通称エクスタシー)、向精神薬などがあり、ほとんどが外国で作られたもので、これらの麻薬が国内に持ち込まれないよう、麻薬探知犬を空港や港、国際郵便局などに配備するのです。

世界で見ると、麻薬探知犬の歴史は意外にも古く、一番最初に麻薬探知犬が活躍したのは、1911年にオランダから始まったと言われています。日本においては、1979年6月にアメリカから来た2頭の麻薬探知犬が成田空港に配備されたことが始まりとされており、現在は120頭あまりの麻薬探知犬が日本で活躍しています。現在、日本で麻薬探知犬として使用されている犬種は、主にジャーマン・シェパードとラブラドール・レトリバーの2種類です。

ハンドラーとは

麻薬探知犬の訓練と育成を行う麻薬探知犬訓練士は「ハンドラー」と呼ばれ、国家公務員の資格を持つ財務省管轄の東京税務署の職員です。ハンドラーは1頭の麻薬探知犬の訓練犬とペアを組み、その犬の性質や性格を理解し、麻薬探知犬としての素質があるかなど見極め、訓練や健康管理などを行います。

アグレッシブドッグとパッシブドッグ

麻薬探知犬には、「アグレッシブドッグ」と「パッシブドッグ」の2種類のタイプがあり、麻薬を見つけた際、ハンドラーに合図を送る方法がそれぞれ違います。
アグレッシブ(攻撃的や積極的という意味)ドッグは、麻薬を見つけた時、麻薬物が入った荷物などを引っ掻いてハンドラーに教えるのに対し、パッシブ(受動的という意味)ドッグは、麻薬を見つけた時、その麻薬物が入った荷物の前にお座りしてハンドラーに教えます。

元々はアグレッシブドッグを採用していましたが、1993年からパッシブドッグを導入するようになり、入国旅客者の手荷物などを検査することがあるため、現在は座って合図をするパッシブドッグのみを訓練してるようです。

パッシブドッグは、本来アメリカやヨーロッパで爆発物を発見する犬として訓練されたもので、爆発物等を引っ掻いてしまうと大事故などを起こす危険もあるため、引っ掻かずに座って知らせる訓練方法が適用されるようになりました。

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麻薬探知犬になるには

麻薬探知犬の育成や訓練は「東京税関麻薬探知犬訓練センター」の1ヶ所だけで行われおり、ここで4ヶ月間のあいだ、麻薬探知犬になるための訓練をします。
まずは、様々な人や乗り物などが行き交う空港や港、足場の悪い現場や高い場所に登って麻薬を探さなければいけない状況などを想定して、環境に慣れるための訓練が4週間続きます。何事にも動じず、臭いを嗅ぐことに集中できるようにするためです。

そして、綿製のタオルを硬く筒状に巻いたもの(これをダミーと呼びます)を使った訓練が始まります。ハンドラーがダミーを隠し、犬がダミーを見つけたら思いっきり褒めて、一緒に楽しく遊ぶのです。「ダミーの宝探し」です。これを繰り返すことで犬は「ダミーを見つけると遊んでもらえる」という意識が生まれるのです。ダミーの隠し場所はどんどん難易度を上げていき、ハンドラーは、犬が飽きさせないような訓練をしていかなければいけません。

次の段階では、ダミーに麻薬入りの袋を結び付け、それを見つけさせる訓練を8週間行います。この訓練を繰り返すことによって、今度は麻薬の臭いがするところにダミーがあり、「麻薬を見つけると遊んでもらえる」という意識に変わります。バッグや靴など、実際の現場で想定される場所に麻薬を隠し、それを探す訓練を繰り返します。

その後、覚醒剤やヘロイン、コカインなど比較的臭いが少ない麻薬類の探知を4週間行います。それができるようになると、最終的には、実際の検査現場で2週間の実地訓練を行い、そこで最終的な見極めが行われます。しかし、訓練期間は4ヶ月しかなく、訓練を受けても麻薬探知犬として認定される犬は3割くらいしかいないようです。

楽しみながらのトレーニング

犬にとって麻薬探知はあくまでも「宝探し」であり、遊びの一環なのです。つまり、遊びに夢中になればなる程、麻薬探しにも夢中になるのです。

ハンドラーと麻薬探知犬の間に、「タグ・オブ・ウォー(tug of war)」という遊びがあります。犬が麻薬を見つけた時に、ハンドラーは思いっきり褒めて、褒美としてダミーを投げ、犬がそれを咥えて持ってきたら綱引きをして遊ぶのです。この遊びが、麻薬探知犬にとって、何よりも嬉しくて楽しいご褒美になるのです。

このように、麻薬探知犬にするには、犬に訓練を飽きさせないように、楽しくトレーニングできるよう、アイディアが必要になるということですね。そうしたメリハリのある訓練をしながら犬と一日共にすることで、麻薬探知犬とハンドラーの親和関係が生まれるのでしょう。

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