くしゃみや鼻水といった症状が特徴で、ズーノーシスであることでも知られる「クリプトコッカス症」。カビが原因となって発症する感染症のひとつですが、比較的に猫に多く見られる病気でも知られます。。今回はクリプトコッカス症について解説します。

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「クリプトコッカス症」について

愛猫がくしゃみや鼻水、特に粘着するような鼻水を垂らしていないでしょうか。こうした症状が見られる場合は、「クリプトコッカス症」に感染していることを疑ったほうが良いかもしれません。

クリプトコッカス症とは、「クリプトコッカス」と呼ばれるカビが原因となって引き起こされる感染症で、ズーノーシス(人畜共通感染症)であることでも知られます。比較的、猫に多く見られる感染症ですが、猫に限らず犬や人にも感染する恐れがあります。

その特徴的な症状には、前述したくしゃみや鼻水、元気の減退といった症状のほかにも、血の混じった鼻水や鼻に潰瘍ができる場合もあります。症状が深刻化すると、肺炎や呼吸困難といった症状になり、さらに神経系へも障害を与えるようになります。

ズーノーシス(人畜共通感染症)

「ズーノーシス(人畜共通感染症)」という言葉をご存知でしょうか。ズーノーシスとは、犬に限らず、猫やうさぎ、鳥といったように「ペット」として飼われる動物はもちろん、人間にも感染する感染症の総称です。

現代社会では、こうした様々な動物をペットとして飼育しているシーンが多いですが、犬の散歩中や、猫が外を徘徊中、何らかの理由で感染し、飼い主にも感染が拡がる恐れがあるもので、感染症の種類も様々な病気が存在し、日本国内では約80種もの病気が確認されています。

その中でも特に有名なズーノーシスと言えば「狂犬病」です。狂犬病は、犬・猫・人にかかわらず、猛威を振るう感染症で知られますが、中には犬には症状が無くとも、人には重篤な症状がある場合や、その逆の場合もあるなど、病気によって症状も様々です。

免疫力が低下している場合は注意が必要

クリプトコッカス症は比較的、猫に多い病気とは言えズーノーシスでありますので、犬や人にも感染します。しかし、犬も人も免疫力が安定している健康体の場合には、その症状はほとんど現れません。猫に対しても同じことが言え、猫も免疫力の低下している場合に感染リスクが高い病気といえます。

特に飼育環境が悪い場合には注意が必要です。こうした環境下で飼育されていると、他の病気に感染する可能性も高く、免疫力も低下してしまいます。こうした場合に、クリプトコッカス症を併発してしまうのです。猫の免疫力を下げる病気として知られる「猫白血病ウイルス」や「猫エイズ」といった病気を発症している場合には、特に注意が必要になるでしょう。

また、人間に感染する場合も同じく、免疫機能が低下してしまうような「HIV」といった病気を発症している方が感染リスクが高いです。とはいえ、体調次第では感染してしまうリスクもありますので、十分に注意する必要があります。

クリプトコッカス症の原因とは

クリプトコッカス症の原因となるクリプトコッカスと呼ばれるカビ。このクリプトコッカスは、自然界においては「鳩」の糞中に多く存在している事でも知られます。そのため、色々な場所に鳩が移動し、糞をすることで、感染拡大していくのです。

このクリプトコッカス症は、鳩の糞中からも検出されますが、自然界の土の中や空気中にも存在しており、この飛散しているカビ=クリプトコッカスを吸い込んでしまうことで感染が確認されます。吸い込んでからは、「気道」「肺」「皮膚」「眼」などに感染していき、症状が重篤化すると神経系へと感染を広げていきます。

その症状は、肺炎を引き起こしたり、呼吸器系に障害を与えるほか、眼の中枢神経に感染することで失明を引き起こしたり、痙攣や麻痺といった重篤な症状も引き起こしてしまいます。健康体であれば特に症状が出ることは無いですが、免疫機能が低下している場合には、特に注意が必要な病気です。

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クリプトコッカス症の治療について

クリプトコッカス症を発症した場合には、抗生剤の投与を行い、原因となるカビのクリプトコッカスを駆除します。また、感染している箇所に対する対症療法を行い、症状を緩和させていきます。

万が一感染が確認された場合には、治療にやや長い年月を要するので、体の弱っている猫には注意が必要になります。また、症状が重篤化している場合、神経などに障害を負ってしまった場合には、クリプトコッカス症が完治してからも治療を続ける必要があるでしょう。

クリプトコッカス症を予防するには

残念ながらクリプトコッカスは、いたるところに存在しているため、予防をすることは非常に困難です。クリプトコッカスに対する最適な予防法は、常に健康な体を維持することにあります。
クリプトコッカス症は、免疫機能の低下している場合や、子猫や老猫といった免疫力が低い場合に感染します。そのため、病気中や老猫、子猫はできるだけ感染している猫から遠ざけたり、外に出歩かせる飼育方法をやめることが必要です。

免疫機能が下がるような病気をしていなければ、クリプトコッカス症は命に関わる病気となる確率も低いため、そこまで神経質になる必要もありませんが、万が一のことを考えて、猫が家の中と外を自由に行き来出来るような飼育方法はやめたほうが良いでしょう。

常に健康な体を維持できていれば心配はありませんが、こうした鼻水やくしゃみが目立って多い場合には注意が必要です。体が健康であっても、実は目に見えない部分が弱っている場合も考えられますので、念のため病院に診察に行くようにしましょう。

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