鉤虫症という犬の病気がありますが、症状や効果的な予防方法にはどのような方法があるでしょうか?「ノミ」や「ダニ」をはじめとした「寄生虫」による病気や症状は様々なものがあり、寄生虫による被害を予防するためにも、知識や予防策を知ることが大事になります。今回は犬の寄生虫のひとつ「鉤虫」による症状や予防法について解説します。
「鉤虫症」とは
「寄生虫」は、犬の世界でももちろん、人間界でも存在するもので、この寄生虫が体内や体に「寄生」することで、様々な悪影響を体に及ぼすものです。
その中の一つ、寄生虫の1種「鉤虫(こうちゅう)」とは体長1〜2cmの白い虫で、「十二指腸虫」とも呼ばれています。
人間の世界でもこの鉤虫による被害が確認されており、世界中で約10億人以上もの人が鉤虫症に感染していると言われています。
「鉤(かぎ)」という漢字も付けられるだけあって、この鉤虫の口には鋭い牙があります。
この牙を使い、犬の小腸の「粘膜」を食べたり、「血」を吸ったりして生存します。この鉤虫にとっては、犬の小腸が食料の宝庫でもあり、繁殖の場でもあるわけですが、この鉤虫の悪影響が拡がることによって、やがて犬の体も衰弱していき、最悪の場合は命の危険も及ぼす影響を持ちます。
犬に寄生した場合は「犬鉤虫症」と呼ばれ、この犬鉤虫症に感染してしまうと、腸内に寄生することによって下痢や血便がおこり、症状が重症化してくると貧血や脱水症状もおこし、最悪の場合は命の危険にさらされる可能性もあります。
鉤虫症の原因は?
犬鉤虫症は、感染している犬の糞を食べたりしてしまうことで感染する「経口感染」、鉤虫の幼虫が皮膚から体内へと入る「経皮感染」といった感染経路を持ちます。また、妊娠中の犬の胎盤を経由し、子犬へと感染する場合もあります。
鉤虫が寄生すると小腸へと寄生し、先述の通り粘膜や血を吸って成長していきます。その後、鉤虫は卵を産み、この卵が犬の糞便と共に排泄されていきます。排泄された後に、鉤虫の卵は外界で孵化し、この鉤虫の幼虫を含んだ糞便を、他の犬が口にすることで経口感染が広がっていきます。
また、孵化した幼虫が何らかの理由で犬の毛に付着した場合にも、皮膚を穿孔し、体内へと侵入、感染する場合もあります。この場合も小腸へと移動し、同じ要領で寄生し、卵を産み落としていきます。
こうして鉤虫症に感染する循環が出来上がってしまうわけです。
鉤虫症の症状は?
成犬が鉤虫症に感染しても、健康体の成犬であれば症状が現れることはないでしょう。
しかし、免疫力の低い成犬が感染すると、
- 下痢
- 血便
- 貧血
といった症状を発症します。
この場合、感染していることにも気が付かない可能性もあるので、糞便による2次感染によって感染経路が広がってしまう恐れも出てきますので、成犬の体調に問題が無いからと言って、安心はできません。
一番危険なのは子犬への感染で、下痢・血便といった症状に加え、発育不良が認められるようになります。
また、小腸内で血を吸われてしまうことから、貧血・脱水症状をひきおこし、治療の際に輸血が必要になる場合もあります。発見が遅れるなどし、あまりに重症化してしまうと、命を落とすことになるでしょう。
また、食欲不振に加え、腹痛といった症状も現れるので、元気も無くなり、体重の減少も見られますので、子犬の場合は体重を常に管理するようにし、元気もなく体重も減少している場合には、犬鉤虫症を疑ってみても良いかもしれません。
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治療と予防方法は?
鉤虫症の治療は、主に駆虫薬の投与による治療が一般的です。
この場合、駆虫が途中で終わってしまう場合や、完全に駆虫できていない場合には要注意です。この駆虫による治療が万全でなければ、潜伏していた幼虫が再び活動を開始し、同じ症状を引き起こすことになります。
鉤虫症による被害を防ぐためにも、散歩から帰った時には必ず足を綺麗にするようにし、散歩中に関しても、放置されている糞やゴミなどを口にしないように気をつけましょう。
最低限のマナーではありますが、2次感染を防ぐために、飼い犬が糞便をした際はしっかりと回収するようにしましょう。
また、自宅内で排泄をしている場合は、犬が糞便をした際にすぐに掃除をするなど、こまめに清潔な環境にすることも大事です。また、猫などが同居している場合には、外に自由に出入りできるような環境は非常に危険なので、室内で飼育することを徹底するようにしましょう。
寄生虫に感染しない・させないために
寄生虫は、生活のいたる場面に潜んでいてもおかしくないものです。
予防策をとることで、寄生虫による被害を最小限に留めることが可能となりますので、手遅れになってしまう前に、出来る限りの最善策は取るようにしたいですね。
また、鉤虫症に限らず定期的な検診も大事です。定期検診をすることで、未然に予防できる病気もあるほか、鉤虫症のチェックもおこなえますので、不安がある場合はすぐに検診をうけることをおすすめします。
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